ポーズダウンが終わり舞台袖に行くと、トレイに陳列されていた副賞を既に袋詰めした物を二袋渡されました。協賛各社のプロテインが入っていて途方もなく重い。さらに剥き出しの表彰状二枚。(表彰状は内容は同一で一枚は日本連盟、一枚は東京連盟)せっかくペットボトルがなくなるのに、遥かに重い荷物を抱えて帰ることになりました。そして取材があるのでインタビューに答えて下さいと言われ簡単な受け答え。
 やっと解放されると思ったら、なんとドーピング検査の対象者に選ばれていました。優勝したら検査があるかもしれないと予期していましたが、まさか現実のものとなるとは!得難い経験のチャンスだし、薬物の使用を疑われるほど出来が良かった証なので嫌な気はしませんでしたが、すぐに帰れないのでがっかりしました。
 ドーピング検査はまずサプリメントなど最近摂取した物の申告。その後ミネラルウォーターなどを飲み尿意を催すのを待ちます。
 昔は外出中にトイレに行くことがほとんどありませんでしたが、トレーニングを始めてからはトレーニング中に水分を多めに摂ることもあり、トイレに行く頻度は増えています。数十分もすれば大丈夫だろうと思っていました。
 三十分ほど経ってある程度出そうだったのでトイレに。尿を採取する容器は厳重に密閉されていてそれを内部に触れないよう注意しつつ係員の目の前で開封。排尿時は下着を膝辺りまで下ろしJADAの係員の目の前でやります。恥ずかしさはありませんでしたが、残念ながら必要な100ccには足りない60cc。足りない時は採取した尿を手順を踏んで容器に移しその容器を密閉します。
 500ccのミネラルウォーターをもう一本飲みましたが、尿意を催すまでにはかなり時間が掛かりました。待ち時間は焦りはありましたが、係員や会場の片付けに巡回していたボディビル連盟の役員の方とおしゃべりしたりで退屈はしませんでした。
 八時にトイレに行きたくなり、結構出そうでしたが50cc程度。これを手順に従って別の容器に移します。先に採取した尿を最終的に使用する容器に移した後、後の尿を100ccになるまで入れて密閉。検査はやっと完了しました。検査室は控室の隣でしたがどうやって外に出るのか心配していたら、通り掛かった別の連盟役員の方が案内してくれました。
 会場を後にしたのは八時過ぎ。池袋東武でケーキを買って帰るつもりで、どのケーキにするか決めていたのに間に合わなくなってしまいました。駅に向かう途中で4位入賞の方に出会い日暮里まで一緒に帰りました。
 日暮里駅では見知らぬ方からお祝いの挨拶をされびっくり。
 京成線は空いていて座れましたが、山手線は混んでいて、重い荷物は罰ゲームのようでした。
 池袋に着いたのはデパートもルミネも閉店した後。コンビニでは買いたくなくて地上に上がったらイタリアントマトJr.が目に入ったので仕方なく手を打ちました。
家に着いたのは十時前。長い一日でした。
〈続く〉