突然鳴り響くクラクション。

歩道から振り向くと、車が無理な車線変更中。

「あっぶないなぁ」と、思った視線の先に、風に吹かれた白い小さなものが…






多分、子猫。


ひっくり返って、足をバタバタさせてたのが、風に吹かれた物に見えたんだ。

今行けば、助かるのかな。

でも、近くに動物病院があるのか、分からないし、第一、あの道路の真ん中まで、どうやって行こう。






頭の中で、グルグル回っていく考え。

それでも、足は目的地を目指して進む。


一時間後、同じ場所を歩くと、警察官の姿があった。

自転車のカゴにはビニール袋と手袋。

視線の先には、もう動かなくなってる、白い子猫。


泣きそうだ。


でも、私に泣く資格はあるのかな。

今日はどんなお酒も、料理も味がわからない。


運転中にたまに見掛ける光景だけど、直後に見るのは初めてだったからなぁ。


自分の脆さと無力さ。


日常の中でふいに思い知らされる。