今回は私のようなALS患者が支援者に求めること、ご理解いただきたいことを
実例を挙げて2つ、僭越ながら述べさせていただきたいと思います。
全国の支援者の皆さん、よろしければ ご参考になさってください。
ALS患者の大敵「痒み」。
ちょっと痒ければ反射的にパッと搔くでしょう。
それができない地獄は当事者でなければ なかなか分からないと思います。
さて、私が述べたいのは痒みの問題ではないのです。
先日、頭が痒かったので
ヘルパーに搔いてもらうよう頼みました。
するとヘルパーは聞いてきました。
「ブラシ使いますか?」
私の返事は「NO」でした。
私の頭皮は湿疹だらけで、ブラシなんかで搔かれると
悲鳴をあげるような痛みを伴うからです。
ですが私は「それは やめてください。」などと
声に出して返事をすることができません。
支援者とコミュニケーションを取る時は ある決め事をしています。
「YES」のときは まばたきをする。「NO」のときは無反応。
ですから「ブラシを使いますか?」と聞かれて私は無反応でした。
しかし無反応ではコミュニケーションは成立しません。
無反応だった場合、必ず その逆を聞いてほしいのです。
「ブラシ使ったらダメですか?」と。
そうしたら私は「はい、YES、ダメです。」という意味合いで
まばたきをして応えることができます。
ところが、そのヘルパーは無反応の私に対して
「ブラシ使ってもいいですか?」
と再度、同じ問いかけを してくるのです。
当然「NO」 なので私は無反応。
これではコミュニケーションになりません。
しまいには勝手にブラシを使おうとする始末。
私は露骨に嫌そうな顔をして訴えましたが
それでも気付いてもらえませんでした。
このコミュニケーション方法、できる人は できるのですが
できない人は何度 説明しても理解してくれません。
「どうですか?」という問いかけられ方をして
こっちは どうしたら良いというのでしょう。
2つ目。先の話は続きます。
結局、私の訴えも虚しくブラシで頭を
こすられてしまいました。
悲鳴があがるような痛みでしたが
私は悲鳴をあげることもできません。
四肢麻痺ですから手足をバタつかせて
訴えることもできません。
私は耐えがたい激痛に表情を歪ませ必死で訴えましたが
頭を搔いているからといって頭しか見ておらず
私の顔を一切見てはくれず
結局 最後まで気付いてもらえませんでした。
私が述べたい2つ目が、これです。
痛みを伴う可能性があるケアの際は
患者の表情に注意して頂きたいということ。
患者は声も出ない、身振り手振りもできない。
「痛い!痛い!」と訴えることができないことを
どうか忘れないで頂きたいです。
結局この後、私は酷い情動制止困難を起こしました。
ちなみに情動制止困難は
何度説明しても理解してくれない
痛みを伴う介助をされたとき
などの際に起こりやすいです。
全国の支援者の皆さん
どうか ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。