〇前回
以下、シナリオ本編です(ネタバレ注意!)
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6 不死の女王
森林地帯を進みます。探索を試みると、大きな石の扉の入口を見つけます。また、壁には魔法文明語で「合言葉」と書かれていて、台座もあります。また、扉には魔法がかけられていて、破壊することはできないように感じます。
読文可能なキャラクターがいなければ目標値8で見識判定を行います。成功すれば魔法文明語であると分かります。
また、この扉のついた建物の建築様式について、文明鑑定判定(目標値16)を行うことができます。成功すれば、魔法文明時代後期の建造物であると分かります。
聞き耳を立てるなら、目標値20で微かにバサバサと羽音が聞こえます。
○GM向け記載事項
魔法文明語で合言葉を唱えるか、台座にツァイデスの神像を設置すると、扉が開きます。
○合言葉を唱えるか、神像を設置した後の描写
ゆっくりと扉が開いていきます。中は明るく、奥には祭壇のようなものが見えます。内部は、聖堂のように見えます。
さらに、2人の男女の姿が見えます。男性はマギテックシューター、女性は神官です。
神官の女性は振り返って言います。
?「…ふふ。あなた達が来るのを楽しみにしていましたよ。わざわざ会いに来てくれるなんて、私、とても嬉しいです」
皆さんはその声に聞き覚えがあります。その素顔は、宿の少女ティファニーでした。その胸には、ねじれた輪の聖印が見えます。
見識判定(目標値12)に成功すると、不死の女王ツァイデスの聖印であると分かります。
ティファニー「私は田舎で育ちました。主の声は5歳の頃に初めて聞きましたが、本当に欲しいものなんてなかったのです。…あなた達に会うまでは」
ティファニー「鍛え抜かれた戦士の肉体。聡明な魔術師の頭脳。…こんなに美しいものは、私の知る小さな世界にはありませんでした。そんな時、主の声が聞こえてきたのです」
ティファニー「『美しいものを、己のものとせよ。それによってのみ、彼らに価値を与える』と。栄誉あることです。あなたは、私に服従するたび喜びを感じるようになります」
ティファニー「私は優しいので、できれば痛い思いはさせてあげたくないのですが…抵抗するというのなら、少しばかりお仕置きが必要ですね。さあ、私のものになって!」
彼女がそう言った後、20cmほどの2体の蝙蝠が2人の前に飛んできたかと思えば、人族の男性の姿に化けます。
ティファニーは、あなた達を服従させようとします。拒むなら、戦闘は避けられないでしょう。
〇ムルシエラゴ(→ML90頁)×2
知名度19、弱点値22
〇マギテックの狙撃手(→BM149頁)
知名度15、弱点なし
※〈剣のかけら〉を12個追加する
〇邪教の大神官(→BM149頁)
知名度16、弱点なし
※〈剣のかけら〉を13個追加する
○戦闘配置(上級戦闘)
0m:マギテックの狙撃手、邪教の大神官
5m:ムルシエラゴ×2
PCは、25~30mの任意の座標に配置します。
では、戦闘準備をどうぞ。
魔物知識判定(目標値19/22、15/なし、16/なし)をどうぞ。
先制判定(目標値19)をどうぞ。
○GM向け記載事項
クライマックス戦闘の難易度はサンプルキャラクター4人のパーティを参考に調整しています。目安として、先攻2ラウンドで敵を全滅させることができます。
これまでの戦闘からPCの戦力的に勝利が困難に感じるなら〈剣のかけら〉を削除して下さい。
不死の女王ツァイデスの特殊神聖魔法(→MA113頁)は、不死を象徴する魔法が多いです。
【スピリット・ドミネイション】【アルティメット・ビーイング】などは、彼らの世界観を体現するに相応しい魔法でしょう。
生死判定は省略しますが、マギテックの狙撃手と邪教の大神官は気絶として扱います。
ティファニーを倒しました。少女と狙撃手の男を拘束します。アリアドネは他に敵がいないか探ってくると言って、その場を離れます。
しばらくすると、少女が何かつぶやいたのが聞こえました。振り返ると、彼女を縛っていたはずの縄が緩み、両手が自由に動かせるようになっています。
ティファニー「負けてしまいました。とても残念です。…死こそ最高にして最後の美。せめて、綺麗なまま終わらせて」
少女はどこかに隠し持っていた銃を彼女の胸に突きつけ、心臓を撃ち抜こうとします。…が、その手は震えています。
○GM向け記載事項
止めなければ、ティファニーは引き金を引いて自決します。このとき、後の展開が変化します。
○ティファニーが自決
銃声が響いた直後、彼女は力なく倒れ込みます。死の間際に、彼女は言います。
ティファニー「すぐにあなたの元へ…ツァイデス様」
○ティファニーが生存
止めようとするあなた達に気付いて、彼女は思い留まります。銃を手放すと、彼女は言います。
ティファニー「あなたは、私の死を望まないのですね?…悪くないです。あなたに服従するのも。私のことは好きにして下さい」
8 エピローグ
無事、事件を解決することができました。依頼を達成してギルドに帰還したあなた達は、後日、事件の経緯を知ることになります。
ドーデン地方を中心に暗躍しているカルト集団とは、第二の剣の大神、不死の女王ツァイデスを信仰する眷属達でした。
ツァイデスの教えの一つに、徹底した秘密主義が挙げられます。これまで、捜査が難航してきたのはその秘密主義ゆえです。しかし、彼らと取引していた蛮族が指令書を持ったまま討伐されたことで、調査は進展を見せます。
彼らの幹部の1人が、あなた達と交戦したマギテックの狙撃手の男です。ウィリアムは偽名で、本名は村で誰にも明かしていませんでした。
彼は正体を隠すため、約1年前にドーデンを離れると、人里離れたブルライトのディガット山脈の麓の村に移り住んできました。善良な市民を装うため、畑を耕しつつ、村人に喜ばれる蛮族退治の仕事を引き受けるようになります。
彼とティファニーは同じ神を信仰する者同士でしたが、彼らの徹底した秘密主義のため、今回の調査までの一年間、その事実を知ることはなく、互いを善良な市民であると錯覚していました。
あなた達が探索を開始した後、狙撃手の男が蛮族退治から戻ってくると、ティファニーが彼の帰りを待っていました。
彼女は、興奮した様子であなた達の話をした後、この森にドーデンから来たカルト集団の幹部が潜伏していると聞いたけど、ウィリアムが倒してくれるよね、と言います。
男は厄介なことになったと思いながらも、美しさに執着する彼女の様子を見逃しませんでした。彼は「己のものとせよ。それによってのみ、彼らに価値を与える」と言います。
ツァイデスの格言を聞いたティファニーは一瞬、驚いた表情を見せます。すぐに取り繕おうとしますが、彼は「大丈夫」と言って隠していたねじれた輪の聖印を見せました。
カルト集団の幹部であることは伏せていましたが、冒険者パーティを撃破することができたなら、後に彼女を仲間に迎えるつもりでした。
そして、配下のムルシエラゴと合流し、4人であなた達を待ち構えていましたが、その計画はあなた達によって阻止されます。官憲に引き渡された狙撃手の男はドーデンに移送され、取り調べや押収品の裏付けで以上の内容が判明しました。
○GM向け記載事項
ティファニーが生存しているなら、以下の描写(後日談)が追加されます。
やがて秋が過ぎ、雪の降りつもる季節となりました。
依頼を引き受けたあなた達がギルドを出ると、神官の女性がギルドに入ろうとしていました。その顔に見覚えがあります。
ティファニー「…お久しぶりです。その、この前は色々とご迷惑をおかけしました」
神官の女性は、ティファニーです。ただし、彼女の胸にはねじれた輪ではなく、五芒星をかたどった聖印がかかっています。導きの星神ハルーラの聖印です。
冒険者ギルドに依頼を出すため神殿から歩いてきたようです。近況について尋ねると、彼女はその後の経緯を話してくれます。
ティファニー「カルト集団の関係者ではないことが判明すると、私は解放されました。ただし、不死の女王への信仰を放棄することが条件でした」
ティファニー「【レベレイション】による儀式を受けると、私はハルーラ神官になりました。王国に移り住んで、神殿に所属して祈りを捧げる日々が始まりました」
ティファニー「迷える私に進むべき道を照らしてくれたこと、感謝しています。あの時早まらなくてよかったです。お陰で、幸せな日々を生きています。導く者こそ、心強くなければなりません」
最後に、とティファニーは言います。
ティファニー「私は、この今の幸せにとても満足しています。…でも、私には夢があるんです」
ティファニー「私はいつか、皆さんのような冒険者になりたいです。その時は、できたら…皆さんと一緒に、冒険がしたいです」
〇報酬
7000G(基礎)+2500G(条件:ティファニーの生存)
1000経験点(基礎)+1000経験点(条件:エルフ5人衆に勝利)
1成長(基礎)+1成長(条件:エルフ5人衆に勝利)
○魔物
1000経験点(基礎)+500経験点(条件:エルフ5人衆に勝利)
○剣のかけら
25個
○サンプルキャラクター(4人パーティ)
タビットの魔導師
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=c0FvP2
ナイトメアの森羅導師
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=8dlCPs
リカントの戦士
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=XSsZKo
グラスランナーの拳闘士
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=JkUefZ
○サンプルキャラクター(5人パーティ)
エルフの戦士
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=y60dXg
エルフの魔術師
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=wYpP8Y
エルフの操霊術師
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=fFS3ex
エルフの妖精使い
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=3EH3tK
エルフの森羅導師
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=6UZgMa
◯GM向け追記事項
「3 宿の少女」について、PLがティファニーを疑った場合の処理を追記します。カルトと第二の剣の神々の信奉者を結びつけて考えるなら、村人の信仰する神を調べるのはもっともな結論です。
神聖魔法【ディテクト・フェイス】をティファニーに行使すると、彼女は基準値20(27)で精神抵抗力判定を試みます。
抵抗に失敗したら、ツァイデスを信仰する13レベルのプリーストであることが分かります。このとき、彼女は大人しく拘束されます。
(聖印を身に着けていないため、魔法を行使することはできません)
抵抗に成功されても、MPがなくなるまで何度も魔法をかけることは可能です。
失敗しても、抵抗された以上は疑うに足る理由があるでしょう。彼女の自室を探索(目標値20、レンジャー不可)すると、ツァイデスの聖印(見識判定、目標値12)を発見します。
この場合も、彼女は大人しく投降しますが、家宅捜索を行ってもカルト集団とは無関係であることが分かるだけです。これだけでは依頼達成になりません。
この分岐を進んだなら、ティファニーは自決を試みることはありません。彼女を拘束した場合も森林地帯の地図は偽りなく作ってくれますが、地図を信じるかはPL次第です。また、ご飯も作ってくれます。
邪教の大神官ティファニーは、【レベレイション】で無力化することができます。このとき、彼女の信仰はこの魔法を行使したPCと同じ神となります。
レベル10以上の神官が1人もいないなら、アリアドネ(シーン信仰)が【レベレイション】を行使したことにして構いません。
「6 不死の女王」ではティファニーは登場せず、3体の魔物と交戦することになります。邪教の大神官の経験点および戦利品を得ることは可能です。
「7 エピローグ」において、ウィリアムと名乗る男とティファニーが接触していないため、一部描写が省略されます。後日談は同じです。
【ディテクト・フェイス】を行使して、彼女を疑ったにも関わらず、その正体を暴くことができなかったら宿を追い出されます。地図は作ってくれません。
クライマックス戦闘で全滅しても、とどめを刺されることはありません。ただし、PCたちが目醒めるまでにティファニーは儀式を完遂させ、全員が彼女の忠実な下僕となっていることでしょう。
神官として人族の限界を超越しつつあるティファニーは、やがて第二の剣の小神として神格を得ます。彼女のお気に入りであるPCたちは不老不死の身体を授かると、その忠実な使徒として邪神ティファニーの教えを広めるために暗躍するでしょう。
○次回