※2025年3月に開催されたオフセッションキャンペーン卓(全10回)の最終回シナリオです。
※前編・後編の2パートに分かれています。
以下、シナリオ本編です(ネタバレ注意!)
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〇始まりの剣(S12-2)
想定PL人数:2人~4人
※2人の場合、下記の裁定を適用する
アリアドネ(ゆとシート)を各種判定および戦闘に参加させる
※4人の場合、下記の裁定を適用する
魔物の各部位に10個ずつ剣のかけらを追加する(HP+50、MP+10、生命・精神抵抗力+2)
○サンプルキャラクター組み合わせ例
2人:ダグラス、ブルーノ、アリアドネ(フェロー)
3人:ダグラス、セリーヌ、ブルーノ
4人:ダグラス、セリーヌ、ブルーノ、アリエル
〇シナリオの概要
ケルディオン大陸に眠るティカール遺跡を調査した君たちは、<始まりの剣>の場所を記した地図と、七色に光る鍵を手に入れた。
戦利品については、ハールーン魔術研究王国に戻ってから調べることになるだろう。<始まりの剣>を求めて、最後の旅に出よう。
〇シナリオの流れ
1 プロローグ
2 洞窟の記憶
3 エルフの里
4 テーベ遺跡
5 生贄の少女
6 エピローグ
1 プロローグ
ケルディオン大陸西端の遺跡調査の依頼を達成して魔航船でアルフレイムに戻ってきたあなた達は、アウローラの研究所で泊まることになりました。時刻は早朝。神官の装束をまとったエルフの女性がやってきます。
アリアドネ「みんな、起きて!アウローラが遺跡の戦利品について図書館で調べたいから、みんなに手伝ってほしいんだって!!」
彼女は拡声器を手にしながら大声で言います。…騒音で窓が揺れています。アリアドネは続けます。
アリアドネ「アウローラは魔道図書館にいるみたい。使い魔が私たちに『来てほしい』って。だからみんなを起こしに来たよ!」
図書館は、研究所から徒歩5分ほどです。図書館に着くと、受付の女性が言います。
受付「アリアドネさんのパーティの冒険者の方々ですね。アウローラさんは中に入っていますので、どうぞお入りください」
2 洞窟の記憶
図書館に入ると、とんがり帽子を被ったエルフの女性がいます。…よく見ると、長い髪がぼさぼさになっています。
アウローラ「…私としたことが、図書館で寝落ちしてしまったわ。研究所に戻って整えてくるから、それまで調べ物をしてほしいの。まずは<始まりの剣>の場所の特定をお願い!」
そう言うと、眠そうな目をこすりながら図書館を出て行きます。アリアドネが言います。
アリアドネ「アウローラは魔法文明語と魔動機文明語の文献を読んでいたみたいだよ。交易共通語の文献を調べてほしいって」
ケルディオン大陸について書かれた書籍を探すため、全員で文献判定(セージ、アルケミスト+知力B)を行います。
ただし、自身は資料捜索を行わずに、他のプレイヤーを「手伝う」ことも選択できます。その場合、手伝うプレイヤーは自身の知力Bを対象のプレイヤーの達成値にプラスします。
自動:ケルディオン大陸東部の地図が書かれた本を発見しました。
20以上:「ケルディオン大陸の産業について」を発見しました。
25以上:「ケルディオン大陸の遺跡について」を発見しました。
地図に示された場所がケルディオン大陸東部にあること、その遺跡がテーベ遺跡と呼ばれていることが分かりました。
書籍はいずれも現代から500年ほど前に記されたもので、20以上および25以上で判明する情報は、以下の通りです。
「ケルディオン大陸の産業について」
多くの人族が住むアルフレイム大陸と比較すると、ケルディオン大陸は肥沃とはいえず、居住人口は少ない。しかし、アルフレイムでは貴重な鉱石や魔晶石を豊富に産出することから、鉱夫やその家族らが多数移住し、アルフレイムで産出された食糧を輸入して生活している。
ケルディオンは魔法文明時代に氷河に覆われていたことから、生態系は豊かではなく魔物も少ない。魔神は例外で、魔法文明時代に人族の街を攻めてきたという伝承もある。
→以下の台詞が追加される
アリアドネ「実は、今年で214歳になる私のおじいちゃんがケルディオン生まれなんだよ。街が魔神に襲われて、アルフレイムに避難してきたんだって」
「ケルディオン大陸の遺跡について」
ケルディオン大陸の代表的な遺跡といえば、西のティカール遺跡と東のテーベ遺跡である。いずれも最奥の部屋に入るために鍵が必須と言われている。扉の破壊を試みれば、遺跡全体が崩落してしまうだろう。
建設時期は神紀文明時代と伝わっているが、危険な魔物が多く、伝承を確かめるのは困難を極める。テーベ遺跡の仕掛けや宝物庫に関する伝承を記す。テレポートして部屋を出てから最初の分岐を右に曲がると罠や宝物庫の場所に進む。
調べ物を終えると、アウローラがやってきました。…長い髪が元に戻っています。
アウローラ「…朝のお風呂はいいわね。パイロットに確認したところ、航続距離の問題で大陸の西部が限界みたいね。だからティカール遺跡近隣で魔晶石を調達するか、陸路で東部を目指すかだけど、記憶力のいい私はある伝承を思い出したのよ。
伝承とは、七色に輝く鍵のことよ。ここ、ウルシラ地方の中央にあるタミール山脈に魔動機文明時代に作られた洞窟があるの。洞窟の最奥に、今は機能していないテレポーターがあるのよ。
私は昔、そこに入ったことがあるの。テレポーターには魔動機文明語で『七色に輝く西の岬の遺跡の鍵』と書かれていたわ。
西の岬の遺跡、それはケルディオン大陸西端のティカール遺跡で見つけたこの鍵のことよね?そこであなた達に依頼よ。私と一緒にテレポートして、テーベ遺跡の〈始まりの剣〉を見つけ出してほしいの。報酬は遺跡で見つかったお宝だけど、もし一人あたりの取り分が20000Gを下回るなら、差額は補償するわ。
洞窟のある場所は寒冷地だから普通の人は行こうとしないわ。強いて言えば、スノウエルフの集落が山麓にあるくらいね。私の親戚がいるから、そこに泊まることにしましょう」
すぐ出発すれば、夕方にはエルフの里に到着するでしょう。ロクサネもついてきます。
3 エルフの里
整備された街道を馬車で進み、希少種スノウエルフの集落に辿り着きました。
出迎えてくれたスノウエルフの女性とアウローラがエルフ語で話しています。エルフ語の会話が可能なキャラクターは、彼女がアウローラの叔母であることが分かります。
アウローラ「この人は私の叔母さんよ。泊めてくれるって」
スノウエルフの女性は挨拶をした後、アウローラのお友達なのね、あの子が迷惑をかけていたら遠慮なく私に言ってね、変な魔法かけられてない?と言います。
アウローラは今年で5歳になる従妹と遊んでいます。皆さんは部屋に案内されます。
朝になりました。外に出ると、吹雪です。アウローラが言います。
アウローラ「このまま何日か待てば、吹雪が止むかもしれないわね」
吹雪が止むまで待つなら、目標値20で天候予測判定(スカウト、レンジャー+知力B)を行います。成功すれば、1d日後に吹雪が止むと予測します。日数分の保存食を消費します。
そのまま雪山を進むなら、目標値25で生命抵抗力判定を1d回連続で行います。失敗した回数だけ、威力50の水・氷属性の確定ダメージを受けます。
防寒対策をしていれば、+1~4のボーナス修正を得て判定を行います。
洞窟に到着しました。アウローラに案内されて中に入ると、ほどなくしてテレポーターの場所に辿り着きます。鍵穴に七色に光る鍵を差し込めば、テレポーターが起動します。
4 テーベ遺跡
テレポーターを起動しました。視界が暗転した直後、あなた達は遺跡の一室に転移していました。鍵は手元にあります。
扉は、正面の一カ所だけです。丈夫な建物のようです。また、この部屋で探索(スカウト+知力B)を行えば、壁に魔動機文明語で書かれたメモがあることが分かります。
メモ「人生は曲がり角。回り道も悪くない。思わぬ発見があるかも」
部屋を見渡していたアリアドネが言います。
アリアドネ「この部屋、中から鍵がかけられそう」
時刻は夕方で、ここで睡眠を取ることもできます。扉を開けると、遺跡探索が始まります。
〇GM向け記載事項
中は暗く、暗視がなければすべての行動判定に-2のペナルティ修正を受けます。
4-1 見取り図
○GM向け記載事項
地図作成判定(スカウト、セージ+知力B、目標値10+区画数)に成功すれば、踏破した範囲でGMが手書きの地図を手渡します。PLがメモしていれば判定の必要はありません。
隣接する区画に移動するための所要時間は10分です。
4-2 宝物庫A、B、C、D
坑道を進むと、突き当たりに宝物庫のような扉のついた建物が見えます。
扉付近を探索(目標値15、スカウト+知力B)すれば、魔法の鍵で施錠されていて、危険はないことが分かります。
解除を試みるなら目標値は25です。
部屋の中で探索(スカウト+知力B)を行えば、以下のアイテムを入手します。
《宝物庫A》
自動:人数分のマテリアルカード赤(SSランク)を入手しました。
25以上:人数分の魔晶石(20点)を追加で入手しました。
《宝物庫B》
自動:人数分のマテリアルカード緑(SSランク)を入手しました。
25以上:人数分の消魔の守護石(10点)を追加で入手しました。
《宝物庫C》
自動:人数分の魔晶石(10点)を入手しました。
25以上:人数分の月光の魔符(+3)を追加で入手しました。
《宝物庫D》
自動:人数分の月光の魔符(+1)を入手しました。
25以上:さらに、竜牙の矢を入手しました。
4-3 石板A、B、C、D
(石板A、B)
坑道を進むと、石板に文字が書かれていました。Aは神紀文明語、Bは魔動機文明語です。
石板A「順路」(矢印が書かれている)
石板B「宝物」(矢印が書かれている)
また、石板Aの近くに「禁断のボタン」と書かれたボタンがあることが分かります。…アウローラはまだ気付いていません。
ボタンを押さないなら、アウローラに気付かれないようにする必要があります。隠そうとするPCは、隠蔽判定(スカウト、レンジャー+器用度B)を行います。アウローラは、基準値18で異常感知判定を行います。このとき、隠蔽判定を受動側とし、受動側の達成値を4高いものと見なします。隠蔽に失敗したら、アウローラはボタンを押してしまいます。
ボタンを押すと、SSランクマテリアルカード(金)が壁から出てきます。
(石板C、D)
坑道を進むと、石板があります。Cは妖精語、Dは魔神語で脳内に直接語りかけてきます。
石板C「この先、宝物庫」(矢印が書かれている)
石板D「この先、我の間」(矢印が書かれている)
○GM向け説明事項
神紀文明語を読めなければ、アウローラが後ろでニヤニヤしています。石板1枚につき(100×2d)Gの賄賂を渡せば代わりに読んでくれます。
また、ロクサネが何か言いたげな表情で見てきます。彼女に頼むと無償で読んでくれます。
魔動機文明語や妖精語は、アリアドネが習得しています。魔神語は誰も習得していません。
4-4 落とし穴
坑道をまっすぐ進みます。では、罠回避判定(スカウト+知力B)をどうぞ。
20以上:突然、床が崩れましたが、とっさに躱すことができました。
19以下:突然、床が崩れました。あなたは落下します。
落下ダメージは2d×1d点(一括)です。受け身判定(スカウト+敏捷度B)で軽減が可能です。
4-5 炎の床
坑道をまっすぐ進みます。では、危険感知判定(スカウト、レンジャー+知力B)をどうぞ。
25以上:突然、床から火柱が立ちましたが、とっさに躱すことができました。
24以下:突然、床から火柱が立ち、あなたは炎の直撃を受けます。
失敗すると、威力50の炎属性の確定ダメージ(抵抗:必中)を受けます。ドワーフのキャラクターはダメージを受けません。
4-6 岩
坑道を進んでいくと、巨大な岩が進路を塞いでいます。一般人なら、まず動かせないでしょう。
◯GM向け記載事項
巨大な岩を動かすなら、目標値30で腕力判定(冒険者レベル+筋力B)を行います。岩を破壊する等の提案はGMの判断に従います。
【トンネル】を行使して通り抜けることも可能です。アリアドネが習得しています。
5 生贄の少女
坑道を進むと、突き当たりに両開きの大きな扉が見えます。
神紀文明語で「扉を正当な方法で開けなければ、遺跡全体が崩落する」と書かれています。
扉付近を探索(目標値15、スカウト+知力B)すれば、鍵穴が見つかります。また、七色に光る鍵が点滅しています。
扉を開けると中に天井はなく、奥に金銀財宝と、青く光り輝く剣が見えます。
アリアドネ「あれは、<始まりの剣>?!」
彼女がそう言った次の瞬間、蔦に包まれた魔物が突如として姿を現します。あなた達に交易共通語で語りかけます。
魔神「…人族。我が聖なる場所を侵した者は始末せねばならぬが、その女を新たな生け贄として差し出すなら、見逃してやろう」
魔物は、あざ笑うように言います。よく見ると、かつて生け贄として捧げられたと思われるエルフの女性の死体が蔦に絡まっています。女性の顔は、どこかアリアドネに似ています。
静かに、意志を固めた様子でアリアドネが言います。
アリアドネ「…あなたは、ここで倒されるのです。その人を返しなさい!」
もはや、戦闘は避けられないでしょう。戦闘準備、魔物知識判定をどうぞ。
〇エンデルッツ(→Ⅲ438頁)
知名度26、弱点値28
また、後ろでアウローラが不敵な笑みを浮かべています。
アウローラ「この魔神、私の魔法が苦手なようね」
〇GM向け記載事項
エンデルッツは近接攻撃や遠隔攻撃に対して厄介な能力を持ちますが、魔法の通りはよいため《魔法制御》を習得したソーサラーが活躍するでしょう。
PLが3人以下なら、アウローラを買収して戦闘に参加させることができます。プレイヤー1人につき50000Gの賄賂が必要です。彼女は面白い展開が大好きです。魔物の各部位に10個ずつ剣のかけらを追加します。なお、アウローラを除く全員が全滅すると「敗北」として処理します。
アウローラのデータは以下を用います(要:エピックトレジャリー、アーケインレリック)
(Aurora - ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖)
アウローラと下記のロクサネの2人分のキャラクターデータを用いて模擬戦闘を行ったところ、先攻2ラウンドで勝利することができました。《魔法制御》を習得したアタッカーが1人以上いれば、勝算はあります。
(Roxane - ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖)
通常なら宝物鑑定判定は10分かけて行いますが、-4のペナルティ修正を受けることで「一瞬」で処理することができます。
目標値20の宝物鑑定判定(スカウト、セージ+知力B)に成功すれば、金銀財宝に50000G×人数分の価値があると分かります。
魔神があなた達に襲い掛かります。目標値23で先制判定をどうぞ。
〇GM向け記載事項
エンデルッツの戦術例を記します。
まず、戦闘準備で【ブリンク】を行使します。
[部位:乙女]は「目を閉じる」の状態から戦闘開始し、ずっと目を閉じたまま戦います。
[部位:乙女]は、自身の全部位に【ヘイスト】を行使します。ただ、すべての部位が残っていると消費MP108となるため、剣のかけらで強化されていなければMPが不足します。この場合、別の魔法を選択します(が、この時点でPC側はかなり苦戦しているはずです)。
[部位:宝珠]は【メテオ・ストライク】または【テレポート】を行使します。前衛に対し近接攻撃をするなら前者を、後衛に対して近接攻撃をするなら後者を選択します。
《鷹の目》を習得していないため、上級戦闘では遮蔽が有効です。ただし《ダブルキャスト》を宣言して【マジシャン】を行使すると、《鷹の目》を一時的に習得することができます。
敵は「知能:高い」です。最適な戦術を選択して問題ないでしょう。
戦闘に敗北してもシナリオをクリアすることができます。キャラクターは死亡しません。全滅したら「エピローグ」へ進みます。
6 エピローグ
このシナリオは展開によってエンディングが異なります。
〇基本報酬(50000G、+17500経験点、+7成長、+150名誉点)
○ペナルティ(-50000G)
条件:アウローラが加勢している
○名誉点(人数による調整)
3人:+210
5-1 勝利
魔神を倒しました。戦利品の獲得が可能です。
財宝の売却価格は、目標値20 の宝物鑑定判定(スカウト、セージ+知力B)に成功で判明します。
戦利品の獲得を終えると、生贄に捧げられたエルフの女性を見ながらアリアドネが言います。彼女が持っていた「思い出の品」には、幼い弟や妹と3人が描かれている似顔絵がありました。また、女性の名前が記されています。…「アリアドネ」と書かれています。
そのエルフの女性には、10歳離れた弟と、20歳離れた妹がいました。
彼女は両親を洪水で亡くしたため、鉱山の近くの食堂で働きながら、弟や妹の面倒を見ていました。ある日、魔神が街を襲うまでは。
無数の蔦を持つ上位魔神が、多数の下位魔神を引き連れて鉱山を襲いました。利益のためではなく、ただ、殺戮に怯える人々の様子を楽しんでいました。
エンデルッツは、殺戮に怯える3人のエルフたちを見て面白いことを思いつきました。姉のエルフに対して、こう言いました。
魔神「犠牲になるなら、その2人は見逃してやろう」
アリアドネは、目を閉じて前に進みました。自己を犠牲に他者を助ける行為を魔神は理解できませんでした。そして、目の前で起きていることを面白いと思いました。
「これは面白い」と言って魔法を浴びせます。彼女は絶命しました。
アリアドネの死体には【プリザーベイション】がかけられています。彼女の身体は200年経った現在も腐敗していません。
残された弟と妹は、人族の生き残りと共にアルフレイムを目指しました。そして、シーンの孤児院に引き取られることになりました。
アリアドネ「…そうして、成人したおじいちゃんは神殿の神官と結婚したの。お母さんが生まれて、私が生まれたんだよ。私の名前は、この人の名前から取って名付けられたの」
亡くなったエルフの女性を見つめながら、アリアドネは続けます。
アリアドネ「私は神官だから、死者の蘇生を積極的に勧めることはできないよ。でも、おじいちゃんはもう一度、この人に会いたいって言うと思う。だけど、残された人たちがどんなに願おうと、その思いが死者に届くかは分からない。
とにかく、この人をアルフレイムに連れて帰ってあげたいかな。【イレイス・ブランデッド】で穢れを取ってあげることはできるから、蘇生しても穢れは残らないよ」
アリアドネは言います。
「私は…死ぬのは怖いけど、この人と同じ立場だったら同じことをしたと思う。私も、弟と妹がいるから。でもね、もう誰もそんな悲しい思いをすることはないよ。私は、みんなを守るために…」
青く光り輝く剣を指差します。〈始まりの剣〉です。触れて神格を得るか、触れずに人族のまま生きていくかは、あなたに委ねられています。
5-2 敗北
あなた達は魔神に破れ、意識を失いました。しかし、とどめを刺されることはありませんでした。目を開けて周囲を見渡すと、見慣れた人間の神官とエルフの魔法使いがいます。
ロクサネとアウローラです。しかし、あなた達はすぐに気付くでしょう。彼女たちは神格を得て、皆さんの前に立っています。ロクサネが言います。
ロクサネ「私はついに…誰も、神様の言うことなら断ることはできませんよね?なら私がすることはただ一つです。ユリウス様を、私のものに!」
また、皆さんは自身の身体に起きた変化に気付くことでしょう。あなた達は、不老不死の身体を手に入れました。ただ、それだけではないようです。そのようにした何者かがいるはずです。アウローラはあなた達を見下ろしながら言います。
アウローラ「私がいる限り、あなた達が死ぬことはないわよ。命があることに感謝しなさい。ふふ。今日からあなた達は、アウローラの使徒になったのよ。これ以上、光栄なことはないわ!!」
とんがり帽子を目深に被った彼女は、口元に不敵な笑みを浮かべて言うのでした。皆さんは神の使徒として、その布教に終わりのない人生を捧げることになるでしょう。
(完)