概要

sw2.5公式サンプルシナリオ「天を仰ぐ巨人」を2人で遊びました。

 

ルールブックⅢ掲載シナリオです。PC3〜5人のため、キャラクターを追加して5人で攻略しました。


2025年1月に開催された、オフセッション卓リプレイです。


また、最後にシナリオの戦闘とビルドに関する考察を記しています。

 

以下、シナリオ感想です(ネタバレ注意!)

目次

01 プロローグ

02 気になる死体

03 巨人の踵

04 黒瑪瑙の彫像

05 魔動装置

06 自爆コード

07 総監督者

08 エピローグ

09 感想

10 ビルド考察

 

プロローグ

ランドール地方の小国、シュヴード。

王都の人口が5000人にも満たない小国が他国から侵略を免れているのは、皮肉にも蛮族の領域と接しているからだ。


防人の役割を果たす小国を攻め落とせば、自国が蛮族の侵攻の矢面に立つ。隣接する国家はそう考えた上でシュヴードへの手出しを控えてきた。


小国シュヴードの王都クーダス。そこに冒険者ギルド支部〈静かなる巨兵亭〉がある。支部に名声と実力を見込まれ、招待された5人の冒険者がいる。


集められたアリアドネ、アウローラ、セレスティア、エッセル、ソフィアは、腕利きの冒険者である。


アウローラはウィザードのスノウエルフで、かつて神になるという予言を受けて以来ずっと〈始まりの剣〉に触れて神になる、同じ夢を何度も見ている。


熟練の冒険者5人に支部長は説明を始める。


支部長「この仕事は、きみたちを見込んでの依頼だ。この国の行く末にも関わりかねない」

支部長「辺境に、動きを止めた魔動兵器コロッサスがある」

支部長「長年、うずくまった姿勢で、まったく動いていなかったはずなのだが、最近になって立ち上がったのだ」


依頼内容はコロッサスが立ち上がった原因の調査と、放置した場合に何が起こるか、その十分な予測を行うことである。

また、脅威を排除できたなら、追加報酬がある。


支部長は続ける。


支部長「万が一、コロッサスが暴走したら、国が滅亡してもおかしくはない。…よろしく頼む」


アウローラは、不敵な笑みを浮かべる。



アウローラ「ふふ。⋯今回もまた、神に近づくことができそうね」


気になる死体

3日ほどかけて、荒れ地の真ん中にあるコロッサスへとやってきた。

 

エッセル「話に聞いた通り、両手を天に向けている」

 

天を仰ぐ巨人から50mの距離に、1体の焼け焦げた死体があることに気付く。

 

セレスティア「この死体は『空の王者』ガルーダよ。原因を調べた方が良さそうね」

※見識判定(目標値14)に成功

 

森羅導師のソフィアが【ウイングフライヤー】を行使して飛び上がる。すると、コロッサスの体表面の至るところに砲塔が現れる。

※飛び上がるのはGMの提案による。危険感知判定(目標値22)は自動成功扱い。

 

ソフィア「危ない…飛び上がるのは駄目だよ」

 

5人は、地上から近づくことに。

 

巨人の踵

5人は手前のコロッサスの右足の踵にやってきた。入口のようだが、魔法で施錠されている。

 

アリアドネ「鍵がかかっているね。開けてみる?」

アウローラ「もう片方を調べてみない?」

 

左足に行くと、何者かによって入口が破壊されていることに気付く。

GMの提案。シナリオが長引くのを憂慮したため。

 

エッセル「【ノッカー・ボム】で破壊されたものだ。中に入ろう」

 

マギテックシューターのエッセルが、教えてくれる。魔動機術を習得した者が中に入っているだろう。

 

アウローラ「先に入った何者かがいるなら追って進むと安全そうね。…彼らが生きている以上は」

 

黒瑪瑙の彫像

部屋には、黒瑪瑙の彫像が1体ある。コロッサスによく似た黒色の彫像で、右手で顔、左手で胸をガードするポーズを取っている。

 

セレスティア「これは…オニクスバジリスクによる石化の可能性があるわね」

※本来ならば魔物知識判定を行うが、筆者のセージ知識でオニクスバジリスクによる石化の影響が判明したため省略

 

キルヒア神官のセレスティアが【キュア・ストーン】を行使すると、石化が解除された。そして、中からは魔動機が現れる。

 

フラクタル「私は、魔動機術による人工生命です。皆さんに同行することができます」

フラクタル「理由は定かではありませんが、私の記憶はひどく失われているようです」

フラクタル「ですが、何かきっかけがあれば、記憶を取り戻せる、そんな気がします」

 

また、フラクタルは観測子機を飛ばして、コロッサスの様子を外から映し出すことができるようだ。

 

魔動装置

内部を移動し、5人はコロッサスの腰の位置まで登ってきた。

 

そこそこの広さの部屋で、魔動装置が置かれている。こちらから指示すれば、フラクタルが操作してくれるようだ。

 

5つの絵記号があり、それぞれに異なる動作が割り当てられている。魔動装置の操作で、体勢を変えることができるようだ。

 

動かしていると、胸への移動指示が拒絶され、警告音が響き渡る。

 

アナウンス「総監督者により指示は拒否されました」

 

エッセル「総監督者?先に進入した魔動機師か?」

ソフィア「…待って。【サーチ・バルバロス】」

 

胸への移動指示が拒否された以上、そこにコロッサスの操縦者がいる、ということだろう。胸は、腰の上の位置にある。つまり…

※魔物知識判定を省略したため、敵がバジリスクであると予想していたが、確証はなかった。【サーチ・バルバロス】の結果、蛮族であることが判明。

 

アウローラ「蛮族は、コロッサスの胸の位置にいる」

 

自爆コード

コロッサスの体勢を変えることで、連結された部分が移動可能になることが分かった。

 

頭部で、コロッサスが〈大破局〉の際に蛮族の根城を塞ぐためにここで戦ったこと、今後の侵攻に備えて、この場所に留まり続けているという歴史を知った。

 

また、「停止コード」「自爆コード」と書かれた一連の文字列を発見することができた。

 

その後、腹に到達すると、頭部と同じような狭い部屋に魔動装置が置かれている。⋯出入り口を開けると、魔動機が待ち構えていた。

 

セレスティア「コロッサス:ミニチュアよ!」

※魔物知識判定(知名度19/弱点値23)に達成値24で成功

 

全員で総攻撃を仕掛け、敵対する魔動機は一瞬で制圧された。

 

アウローラ「…ちょっと、一体どういうこと?!」

※アウローラが絶望の声を上げていますが、実際には筆者の心の声です。予想外に探索に時間がかかり、正直かなり疲れていました。

 

コロッサス:ミニチュアが倒されると、床が開いて、下にはおびただしい数のコロッサス:ミニチュアが姿を覗かせている。その中の1体がせり上がってきて配置される。

 

エッセル「…だが、攻撃はしてこないようだ」

アウローラ「自爆コードに『防御姿勢動作確認のため使用する』と書かれているわね」

 

フラクタルが「防御姿勢」について、教えてくれる。「たとえば腹を殴られると、自動的に頭と胸をかばう姿勢になる」とのこと。

 

エッセル「外が見える場所に出て遠隔攻撃で腹を攻撃せよ、ということか?」

アウローラ「⋯分かったわ。ここは、腹よ。つまり、ミニチュアを自爆させれば…」

PL2人が疲弊していて答えを出せる状況になかったので、GMからヒント

 

総監督者

自爆コードを入力して、一目散に避難する。30秒後、コロッサス:ミニチュアの爆発が起き、腹に繋がっていたコロッサスの手が、胸に繋がった。

 

胸の部屋は、頭部や腹に似ているが、その出入り口は【ノッカー・ボム】で破壊されている。扉を開けると一目で重要な場所と分かる。

 

眼帯をした男が魔動装置を懸命に操作していたが、5人の存在に気付き、振り返る。

 

男「ようやく巨兵の全てを手に入れようというのに、くだらぬ邪魔が入ったものよ」

男「この巨兵があれば、どれほどの破壊がなせるか」

男「せっかくの玩具、せっかくの愉悦。手放すわけにはゆかぬな」

 

そう言って男は敵意を剥き出しにすると、引き連れていた配下の2人と共に、5人に勝負を挑んでくる。

 

セレスティア「配下はオーガバーサーカー。眼帯の男はオニクスバジリスクで、真語魔法ではなく魔動機術を習得している。銃はないけど、魔物形態に変身してくるよ」

 

「総監督者」との決戦が始まる。セレスティアは全員に【ブレスⅡ】を行使し、味方全体を強化する。

 

続いて、3人の魔法使いが敵全体を巻き込んで攻撃すると、2人の配下は反撃すら許されず溶けてしまった。

 

エッセル「敵が…遠い!!」

 

二丁拳銃マギテックシューターのエッセルは、射程が足りなかった。猛攻を気絶することなく耐えきった男は、体長5mを超える大トカゲの姿に変貌する。

 

だが、5人の猛攻は止まらない。大トカゲの反撃も致命傷を与えることはできない。

 

アウローラ「痛ーい、死ぬかも!!」

エッセル(そのかすり傷で死ぬわけがない...煽る余裕まであるのか!)

 

「総監督者」は討伐され、コロッサスによって人族の領域に侵攻する彼の野望は打ち砕かれた。

 

エピローグ

コロッサスを乗っ取っていた「総監督者」を打倒すると、フラクタルはすべての記憶を回復した。また、男が暴走させてしまった対空砲群もすべて停止させた。

 

フラクタル「わたしはここに残り、コロッサスの保守と管理に努めます。自動修復が進み、かつてのように人族を救う大きな力となる日を望みながら」


感想

戦闘軽め、探索重めでした。


よく「公式シナリオは殺意が高い」と言われますが、王道の《魔法制御》+《ファストアクション》が非常に強力で、苦戦することはありませんでした。


一方、探索がとにかく大変で予想外に長引きました。GMの処理も重要で、PLが迷う前提で準備した方がいいかもしれません。


PC3〜5人向けですが、全般的に、少人数に厳しく、大人数ならぬるくなる調整でした。


個人的にレベル15を目指すキャンペーン卓でGMをしていますが、シナリオ作成がダンジョンに偏りがちなのも高レベル帯の悩みどころです。


パーティですが、なんと全員エルフです(歓喜)


GMの意向もありMAX5人で攻略していますが、参加者がPL1人だった場合は5人分作成して1人でダンジョン(謎解き)に挑むことになっていたので地獄です。


実際、魔法使いのビルドを4人作成して挑んでいるので魔法の処理が(特にドルイドが)大変ですが、知識は偉大であることを高レベル帯では痛感します。


全員エルフPTの所感ですが...露骨に強かったです。


高レベル帯は《魔法制御》+《ファストアクション》がある意味、結論ビルドなのだと理解しました。


一般的に殺意が高いと言われる公式シナリオですが、戦闘はかなり楽でした。


斥候魔法使いが探索、戦闘の両面において強力であることは、これまで推測でしかなかったのが、今回の卓を通して確信に変わった、という印象です。


そして、敏捷度と知力の両方が高いエルフは斥候魔法使いの最適種族とも言えます。


一方、ひとたび強力なビルドを知ると、遊び心のあるビルドを作ろうとしても、比較対象ができてしまう気がします。


ビルド考察

公式シナリオで使用されている作成レギュレーションは、ルールブックⅢ72頁に掲載されています。


 冒険者レベル10-11

65000経験点

34回成長

所持金120000G

900名誉点

所持アビスシャード15


経験点は累計65000点です。A技能を11レベル習得して残り30000点もあります。


したがって、サブ技能が充実するでしょう。


成長回数は、74頁の成長回数平均表を用いる場合で、もっとも回数の多い能力値で9回成長となります。


筋力の初期値が21以上なら筋力30に到達し、威力70のSSランクソード〈ガイスター〉を装備できます。


また、後衛の魔法使いの知力ボーナスは5か6です。


一方、意外と足りないのが所持金(120000G)です


《武器の達人》型の場合、〈ガイスター〉を装備すると武器だけで83000G必要です。


《防具の達人》型の場合、筋力18、非金属鎧+盾(今回採用した神官戦士)前提で99000G必要です。

※ディバインスキン(52000G)+グロリアス(47000G)


名誉点は900点です。700点でハイペリオン、1000点で〈始まりの剣〉です。…ランクが上がるとたくさん借金できます

※このゲーム、基本的に報酬を前借りした方が強いのですが、筆者は悪用しすぎた結果借金王の汚名を着せられてしまいました。理解に苦しみます。


ハイペリオン級なら、前借りの目安は10000Gです。

いっぱい借金できるね!


以下、ビルド紹介です。


PC1:アリアドネ(NPC)

フェアリーテイマー11、プリースト(シーン†)7、スカウト9、アルケミスト1

※《ターゲッティング》《魔法収束》《魔法制御》《魔力強化Ⅰ》《クリティカルキャストⅡ》《武器習熟A/スタッフ》


PC2:アウローラ(筆者)

ソーサラー11、コンジャラー7、スカウト9、アルケミスト1

※《ターゲッティング》《魔法収束》《魔法制御》《魔力強化Ⅰ》《クリティカルキャストⅡ》《武器習熟A/スタッフ》


PC3:エッセル(知人)

マギテック、シューター11、スカウト7、レンジャー、エンハンサー、アルケミスト

※《ターゲッティング》《両手利き》《二刀流》《射手の体術》《武器習熟A/ガン》《武器習熟S/ガン》


PC4:セレスティア(NPC)

ファイター7、プリースト(キルヒア†)11、セージ9、エンハンサー1

※《防具習熟A/非金属鎧》《魔法拡大/数》《防具習熟S/非金属鎧》《頑強》《超頑強》《防具の達人》


PC5:ソフィア(NPC)

ドルイド11、プリースト(ライフォス†)7、スカウト9、アルケミスト1

※《ターゲッティング》《魔法収束》《魔法制御》《魔力強化Ⅰ》《クリティカルキャストⅡ》《武器習熟A/スタッフ》


3人は《魔法制御》を宣言する範囲アタッカーです。


知人のキャラクター(エッセル)は、ミストエルフのマギテックシューターです。


スカウト7レベルで習得する《ファストアクション》は強力です。今回の作成は5人中4人が習得しています。


一方で、セージ技能持ちが1人しかいません。本来なら知識パッケージの成功率が下がりますが【プレコグ】で行為判定の2dの出目に8を選ぶことができるキルヒア神官がセージを担当しています。


キルヒア信仰の神官戦士が、セージ技能を9レベル習得することによって、本シナリオで要求されるすべてのセージ技能を用いる判定を確定成功させています。


知識は偉大です。新米冒険者の皆さま、キルヒア様を信仰しませんか?


スカウト技能の目玉《ファストアクション》ですが、悲劇は決戦で起きました。


オーガバーサーカーと距離10m、オニクスバジリスクと距離15mで戦闘を開始しています。


まず《魔法制御》アタッカー3人で、全体を巻き込んで攻撃します。この時点で、オーガバーサーカーは気絶しました。


続いて、知人の2丁拳銃マギテックシューターですが、制限移動3m、射程10mで、ボスまで15mです。

※シナリオに記載がなかったためGMが決定


つまり、主動作が2回に増えているにも関わらず、先攻1ラウンド目パスとなってしまいました。


「用法:1H」のガンは、上級戦闘で射程の短さが問題となることがあります。


これを解決するには、「用法:2H」のガンを購入して「用法:1H」のガンの射程内なら、武器を持ち替えて(投げ捨てて)戦闘開始するのが定石のようです。


あるいは、冒険者レベル9以上で習得可の《足さばき》で、制限移動を3mから10mに延長すれば、20m先まで攻撃できます。

※ルールブック通りの指針なら最大30m離れた状態で戦闘開始する可能性があります


当初、考えていたパーティはマギテックシューターの代わりにグラップラーが入っていて、範囲攻撃で焼き払った後、6回攻撃でボスを仕留める予定でした。


実際、先攻1ラウンド目終了時にオニクスバジリスクの残りHPは50〜60程度でした。グラップラーの火力圏内です。


グラップラーがいれば、魔物形態に変貌することなくオニクスバジリスクは倒されていたでしょう。

※実際の戦闘は先攻3ラウンドで終了


ボスは本来の真語魔法の代わりに魔動機術を習得していましたが、銃を持たないマギテックは弱いです。


今回、使用したキャラクターのデータです。


次回