※2025年1月に開催されたオフセッションキャンペーン卓(全10回)の第6回シナリオです。

※前編・中編・後編の3パートに分かれています。

 

以下、シナリオ本編です(ネタバレ注意!)

〇腕利きの噂・後編(S8-3

想定PL人数:2人~4

 

2人の場合、下記の裁定を適用する

アリアドネ(ゆとシート)を各種判定および戦闘に参加させる

4人の場合、下記の裁定を適用する

魔物の各部位に15個ずつ剣のかけらを追加する(HP+75MP+15、生命・精神抵抗力+3

 

○サンプルキャラクター組み合わせ例

2人:ダグラス、ブルーノ、アリアドネ(フェロー)

3人:ダグラス、セリーヌ、ブルーノ

4人:ダグラス、セリーヌ、ブルーノ、アリエル

 

〇シナリオの概要

「空の王」の討伐に成功した君たちは、新たな土地で幸先いいスタートを切ることができた。今回はフレジア森林国から新しい依頼だ。このまま、君たちの評判をドーデンに広めて行こう。

 

〇シナリオの流れ

1 プロローグ

2 ヒスダリアの冒険者ギルド

3 森のエルフ

4 商人の依頼(追加クエスト)

5 探索

6 エピローグ

 

 

1 プロローグ

 

ガルーダ討伐の任務を終え、ヒスダリアで一泊しました。宿泊費は1100Gです。

普段より高いのは、安宿に泊まるのは避けてスイートルーム(→Ⅰ323頁)に宿泊することにしたためです。実力者と認識されているためか、冒険者とすれ違うといつになく視線を感じます。

時刻は午前中。朝食の時間に合わせて、アリアドネが部屋にやってきます。

 

 

アリアドネ「フレジア森林国の族長から依頼だって。メリアとエルフの国だよ」

 

皆さんは起きて下さい。朝食会場に着きました。バイキングです。

 

アリアドネ「詳しくは、チェックアウトして冒険者ギルドに行くと聞けるらしいよ」

 

食事を終えると、あなた達は第二都市ヒスダリアの冒険者ギルドに赴くことになるでしょう。

 

2 ヒスダリアの冒険者ギルド

 

冒険者ギルドに到着しました。扉を開けて中に入ると、受付の女性がドーデン語で話しかけます。

 

受付「依頼をお探しですか?この時期は商人の往来が活発になるので、おすすめは護衛任務で…」

 

そこまで言うと、受付嬢は皆さんの顔を二度見して今度は交易共通語で話しかけてきます。

 

受付「大変失礼致しました。昨日、空の王を討伐されたアリアドネさんのパーティですね。フレジア森林国からの依頼の件なら、こちらへどうぞ」

 

空の王を討伐した、の一言とともに、辺りが騒がしくなります。たむろしていた冒険者たちが一斉に振り向きます。ドーデン語の会話が可能なキャラクターは、次のような会話が聞こえるでしょう。

 

冒険者A「本当か?空の王を討伐したなら、国でもトップクラスの実力者だぞ」

冒険者B「…おい、聞こえるぞ。そんなおっかない奴に目を付けられたくない」

冒険者C「だが交易共通語だった、ドーデン語の会話なら聞き取れないだろう」

冒険者D「…なるほど、外国人の傭兵部隊か。高い金払って雇ったんだろうな」

 

冒険者からの目線を感じながら、奥の部屋へと案内されます。そこには、依頼主と思われるエルフの女性が座っています。

 

アメリア「初めまして。私はアメリアです。族長に代わって、空の王を討伐されたあなた達に挨拶に参りました。以後、お見知り置きを」

 

 

彼女は107歳のエルフの女性です。彼女は普段、フレジア森林国で暮らしています。

彼女はヒスダリアの親戚を訪れていましたが、空の王討伐の報を受けて族長と通話のピアスで連絡を取り、故郷の問題解決を依頼することを決断しました。

あなた達がハーヴェスに帰ってしまう前に依頼したいとのことで、内容は次のようなものです。

 

・依頼主は、ドーデン地方フレジア森林国の族長フレデリック(191歳長命種メリア男性)

・依頼内容は、この地域の野生動物の突然死の原因の調査と解決

・フレジア森林国へはゴケルブルグ大公国まで鉄道で行き、そこから馬車で向かう(→Ⅱ323頁)

・ゴケルブルグ大公国へは、首都キングスフォールを経由して4日目朝に到着予定

・ゴケルブルグ大公国までの1等車運賃および食事代はアメリアが負担してくれる

・基本報酬は1人あたり20000G

 

依頼を承諾すると、アメリアが言います。

 

アメリア「空の王を討伐されたのですね。来てすぐにヒスダリアの悲願を成し遂げるとは、あなた達は英雄のようなお方です…」

 

3 森のエルフ

 

首都キングスフォールのグランドターミナル駅行きの列車は、正午に出発します。皆さんの指定席はアメリアが手配してくれています。夕日が沈んだ頃に到着し、その後ドーデン横断鉄道の寝台列車に乗り継ぐことになります。

 

アメリア「皆さんは、フレジア森林国に来られるのは今回が初めてでしょうか。私たちの国をご存じないようでしたら、私からお話してあげます」

 

フレジア森林国はドーデン地方北東にある大森林の中に築かれた国家です。住民はメリアとエルフが多く、メリアが崇められている珍しい国です。ただ、メリアが政治に関わることは少なく、エルフが主に国家を運営しています。

主要な産業は木材、工芸品、果物の生産と輸出で、質は高いものの、生産量は多くありません。

 

彼女は続けます。

 

アメリア「私たちエルフの外交方針が閉鎖的な面は否定できませんが、私たちの国はドーデン地方の出身の方の間でも未知の場所と認識されていることが多いです。

外部の方だけでは私たちの集落を探すのが困難と言われています。族長と話し合った結果、私が案内することになりました。

 

私たちの国では、野生動物の突然死が相次いでいます。死体を調べた結果、毒や病気によるものではないか、というのが私たちの推測です。普段は穏やかな彼らも、死の危険を感じると自らの命のために何をするか分かりません。

何より、私たちは自然が傷付けられている様子に心を痛めています。ですが、森の奥に進むには冒険者の方のお力が必要です」

 

また、彼女は森林地帯について教えてくれます。

 

アメリア「その名の通り、フレジア森林国は森に囲まれた国です。豊かな自然の恵みを享受しながら私たちは悠久の時の中で静かに暮らしています。

メリアやエルフが多いことから、樹神ダリオンの信徒が多くなっています。私もその一人です。冒険者として活動できるほどではありませんが、私は森羅魔法が使えます。

 

ヒスダリアで議員をしている親戚によると、近年は他国から密猟者が乗り込んで野生動物を捕らえているという噂があるようです。自然の中で暮らしている私たちにとっては許しがたい話です。彼らは自然のもたらす恵みやその偉大さ、そして歯向かった時の恐ろしさを分かっていません。

 

また、野生動物が謎の大量死を遂げています。自然を愛する者として、たいへん心を痛めています。原因を突き止めたいのですが、森の奥は危険な野生動物や凶悪な蛮族がいるという言い伝えがあり、迂闊には近付けないのです。

どうか、やがて英雄となる皆さんのお力をお貸し下さい」

 

列車はトラブルに見舞われることはなく、予定通り4日目朝にゴケルブルグ大公国に到着しました。皆さんは、アメリアと馬車に乗ってフレジア森林国を目指します。到着は夕刻でしょう。

 

4 商人の依頼(追加クエスト)

 

馬車に揺られながら、あなた達は草原地帯を進みます。頭上から日が差し込む中、馬を休ませるために御者が水辺に馬車を止めていると、商人が皆さんの元にやってきます。青ざめている様子です。

 

商人「冒険者か?済まないが、全身が光る動物が暴れていて、積み荷を置いてきてしまった。礼なら出す。高価な商品を運んでいたから、回収できなければ破産まっしぐらだ」

 

商人の男性はそう言って、オスカー商会の身分証を皆さんに見せます。報酬が何か尋ねると、高性能な2種類の鎧から1つを全員に渡してくれると言います。

 

A:マナコートプラス(→Ⅲ242頁、知力ボーナスが防護点となる。上限8)

B:ディバインスキン(→Ⅲ242頁、精神抵抗力判定+2、SSランク非金属鎧)

 

また、どんな魔物か尋ねると、商人が絵を描いてくれます。目標値17で魔物知識判定に成功すれば、ルノアイコス(→Ⅲ365頁)を開示します。

 

※魔物知識判定に成功した場合、次の台詞が追加されます

アメリア「ルノアイコスは、草食の大型爬虫類です。本来なら、積極的に他の動物を襲うようなことはないはずです。私たちの国の環境の異変と何か関係があるかもしれません。それに、ここは私たちの国に向かう商人の往来もあるため、このままでは人に危害が及ぶかもしれません。

とはいえ、命あっての物種です。どうかご無理をなさらぬよう。自身の実力をよく知ることは、この世を生き抜く上でもっとも重要なことですから」

 

依頼を受ける場合、商人に連れられて分かれ道をしばらく進むと、平原の真ん中に光る大型爬虫類が佇んでいます。近くには、商人の荷馬車の積み荷があります。回収しなければ、壊されてしまうかもしれません。近付けば、戦闘になるでしょう。

 

ルノアイコス(Ⅲ365頁)

知名度17、弱点値21

 

○コア部位:頭部

頭部(命中力2d+15、打撃点2d+16、回避力2d+14、防護点16HP111MP18

前半身(命中力2d+16、打撃点2d+18、回避力2d+13、防護点13HP121MP18

後半身(命中力2d+16、打撃点2d+18、回避力2d+13、防護点13HP131MP18

尻尾(命中力2d+17、打撃点2d+14、回避力2d+14、防護点12HP101MP18

 

光る大型爬虫類が襲い掛かります。目標値19で先制判定をどうぞ。

 

〇戦利品表

2-5:なし

6-11200G(赤A

12-3500G(赤S

 

ルノアイコスを倒しました。商人がやってきて約束の品を渡してくれます。

戦利品を獲得しようとするとアリアドネが言います。

 

アリアドネ「ちょっと待って。ルノアイコスの身体を調べておこうよ」

 

では、異常感知判定(スカウト、レンジャー+知力B)をどうぞ。

 

12以上:鱗には、誰かに傷付けられたような痕がありました。

16以上:矢が刺さったのではないかと思いました。

20以上:密猟者がルノアイコスを狙っていたのではないかと思いました。

 

ルノアイコスの身体から妙な臭いがします。薬品学判定(レンジャー、セージ+知力B)が可能です。

 

12以上:毒によるものではないかと思いました。

16以上:自然由来のものではないと感じました。

20以上:誰かが意図的にばら撒いた毒ではないかと思いました。

 

商人の依頼を達成したあなた達は、再びフレジア森林国を目指すことになるでしょう。

 

5 探索

 

アメリアの故郷の集落に到着しました。メリアたちも一緒に住んでいますが、族長は留守です。ここでは無料で宿泊できます。彼女の両親が宿を営んでいます。

 

GM向け記載事項

地図作成判定(目標値10+区画数)に成功すれば、捜索した範囲でGMが手書きの地図を手渡します。PLがメモしていれば、判定の必要はありません。

密猟者の毒を見つけると、達成条件を満たすことができます。ある区画から次の区画に移動するための所要時間は10分、区画で探索する場合の所要時間も10分です。

 

 

 

 

 

朝になりました。アメリアが皆さんを起こしに来ます。

 

アメリア「原因を突き止め、解決に至るまでが依頼です。私はここでお待ちしておりますので、何かあればご遠慮なくお尋ね下さい。なお、ここ数年間、冒険者への森での依頼はありません。

森の中では十分お気を付けください。主の加護があなた達にありますように」

 

森の入口に到着しました。小道が見えますが、木々が生い茂って少し暗いようです。暗闇を対策する必要があるでしょう(ペナルティ:-2

 

5-1 探索結果A

 

野生の肉食獣と戦闘がありましたが、皆さんの敵ではありませんでした。

ここでは、探索(スカウト、レンジャー+知力B)が可能です。

 

14以上:人数分の救命草を見つけました。

18以上:さらに、人数分の1d)点魔晶石を見つけました。

22以上:さらに、人数分の2d)点魔晶石を見つけました。

 

5-2 探索結果B

 

静寂が森を満たしています。ここでは、探索(スカウト、レンジャー+知力B)が可能です。

 

14以上:人数分の魔香草を見つけました。

18以上:さらに、人数分の1d)点の消魔の守護石を見つけました。

22以上:さらに、人数分の2d)点の消魔の守護石を見つけました。

 

5-3 落とし穴

 

道を進むと、直進方向と左手に道が分かれています。

この場所に足を踏み入れた瞬間、嫌な感触がありました。罠回避判定(スカウト、レンジャー+知力B)をどうぞ。

※リルドラケンなど飛行系の能力を持つキャラクターは落下しません

 

18以上:とっさに罠を回避することができました。

17以下:足元に嫌な感触があった次の瞬間、あなたは落下します。

 

※判定に失敗したプレイヤーがいた場合(45点ダメージ)

15m落下しました。受け身判定(スカウト、レンジャー+敏捷度B)をどうぞ。

 

5-4 蛮族の死体

 

分かれ道を左に進むと、行き止まりになっています。また、大きな木があります。

ここでは、探索(スカウト、レンジャー+知力B)が可能です。

 

自動:蛮族の死体を見つけました。

18以上:さらに、人数分の3点魔晶石を見つけました。

22以上:さらに、人数分の5点魔晶石を見つけました。

 

蛮族の死体を調べました。見識判定(セージ、バード、アルケミスト+知力B)をどうぞ。

 

13以上:ケパラウラ(→Ⅰ446頁)ではないかと思いました。

 

また、異常感知判定(スカウト、レンジャー+知力B)をどうぞ。

 

自動:戦闘で倒されたのではないかと思いました。

18以上:魔法で倒されたのではないかと思いました。

22以上:雷属性の魔法ではないかと思いました。

 

5-5 人の死体(滝)

 

あなた達は、分かれ道を左に進みました。遠くに崖が見えます。

静寂の中、水が落ちる音が聞こえてきます。滝があるようです。

ここでは、探索(スカウト、レンジャー+知力B)が可能です。

 

自動:人間の死体とメモを見つけました。

18以上:一角獣の角(→Ⅱ261頁、残り1回。売却価格3000Gを見つけました。

22以上:さらに、支配の杖(→Ⅲ237頁、売却価格7420Gを見つけました。

 

女性の死体は腐敗しています。メモはドーデン語と交易共通語で書かれています。

 

〇ドーデン語

フレジア森林国にはユニコーンが生息している、と書かれている。

蛮族の牙の毒が身体に回っているかもしれない、と書かれている。

〇交易共通語

金属の名前が書かれていました。「劇毒、注意」「吊り橋の先」と書かれています。

 

5-6 密猟者の毒

 

森の中を突き当たりまで進むと、池が広がっています。

ここでは、探索(スカウト、レンジャー+知力B)が可能です。

 

14以上:人数分のAランクマテリアルカード(赤)を見つけました。

18以上:さらに、人数分のSランクマテリアルカード(赤)を見つけました。

 

〇メモを拾っていない場合

22以上:さらに、誰かが落とした袋のようなものを見つけました。

〇メモを拾っている場合

自動:さらに、誰かが落とした袋のようなものを見つけました。

 

袋を拾い上げると、中に白い石のようなものがあります。少しずつ、水に溶けて流れ出していることが分かります。薬品学判定(レンジャー、セージ+知力B)が可能です。

※シナリオをクリアするには、この判定に成功することが必須です

 

〇メモを拾っていない場合

22以上:これが、野生動物の大量死の原因となった有害な金属であることが分かりました。

〇メモを拾っている場合

自動:これが、野生動物の大量死の原因となった有害な金属であることが分かりました。

 

あなた達は原因不明の野生動物の大量死の原因を突き止めることができました。毒を回収し、集落に戻って報告すれば、依頼は達成です。

 

6 エピローグ

 

密猟者の毒を発見したあなた達は、集落に戻ってアメリアに報告します。彼女は森の動物がこれ以上傷つかなくて済むと分かってほっとしている様子です。

また、あなた達を知っている人間の女性がいるようです。見覚えのある神官がやってきます。

 

 

ロクサネ「お久しぶりです。私はキルヒア神官のロクサネです。この度は兄がお世話になりました。兄は私のことが大好きなので、また変なことをしていないといいのですが…気持ちは嬉しいのですがもう子供ではないのでちょっと恥ずかしいです。

 

私は現在、ユリウス様のお屋敷で働いておりますが、休暇の許しを得て自然豊かなこの地方で大自然を満喫しておりましたよ。すると、奇遇にもあなた達が依頼でこの国に来られていたみたいですね。ところで、ウルシラ地方で遺跡調査の依頼があるみたいですよ。ご興味ありませんか?」

 

〇基礎報酬(20000G+7000経験点、+2成長)

〇ボーナス(+2成長)

条件:ルノアイコスの撃破

 

○名誉点(人数による調整)

3人:+210

 

次回