概要

本記事は、筆者が以前GMをした卓に向けて準備した初心者向け資料の本文です。


TRPG「ソード・ワールド2.5」の簡単な紹介、シナリオ、サンプルキャラクターの種族、上級戦闘の流れ、サンプルキャラクターの選び方と各キャラクターの詳細について解説しています。


シナリオ紹介文とサンプルキャラクターの説明文を入れ替えれば、他のシナリオでセッションを開催する際にも応用できるはずです。


なお、この本文を読みやすく整形したPDF版は、BOOTHで配布しています。



目次

01. ソード・ワールド2.5とは
02. シナリオ「もう一度、名前を呼んで」について
03. 種族について(サンプルキャラクター)
04. 戦闘について(上級戦闘)
05. サンプルキャラクターについて

ソード・ワールド2.5(SW2.5)とは

概要・成り立ち

ソード・ワールド2.5(略称:SW2.5)は、北沢慶およびグループSNEが製作するテーブルトークRPGです。ソード・ワールド2.0の展開10周年を機に、2018年7月より刊行が開始されたアップデート版です。平成元年に発売された「ソード・ワールド」シリーズの最新形で2008年に「SW2.0」という新シリーズへ刷新され、その十周年記念の2018年に「SW2.5」としてバージョンアップされました。

舞台世界「ラクシア」とアルフレイム大陸

世界設定はお馴染みの「ラクシア」ですが、2.5の舞台は新たに設定された「アルフレイム大陸」へと移っています。この大陸では300年前に起きた蛮族の逆襲と天変地異〈大破局〉によって文明が破壊され、近年ようやく機能する国家が成立したばかりです。都市の大半は城塞都市や遺跡を利用した堅牢な構造を持ち、滅んだ「魔動機文明アル・メナス」の遺跡が各地に点在しています。

基本ルール・システム

ソード・ワールドの最大の特徴は、あらゆる判定を2D6(6面ダイス2個)で行う点です。どこのお店でも入手できる普通のサイコロ2個で遊べるという手軽さがあります。ルールブックも文庫本サイズで他のTRPGと比べてお値段も安く、スペースも取りません。

ルールブックはⅠ、Ⅱ、Ⅲの3冊構成で、それぞれLv1〜6、Lv7〜10、Lv11〜15のレベル帯に対応しており、まずは「Ⅰ」だけでも十分に遊べます。

基本的なルールは無印・2.0から引き継ぎつつも、バランス調整やデータの追加が行われており、2.0のキャラクターやシナリオを2.5へコンバートすることも可能です。

カスタマイズ可能な技能構成

職業(ジョブ)にあたるものを「技能」と呼び、大きく「戦士系技能」「魔法使い系技能」「その他系技能」の3種類があります。

戦士系はファイターやフェンサーなど武器を使って戦うもの、魔法使い系はソーサラーやプリーストなど魔法を扱うもの、その他系はスカウトやセージなど冒険を幅広くサポートするものです。技能は経験値の許す限りいくつでも習得でき、組み合わせによって個性的なキャラクターを作ることができます。

豊富な種族

ラクシアには、人間・ドワーフ・エルフ・ナイトメアといった種族のほか、魔動機文明時代に生み出された人造種族ルーンフォーク、ウサギに似た見た目のタビットなど、多彩な種族が暮らしています。アルフレイム大陸固有の新種族として、尻尾を持ち、顔が獣の姿に変化する種族リカントなども追加されました。

新システム「フェロー」

2.5で実装された新ルール「フェロー」はPCをNPCとしても活用できる仕組みです。仲間のキャラクターが別のシナリオでNPCとして登場して、パーティを補完するような使い方もできます。

シームレスな世界観

他のTRPGシステムによく見られる「シーン」という単位による管理がなく、行動の結果が連続する構造となっています。これによって自由度が非常に高く、会話を楽しむ余裕があることは、ソード・ワールドの魅力の一つです。

書籍展開

ルールブックⅠ~Ⅲの内容を、A4判でまとめた『ルールブックDX』も発売されています。多数のサプリメントが刊行されており、2026年6月には『降機の塔ヴァセーゴ』、その後に魔動機文明に関連するリプレイおよび大型サプリメントの発売が予定されています。

日本発TRPGとして非常に長い歴史と裾野の広さを持ち、ルールの分かりやすさと世界観の充実度からTRPG入門としてもシナリオ創作の舞台としても人気の高いシステムです。

「もう一度、名前を呼んで」について

15年前に行方不明となった貴族の娘を救出することが目的のシナリオです。近年流行している余韻重視型です。探索の内容と戦闘の難易度が連動する設計となっています。

高レベル帯の作成ですが、サンプルキャラクター(4種族分)や、初心者向けにルール等をまとめた説明書(本書)も用意しています。

注意事項として、サンプルキャラクターを使用しない場合は基本的にルールブックの持ち込みをお願いします。

また、キャラクターを一から作成する場合のサプリメントの導入は原則として持ち込みをお願いします。

13:30に本編を開始する予定です。キャラクターを作成する場合、遅くとも13:15までにはシートに書き写すだけの状態にして下さい。

本編は、3~5時間程度を想定しています。一時閉会後も、延長の可能性があります。

種族(サンプルキャラクター)紹介

人間

●見た目、世界観

現実世界の人間とほぼ同じ

寿命は約100年(成人15歳)

もっとも個体数の多い種族

●種族特性

[剣の加護/運命変転]

ゲーム内で1日に1回だけ、あらゆる行為判定、威力決定、戦利品の獲得のいずれかの2dの出目をひっくり返し、さらに+2(例:2→12、4→12、7→9)

●ゲーム的な特徴

能力値の合計は低めだが、種族特性が強力

どんな技能にも適性がある

●サンプルキャラクターの構成

魔術師(ソーサラー)

エルフ

●見た目、世界観

人間よりやや背が高く、華奢

寿命は約500年(成人15歳)

出生率が低いため個体数は少なく、穏やかで、水辺に暮らす者が多い

●種族特性

[暗視]

暗闇でも見える

[剣の加護/優しき水]

水中で自在に行動できる

毒・病気属性に対する抵抗力判定に+2のボーナス修正

片手を触れている相手にも、同じ効果を与えることができる

1時間、全身を水に浸すことで、6時間の睡眠と同じ効果を得る

●ゲーム的な特徴

筋力・生命力が低く、他の能力値が全般的に高い

魔法使いへの適性が高いが、斥候と兼任も可

●サンプルキャラクターの構成

妖精使い(フェアリーテイマー)

リカント

●見た目、世界観

首から上が獣の姿に変化することができる

寿命は約150年(成人15歳)

尻尾を持つ

●種族特性

[暗視(獣変貌)]

暗闇でも見える

[獣変貌]

首から上が獣の姿に変化し、筋力ボーナスに+2、敏捷度ボーナスに+1

リカント語以外の発声不可(聞き取りは可)

●ゲーム的な特徴

敏捷度が高く、精神力が低い

前衛適性高い、魔法使い系技能△(神官は○)

種族特性はグラップラーなど前衛のダメージディーラー向け

●サンプルキャラクターの構成

戦士(ファイター)

グラスランナー

●見た目、世界観

草原を旅する小さな人族で、体格は成人しても人間の子どもと変わらない

寿命は約200年(15歳で肉体的な成熟を迎える)

どこから来たのか、どこで生まれたのかは謎の種族

●種族特性

[マナ不干渉]

MPなし

精神抵抗力判定に成功すると、どのような効果も「抵抗:消滅」として扱う

1日に1回、主動作で魔法破りを試みることができる

「知覚:魔法」の敵に対し、命中力・回避力判定に+1のボーナス修正を得る

[虫や植物との意思疎通]

虫や植物が感じていることを、なんとなく理解できる(会話は不可)

●ゲーム的な特徴

筋力がかなり低く、器用度・敏捷度・精神力がかなり高い

回避盾◎、魔法使い系技能×(MPを持たないため)

種族特性は回避タンク向け

●サンプルキャラクターの構成

拳闘士(グラップラー)

戦闘の流れについて

●戦闘開始処理

1. 陣営の確認

2. 戦闘準備

3. 魔物知識判定

4. 先制判定

5. 戦力の初期配置

 

1. 陣営の確認

GMが確認します

2. 戦闘準備

△印の魔法の行使や効果の使用が可能です

3. 魔物知識判定

魔物を知っている(知名度)か、および弱点を把握している(弱点値)か、決定します

4. 先制判定

先攻側・後攻側を決定します(集団イニシアチブ制)

5. 戦力の初期配置

1m単位で配置します

●順次行動

先制判定で決定した先攻側・後攻側の陣営は、陣営単位で交互に行動していきます。これを戦闘終了の条件を満たすまで繰り返します。

あるキャラクターの手番中に、他のキャラクターの手番を挟み込むことはできません。

●手番の基本

キャラクターの行動は、以下の3要素から構成されます。


1 移動

2 主動作

3 補助動作


このうち「移動」→「主動作」の順序は、必ず守らなければなりません。

「補助動作」のタイミングは、任意です。移動の前や、主動作の後でも構いません。

●移動の基本

キャラクターの移動は、以下の3つに分類されます。


1 全力移動

2 通常移動

3 制限移動


以下は、原則として移動が制限されるケースの例です。


・移動妨害を受けた

・乱戦エリア(後述)が発生している

・移動を制限される魔法や効果を受けている


1 全力移動

キャラクターの移動力の3倍の距離(例:26×3=78m)まで移動できます。

「主動作」を行えません。また、多くの「補助動作」が制限・制約を受けます。

回避力判定に-4のペナルティ修正を受けます。

通常、全力移動が必要なケースは限定的です。


2 通常移動

キャラクターの移動力と同じ距離(例:26m)まで移動できます。

一部の動作が、制限・制約を受けます。

○:近接攻撃、遠隔(投擲)攻撃、練技の使用、賦術の使用等

×:魔法行使、遠隔(射撃)攻撃等

前衛のキャラクターは、先攻1ラウンド目に通常移動することが多いです。


3 制限移動

原則、3mまで移動できます。

魔法行使、射撃攻撃等を含む、ほとんどの動作が可能です。

後衛のキャラクターは、制限移動が主体となることが多いです。

●乱戦エリアについて

敵・味方が互いに接近し、近接攻撃等で互いに攻撃し合う状況を「乱戦」と呼びます。

上級戦闘では、乱戦状態となっている一定の区域を「乱戦エリア」と呼びます。

乱戦エリアは、その発生点を中心として、その前後に一定の幅(距離)で広がります。

乱戦エリアに存在するキャラクターの人数(部位数)と、乱戦エリアの範囲の関係は、以下の通りです。


人数 範囲(半径)

2~5 3m

6~10 4m

11~15 5m

16~20 6m


原則として、乱戦エリア内にいるキャラクターは、その状態を問わず、移動できませんが、一定の条件を満たすと例外的に移動することができます。

また、敵対的なキャラクターおよび乱戦エリアは「遮蔽」となります。味方キャラクターは「遮蔽」になりません。なお、一部のサンプルキャラクター(人間の魔術師、エルフの妖精使い)は《鷹の目》を習得しているため「遮蔽」を無視できます

いくつかの例外を除き、あるキャラクターの移動は、敵対的なキャラクターの「移動妨害」によって、移動を中断させられる可能性があります。

詳しくは、ルールブックを参照して下さい。なお、サンプルキャラクターは全員《影走り》を習得しているため、移動妨害されません

サンプルキャラクターの特徴と行動方針

1. 戦士(ファイター)

2. 拳闘士(グラップラー)

3. 魔術師(ソーサラー)

4. 妖精使い(フェアリーテイマー)


◆前線で戦いたい/武器を使いたい

戦士(リカント)

拳闘士(グラスランナー)

◆後衛で戦いたい/魔法を使いたい

魔術師(人間)

妖精使い(エルフ)

◆重い一撃を繰り出したい/タフな見た目が好き

戦士(リカント)

◆回避したい/3回攻撃したい

拳闘士(グラスランナー)

◆いわゆる「魔法使い」がしたい/複数を同時に攻撃したい

魔術師(人間)

◆妖精の使い手になりたい/複数を同時に攻撃したい

妖精使い(エルフ)

◆その他

→GMがお答えします

1 戦士(ファイター)

種族:リカント

構成:ファイター11スカウト9レンジャー7エンハンサー3アルケミスト1


最もオーソドックスな戦士系技能がファイターです。

《斬り返しⅡ》を宣言し、攻撃を外しても二度目の命中力判定を試みることが可能です。

武器カテゴリは〈フレイル〉です。

火力と耐久力を両立した構成です。詳細は〈バッドツインズ〉の効果を参照します。

スカウト・レンジャーを習得し、探索系の判定や薬草の使用が可能です。

《ファストアクション》を習得しているため、1ラウンド目の主動作が2回に増える可能性があります。

《影走り》を習得しているため、移動妨害を受けません。また、乱戦エリアで移動の制限を受けません。

《サバイバビリティ》を習得しているため、自然環境下でゲーム内1日に1回だけ抵抗力判定を自動成功にできます(サイコロを振る前に宣言します)。

《不屈》を習得しているため、HPが0以下となるようなダメージを受けても、生死判定に成功すれば残りHP1で耐え、気絶しません。

練技【キャッツアイ】【ビートルスキン】【マッスルベアー】を習得しています。

【キャッツアイ】は、命中力を「+1」します。

【ビートルスキン】は、防護点を「+2」します。

【マッスルベアー】は、筋力ボーナスを「+2」します。

効果時間は3ラウンド(30秒間)です。消費するMPは一律「3」です。

賦術【ヴォーパルウェポン】を習得しています。

Aランク1枚使用で、18ラウンド(3分間)の間、与える物理ダメージを「+2」します。

練技と賦術は補助動作で使用できます。また、練技は1ラウンドに複数使用できます。

・サンプルキャラクター

https://yutorize.work/ytsheet/sw2.5/?id=SuPCUj

2 拳闘士(グラップラー)

種族:グラスランナー

構成:グラップラー11スカウト9レンジャー7エンハンサー3アルケミスト1


攻撃回数が多く、高火力な戦士系技能がグラップラーです。

宣言特技は習得していません。サンプルキャラクターは攻撃回数に特化した構成です。

武器カテゴリは〈格闘〉です。

《追加攻撃》で常時3回攻撃が可能です。自身が先制判定に成功すると、先攻1ラウンド目は最大6回攻撃が可能です。

スカウト・レンジャーを習得し、探索系の判定や薬草の使用が可能です。

《ファストアクション》を習得しているため、1ラウンド目の主動作が2回に増える可能性があります。

《影走り》を習得しているため、移動妨害を受けません。また、乱戦エリアで移動の制限を受けません。

《サバイバビリティ》を習得しているため、自然環境下でゲーム内1日に1回だけ抵抗力判定を自動成功にできます(サイコロを振る前に宣言します)。

《不屈》を習得しているため、HPが0以下となるようなダメージを受けても、生死判定に成功すれば残りHP1で耐え、気絶しません。

練技【ガゼルフット】【キャッツアイ】【マッスルベアー】を習得しています。

【ガゼルフット】は、回避力を「+1」します。

【キャッツアイ】は、命中力を「+1」します。

【マッスルベアー】は、筋力ボーナスを「+2」します。

効果時間は3ラウンド(30秒間)です。消費するMPは一律「3」です。

賦術【ヴォーパルウェポン】を習得しています。

Aランク1枚使用で、18ラウンド(3分間)の間、与える物理ダメージを「+2」します。

練技と賦術は補助動作で使用できます。また、練技は1ラウンドに複数使用できます。

・サンプルキャラクター

https://yutorize.work/ytsheet/sw2.5/?id=Kv5kct

3 魔術師(ソーサラー)

種族:人間

構成:ソーサラー11スカウト9セージ8


レベル11以下の真語魔法

を行使できます。

《ルーンマスター》を習得しているため、1ラウンドに2回まで宣言特技を宣言できます。※厳密には、片方は「使用:魔法使い系」でなければなりませんが、サンプルキャラクターの構成では気にする必要はありません

《魔法制御》《バイオレントキャストⅠ》等の宣言特技を習得しています。

《鷹の目》を習得しています。遮蔽を「挟んで向こう」を狙うことが可能です。

範囲火力による殲滅が主な役割です。

スカウト・セージの両方を習得しているため、探索・知識系の判定に幅広く参加することができます。

《ファストアクション》を習得しているため、1ラウンド目の主動作が2回に増える可能性があります。

《影走り》を習得しているため、移動妨害を受けません。また、乱戦エリアで移動の制限を受けません。

《弱点看破》を習得しているため、魔物知識判定で弱点を知ることができた対象に対して、2倍の弱点ダメージを与えられる可能性があります。

戦闘準備で真語魔法【ブリンク】を行使できます。この魔法は、後衛が狙われる状況で役に立ちます。

主動作で真語魔法【ファイアボール】【ブリザード】等を行使します。

「対象:1体」なら【サンダーボルト】が最大火力です。

・サンプルキャラクター

https://yutorize.work/ytsheet/sw2.5/?id=8dMBG8

4 妖精使い(フェアリーテイマー)

種族:エルフ

構成:フェアリーテイマー11スカウト9セージ8


レベル11以下の基本妖精魔法

ランク14以下の属性妖精魔法(炎、水・氷、光)

を行使できます。

《ルーンマスター》を習得しているため、1ラウンドに2回まで宣言特技を宣言できます。※厳密には、片方は「使用:魔法使い系」でなければなりませんが、サンプルキャラクターの構成では気にする必要はありません

《魔法制御》《バイオレントキャストⅠ》等の宣言特技を習得しています。

《鷹の目》を習得しています。遮蔽を「挟んで向こう」を狙うことが可能です。

範囲火力による殲滅が主な役割です。

スカウト・セージの両方を習得しているため、探索・知識系の判定に幅広く参加することができます。

《ファストアクション》を習得しているため、1ラウンド目の主動作が2回に増える可能性があります。

《影走り》を習得しているため、移動妨害を受けません。また、乱戦エリアで移動の制限を受けません。

《弱点看破》を習得しているため、魔物知識判定で弱点を知ることができた対象に対して、2倍の弱点ダメージを与えられる可能性があります。

主動作で属性妖精魔法【ファイアストーム】【アイスストーム】等を行使します。

「対象:1体」なら【ファイアジャベリン】が最大火力です。

補助動作で行使できる属性妖精魔法【インビジビリティ】は、後衛が狙われる状況では役に立ちます。

・サンプルキャラクター

https://yutorize.work/ytsheet/sw2.5/?id=yLMT5S


当日は、PL6人(満員)でした。

TRPG歴10年以上のベテランもいるようなセッションで、この資料の出番はほとんどなかったのですが、他のセッションにも使い回せる内容なので身内卓など初心者の多い会に持っていくと思います。

この資料を作ったきっかけは、今年のゴールデンウィークに開催されたレベル10-11作成の別のシナリオに、ソード・ワールド2回目の初心者が参加することになったことです。

4日(月祝)に経験者卓、5日(火祝)に初心者卓を開催したのですが、その方は4日のみ参加可能だったため、経験者卓に参加することになったのです。筆者の過去の開催卓では、レベル11作成の卓にソード・ワールドが2回目で参加した人が1人、3回目で参加した人が2人ほどいました。

なお、当日の6人パーティに関する話です。

サンプルキャラクターの後衛はソーサラー or フェアリーテイマー、スカウト、セージの組み合わせです。当日はソーサラー11、コンジャラー10、セージ3の組み合わせの方がいました。

実は、この構成は筆者も好きです。サンプルキャラクターに採用しなかったのは、2系統(3系統)の魔法が初心者向けではないためです。

複雑さが上がりますが、ソーサラー&コンジャラーなら3系統の魔法が使えますし、メインがフェアリーテイマーならサブをプリースト(キルヒア神官がお勧め)やドルイド(補助動作で行使できる魔法がとても優秀)にすると仕事ができるビルドになります。

その他、ルールブック記載の人間の戦士のサンプルキャラクター(11レベル)を改造して使っていた人がいました。あのサンプルは優秀ですね。人間のスカウトです。

その他、フェアリーテイマー11バード11プリースト2の方がいました。ウォーリーダーがないのは、PLがメイガスアーツを未所持だったためです。

ボス戦では、敵・味方を無差別に【クラップ】を演奏した結果、味方の戦士は前線で武器を捨てて手拍子を始め、専業アルケミストはカードシューターを落とし、連れていたドラゴネットは手拍子しながらブレスを吐き、敵も手拍子している間に【ペトロ・クラウド】で石化されました。

その後、メリアの吟遊詩人はNPCを巻き込んで夜明けまで【コーラス】を演奏を続けた結果、口には猿ぐつわを嵌められ、首から「私がやりました」の札を下げられて、石化した魔物と一緒にギルドに納品されました。めでたしめでたし。


バードのPCですが、精神力を上げるため、空いた部位を〈ラル=ヴェイネのリボン🎀〉で全部埋めていました。よく分かっていますね。

筆者も、左手を〈スマルティエの知性の指輪〉、7部位を〈スマルティエのリボン🎀〉で固め、7つの色で「虹色!」ってしたことがあるよ、と言ったら別のプレイヤーの顔が引きつっていました。……おかしいですね。ですが、人類がリボン🎀の素晴らしさを理解する日はそう遠くないでしょう。

ちなみに、この7色リボン🎀のエルフのPCはアイドルという設定だったのですが、落とし穴に嵌ったNPCを助けるシーンで、NPCが「あなたはだあれ?」と聞いてきたので、暗視のない味方のために暗闇で持っていた松明を掲げてくるくる回りながら「炎の妖精さんだよ!🧚」と言ったところ、GMがしばらくの間絶句していたので「違う、私は全身リボンのアイドルだよ!」と返事するくだりがありました。⋯⋯が、あまりにもPLの顔が引きつっていたのでそこまで話せませんでした。でもいいんです。徐々に慣れていってもらいましょう。


さて、ここからはシナリオのネタバレを含む、元ネタ等の解説になります。

「もう一度、名前を呼んで」に登場する農園は社会ホラー風の描写があります。これは元となった現実の事件が存在します。

筆者が最も強く意識したのは、ガイアナ(中米)のジャングルにかつて存在した、アメリカ人のカルト集団「ジョーンズ・タウン」です。人民寺院とも呼ばれ、教祖ジム・ジョーンズによって「楽園」を謳った農園が経営されていましたが、900人を超えるコミュニティは最終的に悲劇的な結末を迎えます。

衝撃的な内容を含むので書きませんが、解説はYouTubeの動画等でまとめられています。

「名前を呼ぶことで呪いが解ける」という設定は、ヨーロッパに広く存在する人狼伝承を採用したものです。「名前を呼ぶ」ことで呪いが解ける条件にはバリエーションがあり「狼人間となった人物を知る最後の1人が死ぬと、二度と人間に戻れなくなる」という伝承は、アシュリーの生存を信じ続けていた高齢の父親が、冒険者ギルドに依頼して彼女を救い出すための鍵となる最後の1人だったことと対応しています。

一方「人を番号で呼ぶ」という設定は、歴史上の出来事を意識しています。

農園で働く人物が名前ではなく番号で呼ばれる描写はアメリカの黒人奴隷の歴史を参考にしています。また、ナチス・ドイツによって強制収容されていたユダヤ人は、刺青で掘られた番号で呼び合うことを強制されていた記録があります。

「子どもを親から切り離す」という農園の描写で最も強く意識したのは、共産主義国家(旧ソ連や現代の北朝鮮など)の教育制度です。

また、北米やオーストラリアの先住民の子どもたちは、親から切り離され、親のつけた名前ではなく欧米人の名前で呼ばれるようになりました。名前がアイデンティティであるとする考えは、歴史上の出来事にも共通するものがあります。

名前を呼ばれた後のベアトリスやアシュリーの反応(記憶喪失からの回復、子どもへの愛着等)は心理学の知見を参考にしながら描写しました。話が逸れますが、英語の試験であるTOEICでは「喫煙室はどこですか」という例文が出ないという話があって、これはTOEICの世界では喫煙者自体が存在しないことになっている、というジョークがあります。これは一種のブラックジョークですが、本作も子どもが嫌いな人は存在しない世界観になっているため大差ないかもしれません。

このシナリオにおいて、ワーウルフの洗脳は「名前を呼ぶと呪いが解ける」以外に「家族への愛情は奪えない」という設定があるのですが、これは「怪物は愛情を理解できないが、人間は愛情を理解できる」という考え方に基づくものです。