密度を増したと錯覚させる張り詰めた大気が、刃と化して容赦なく切りつける。
荒くなる心拍に反して、浅くなる呼吸。
口元から吐き出される呼気は自由を奪われ、瞬時に気体から結晶に姿を変える。

生気、或いは魂に形があったのなら、同じように微細な粒子と化し、一瞬の内に打ち砕かれていたかもしれない。
その想像は、世界の終わりに直面したかのような絶対的絶望のイメージを、悪戯に胸の内奥に広げた。


彼の身体を硬直させ、嘲笑うように覇気を奪っているのは、無論過酷な自然環境だけではない。

ここは、王国と北方諸国の西端を分断するように聳える連峰の一角。
天然の要塞に阻まれ、人が踏破するには余りにも厳しすぎる環境である事から、国境線という戦略的重要拠点でありながら、長らく非干渉地帯とされた忘れ去られた大地である。


彼は今、連峰を貫く渓谷の最奥部で、天を睨むように槍を構えていた。

目的を問われれば、分からないと言うより他にない。
何故かと問われれば、理由は必ず必要かと冷笑をもって切り返す事さえできたかもしれない。
気が付けば槍を握って、ただここに立っていた。

背後には、10体の異形のものの亡骸が無残な姿で転がっている。
数刻前に、群れを成し彼に襲い掛かってきた魔物の成れの果て。

その瞬間は生き延びるため…そんな感覚すらなかった。恐怖さえ感じなかった。
ただ向かってくるものを打ち倒すために、身体が自然に動いた。
意識や感情とは無関係に、殲滅のために条件付けられた身体。
そうと言うより他になかった。

分からないのは目的・理由、それだけではない。
自分が誰なのか…それさえはっきりと思い出せない。
それが何らかの衝撃による一時的な症状なのか、以前からこうであったのかさえも。

槍先から鮮血を滴らせ、返り血に染まって尚、恐怖も高揚も感じない。
ただ身体だけがそこにある。殲滅するための存在。
まさにそんな感覚だ。


一瞬の静寂の隙間に物思いに耽る。
「俺は一体…」

その時だった。

全身を巡る悪寒、呼び起こされた恐怖の記憶が、強制的に彼を現実の世界に引き戻す。
直感的に悟る、生命を脅かす存在。
生命…それが意味するのは彼個人の生命ではない。恐らくは人類全体、全ての生命。

生命体でありながら、生命と敵対するもの。
その矛盾に満ちた許容不可能な存在が放つ邪気が、自然と視線を上に上げさせた。
全身を支配しようとする恐怖感と絶望に抗うように、無意識に槍を握る手に力がこもる。


天から降り注ぐバールの怒りを思わせるような強烈な雷光。
天を割るトールの一撃。
光をも切り裂いた深闇の影から、禍々しきものが姿を現す……!!!!


飛竜の書 1Day:開闢 01

※注:ハンマー使用の瞬間は、見事にスクショのタイムラグでタイミングを外したので、試しにハンマーを貼り付ける加工をしてみました(。・ ω<)ゞテヘペロ?(爆)


飛竜の書 1Day:開闢 02


金色の体躯、荒ぶる双角、真紅の瞳、全身に満ちた神さえも恐れぬ威圧感。
轟く咆哮と共に広げられた翼が、視界の大半を奪う。
天空の全てを手中にしたと言わしめん傲慢な翼のはためきは、まさに「天空の覇王」の威厳そのものだ。
必死に追いやった恐怖感が、否応なく呼び覚まされる凶悪な存在感。


これがもし勇者だったのなら、目的も理由もなく、ただ前に進めばいいんだろう。

何も考えなくとも、倒すべき敵は自ずと姿を現す。倒した先には理由もなく進むべき一本道が切り開かれる。
どんなに強大な敵が立ち塞がろうとも、運命の名の下に必要な武器・仲間が自然と集い、規定事実であったかのように困難を打ち砕くのだろう。

そしていつか、世界を混沌に陥れようとする魔王を打ち倒し、真の勇者と呼ばれる。
勇者…他者が口にするその言葉の響き以上の自覚もないまま、いつしかそれは伝説となる。


分かっている。無為な妄想だ。
然し、意識的に恐怖感から目を逸らさなければ、その場に立っている事さえ困難であろう事は明白だ。

「俺が本物の勇者だったのなら、ここで死んでも直前のセーブポイントからやり直せるんだけどな?
トナカイのきぐるみに、クリスマスツリーの槍、仲間の影はどこにもなし…」

内心呟き自嘲的な笑みをこぼす。

「せめて恋人役の仲間が欲しいところだけど、ボッチで祈りでも捧げた方が、敬虔なクリスチャンに見えるってもんか?
少なくとも、そっちの方が勇者よりかは幾分現実的…って思うしかねーな?」

自らを鼓舞するように片手で槍を回転させ、おもむろに足を踏み出す。
そこには死地へ向かう、重々しさは微塵ほども感じさせなかった。








飛竜の書 1Day:開闢 03


…って、Lv1でハンマー使っちゃったよ、この人!?Σ(-`Д´-ノ;)ノ?!

やべぇ!やべぇよ、この人!マヂで勇者だよっ!?勇者of勇者だよ!?!?( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン(爆)




で、報酬は…記憶x3…
#まぁ、半端なキャラが落ちるよかましか…(;-ω-)ノΩチーン


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激しく上下する肩。
乱れた呼吸は結晶化より早く、白い息を目の前に広げている。

足元に横たわる真紅の瞳は空虚な空洞となり、既に何も映してない。

微動だにしない巨躯の傍らで光る宝石…騎士の記憶を拾い上げようと腰を屈める。
一瞬ハレーションのように乱反射した硝子面。

その光の隙間と隙間におぼろげに映った人影。

………

こ、これは…若き日の…俺…?

(続く…かもしれないw)



※注
当エントリは、某ゲームにおいて開催されていた下記イベントを受けて、思いつきでギャグ披露したものであるw
当初は、オチ(Lv1ハンマー)のみ文章で、後はスクショで構成するつもりが、いつものノリでついついやっちまいました(爆)

正直、ハンマーの報酬をテーマに、場当たり的に物語らしきものを作ったので、今後の展開に無理が出る事は否めない。
気分次第ではあるが、未完の駄作という何ともやりきれない代物になる可能性が9割以上あるので、そこはあらかじめご了承を( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン(笑)

つか、9割以上ありながら堂々とTheインターネッツで公開してるあたりの勇気っぷりを寧ろ称えて欲しい…てか、称えるべきだと思う。

勇気あるもの、それこそがまさに勇者なのだから(謎)


【イベント名】
マゴニア物語~天の支配者、地の支配者~

【開催期間】
2016/7/25(月) ~ 2016/8/1(月) 14:59

【イベント概要】
専用のイベントクエストで入手することができる「飛竜の壺」を割ることで巨大なワイバーンが登場し、戦うことで豪華な報酬を獲得できるイベントです。
騎士団メンバーや戦友と強力して巨大なワイバーンを倒そう!
撃破報酬や交換所で限定SSRをゲットしよう!

【参考】オルサガ攻略Wikiまとめ
http://hortensia-saga.gamerch.com/%E3%83%9E%E3%82%B4%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%89%A9%E8%AA%9E%EF%BD%9E%E5%A4%A9%E3%81%AE%E6%94%AF%E9%85%8D%E8%80%85%E3%80%81%E5%9C%B0%E3%81%AE%E6%94%AF%E9%85%8D%E8%80%85%EF%BD%9E