僕は殺風景なコンクリートの空間の中央に立っている。
僕は待っている。

押し寄せるような冷たい空気の中
空を仰ぎ煙草の煙を吐き出す。
続いて吐き出される息も可視的な物体と変わり
煙草の煙と見分けが付かない。

遥か上空で星の光を遮る闇がタールのように見える。
一晩中空から流れ続けるこのタールの滝を一枚めくった先には
光溢れる違う世界があるのかも知れない。

短くなった煙草を投げ捨て
取り出した新しい煙草に火を付ける。
もう一度ゆっくりと空を見上げ
深くまで吸った煙草の煙を悪びれも無く吐き出す。

僕は待っている。
そうしていれば何が起こると言う確信も無いまま
ただその場に立ち尽くしている。



【22歳 2月13日のキミへ】
よく空を眺めていた。
空の質感に何かを感じ取ろうとしていた。
とりわけ、雨が止んだ後の澄みきった夜空が好きだった。
どんな喧騒も、この透き通るような闇の前では無力だ。

ボクは、自分自身もこの闇の中に溶け込ませたかったのかな?