クリスマスから新年にかけての特別番組や音楽祭ラッシュがようやくひと段落して、Mのメンバーたちと出かけた。大きなショッピングモールで、もうすぐ春節の休みで実家に帰る中国人メンバーたちは、思い思いにお土産を物色している。ルハニヒョンはミンソギヒョンとお母さんに贈る化粧品を見にいって、クリスヒョンとタオは洋服を見に行ったので、特に目的のない僕とイシンヒョンは、吹き抜けになっている二階のコリドーから一階の噴水広場を見下ろしながら、手持ち無沙汰にテイクアウトのコーヒーをすすっている。
「ヒョンはお土産とか見なくてもいいの?」
とたずねると、イシンヒョンは
「帰ってくる僕がお土産だから、ほかはとくになくてもいいんだよ。」
と言ってふわりと微笑った。
「久しぶりだなぁ、おじいちゃんやおばあちゃんに会うの。」
手すりにもたれ、一階の広場を行くベビーカーの家族連れを見おろして、目を細めながらヒョンが言う。僕は少し冷めはじめたコーヒーを一口すすって、ヒョンが頬杖をついている手すりにもたれかかった。
「向こうにはいつまでいるの?」
「んー、3日かな。3日には戻る。」
ヒョンは手すりにひじをついたまま、首をかしげて僕を見あげる。
「寂しい?」
「…?」
カラになった紙コップをくわえて、尻ポケットからスマートフォンを取り出そうとしていた僕は、イシンヒョンの顔を見る。
「ヒョンがいなくなると寂しい?」
僕は聴こえないふりをして紙コップをダストボックスに放り込んだ。イシンヒョンはたまに、僕にこんなことを言わせたがるんだ。
「ねー、ジョンデやー。」
「……それは秘密です。」
僕が重々しく言うと、ヒョンはあっは、と声をあげて笑った。透き通ったよく通る声に、周囲の人が振り返る。
「大声だしたら見つかっちゃうって…」
言いかけると、ぴょんと手すりの段差を飛び降りた。慌てて僕も段差を飛び降り、ヒョンのあとを追う。
「CD見に行こう。」
「うん。」
イシンヒョンはだいたいいつもこんな感じで、急に何かを思いつくから、知り合った頃は切り替えるのが大変だったけど、近頃はだいぶ慣れた、と自分でも思う。
「あ、そうだ。」
ほら、また何か思いついた。
「なに?」
「中国のお土産、何がいい?お菓子とか?」
「んー。」
ポケットに手を突っ込んで、僕は少しだけ考えるふりをする。欲しいものなんて、ほんとはわかりきってるくせに。
「…帰って来るヒョンがお土産だから、ほかはとくになくてもいいや。」
そう言ったら、ヒョンは、またはじけるように笑った。
…fin
別のお話の部分として書いてたやつなんですけど、うまくおさまらなかったのでこのままのっけることにしました。実になんでもない話になってしまった…。
