今日ポストを覗くと一通の手紙が入っていた。先月発刊した本の感想が最近読者から届き始めているので、そうした手紙かと思い差出人を見ると、MHという見覚えのある名前が書かれていた。


差出人はかつて新潟マツダで出向代表をやっていた時、新潟市内の店長をやられていた方だった。
新潟マツダでは2004年まで代表をやっていたので19年振りの懐かしい名前だった。

手紙には、突然の便りを詫びる文が書かれた後に、令和元年6月に体調を崩し、検査の結果膵臓癌の告知を受け医者から5年後生存率20%の告知を受けたというショッキングな内容が書かれていた。


その文面を見て絶句した。マツダ時代に懇意にしていた後輩が膵臓癌で亡くなられており、背筋が凍りつくような病名だった。
彼は宣告をうけた後、手術を受けた事。その手術は12時間に及ぶものであったこと。その後会社を退職されたことなどが、とつとつと書かれてあった。
更に手紙には、会社に勤務していたころは本など読まなかったことや、人生観の変わるような病気にかかってからというもの本を読むことが多くなったと書かれていた。
新しい本を探しに近くのアピタ新潟亀田店の書店に行った際、積まれていた本の中に、著書名に見たことがある名前が書かれている本があったという。本の著者紹介頁を見て確信したのだという。そして、驚いたことと、一緒に仕事をした当時の楽しかった思い出がよみがえったという事がせつせつと書いてあった。

彼の性格は明るく、考え方も前向きであったために、店舗巡回で彼の店に行くのが楽しみだった。良く笑わせてもらったものだった。部下やお客様の受けも良かったのではないかと思う。店舗の成績や採算もいつも見事なものだった。

その明るい彼が「人生観や死生観が変わった」という事が書かれた手紙を見て言葉もなかった。言葉にしようとしても空虚でむなしいものにしかならないように思った。

メインの職業を定年して、残された人生を考えることが多くなったが、しかしまだそこに期限を切られたことは無い。そこに存在するリアルな差ははかり知れないものだろうと思う。

19年振りの邂逅は嬉しくも辛いものでもあった。明日の保証が無いことに思いを馳せて、今に思いをよせる大切さを感じる。