1 私の母親は,1970年代から現在に至るまで熱心なエホバの証人信者です。

私の目からすれば,母は非常に謙虚で,利他的で,可愛げのある性格で,誠実を絵にかいたような立派な女性です。

 

2 母親がエホバの証人信者である以上,自分も「輸血拒否」の問題に直面することがいつかあるのかもしれないと思うことはありましたが,しかしその思いは極めてぼんやりとした漠然としたもので,「現実の死の蓋然性を伴う緊急の事態」が発生するという意識を持たずに数十年過ごしてきました。

 

 まさか自分が,「輸血をすればすぐに救命されるが,しなければ母は確実に亡くなる」・「輸血の判断は数時間のうちにしなければ母の救命は不可能になる」という事態に直面するとは,現実の問題として想像しませんでした。

ベットの上で,そして救急車の中で母親の手を握りながら,「今日のうちに死ぬとしても輸血を拒否するのか」と,本人の意思を何度も確認するときが現実に来るとは思っていませんでした。

 

しかし,私と私の家族は,そのような事態に直面しましたし,その事態はある日突然にやってきました。

 

私と私の家族が経験したこの出来事は,非常に重大な教訓や課題を与えるものになったと強く感じました。

 

3 この経験について,公にするかどうかについて悩みましたし,熟考も重ねました。
 

結論として,

①今この瞬間にも,日本中・世界中で,「輸血拒否の信条と,情報不足により,助かるはずの命が助からない」という事態が確実に次から次へと発生し続けているであろうこと,

②「エホバの証人の緊急輸血拒否が起きた場合に現場で何が起こるのか」についての具体的事例に基づく生の情報があれば,そうした命が救われることがあるかもしれないことなどを考え,

 

起きた事実を可能な限り正確に書き綴ると共に,弁護士として,そして,こうした事例の実際の当事者としての自分の考えを書くことにしました。(エホバの証人信者の立場に立ち,その信仰を最大限尊重する立場に立ったとしても,緊急輸血の場面で「救われるはずの命が救われない」という事態を避けるために有益な情報であると信じます。実際,私は,母の信仰を全面的に尊重して行動しましたが,それでもなお,母は絶望的な状況の中にあっても救命されました。)

 

エホバの証人とかかわりのあるすべての方たち,特に,
家族や愛する人の中にエホバの証人の信者がいる方,
医療関係者や弁護士,広く社会学を研究する方たちなどに,
この情報が何かの役に立ってくれることを願います。

※専門家(特に医療関係者の方々)からの何らかの正確なご指摘を受ける場合,適宜,書いた内容の更正をすると思いますので,その旨も併せて事前に記載しておきたく思います。



 

※2022.2.28 加筆
①一般的な個人的相談等へのご対応は,原則として辞退させていただいております。

②一方,ブログの完成後,短い期間の間にも,専門医の先生方からの医療方針等についてのお尋ねをメッセージでいただくことが何回かありました。そのような場合には,力不足かもしれませんがご対応させていただいております。
医療関係者,法律関係者,社会学者,心理学者など学術・専門実務において当職とのアクセスをご希望の方がおられましたらご対応させていただきます。

③また,現実に,「エホバの証人親族が近いうちに手術等の輸血に関わる治療の選択」が必要なので,相談したいという,現実性や緊急性がある場合でご希望がある場合,自分自身の経験に基づくご相談にのることも可能かと存じます。

※下記に,私が経営する弁護士事務所のURLを表記いたします。このブログ自体は基本的に今後は更新予定がなく,私自身がアクセスすることが今後は極端に減る可能性が高いため,当職が代表をしております下記法律事務所の「問い合わせフォーム」を使用して,上述のケースに当たる場合はお気軽にメッセージを頂きたく,宜しくお願いします。(講演等を除き,費用はいりません)

 

 

 

 

文責 弁護士田中広太郎