【マジック裁判・刑事】最高裁決定が届きました。
マジックに使うギミックコインを作るために、日本円硬貨を収集したとのことで、貨幣損傷等取締法違反、そして、海外で作らせたコインを日本に輸入したとのことで、関税法違反で起訴され、これでは事実上日本円のギミックコインが使えなくなるとの理由で、マジシャンの表現の自由を不当に制約するものとし、憲法21条1項違反を理由に、無罪主張をしていた事案。私が弁護人をしている案件です。
第1審当時、法廷において初めてギミックコインを用いたマジックが行われたということで話題になり、TV、ラジオ、新聞等でも取り上げて頂いた事件の最高裁の決定が、平成21年12月9日付けでようやく出ました。
上告して約2年。さぞかしまともな判決がでるかと少しは期待していたのですが・・・・
紙っぺら1枚の、上告棄却の決定。以下、理由部分の全文引用します。(事件番号 平成19年(あ)第2066号)
「弁護人小野智彦の上告趣意のうち、憲法21条1項違反をいう点は、貨幣損傷等取締法は、貨幣の信用を維持し、経済取引の円滑を期するとの見地から、貨幣を損傷等する行為及び損傷等する目的で集める行為を禁止するものであり、また、関税法は、同様の目的から、貨幣の偽造品、変造品及び模造品の輸入を禁止するものであって、手品ないしマジックを演ずる自由を規制するものではないから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反の主張であって、刑訴法405条の上告理由にあたらない。
よって、同法414条、386条1項3号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。」
なぜ、これだけの決定を書くのに、2年もかかるのか・・・。
もちろん、決定の内容はある程度推測していたにしても、さんざん待たされた被告人を納得させるだけの充実した理由付けが欲しいところです。なぜなら、被告人は判決の確定まで、執行猶予の起算が始まらないのです。明らかに、被告人の地位を蔑ろにしています。
最高裁が日本に一つしかなく、事件数が多いのも分かりますが、もっと、被告人の立場に立った刑事司法を実現して頂きたいものです。
不本意ながらも、これで、決着がつきました。
長い間応援して頂いた方々、見守ってくれた方々、ありがとうございました。
事務所の入り口です。
事務所の入り口です。巣鴨駅から徒歩5分弱。都バス「とげぬき地蔵前」バス停目の前にあります。
豊島は、「とよしま」ではなく、「としま」と読みます。年増の事務員さんが多いから・・・(笑)というわけではありません。豊島区に殆ど法律事務所がなかったころに設立されたので、この名前になったようです。
ちなみに、事務所設立は1972年。
弁護士が4人並んでいますが、一番上の「白谷大吉」は、平成14年2月に逝去。
この先生の存在が大きすぎ、未だに名前を消せません。
「白谷先生の思い出」と題した寄稿文がありますので、そのうちアップしたいと思います。
以下が、事務所の地図です。
庶民的な、敷居の低い事務所であることが、アピールポイントです。
弁護士も事務局も、親切かつ気さくというのがモットーです。
よく、『「こんな相談したら怒られるんじゃないかしら?」と思いながら来ましたが、ちゃんとお話しを聞いて頂けて嬉しかったです。』という言葉を頂きます。また、「優しい先生で良かった。」という言葉も頂きます。
やはり、弁護士というのは、怖いイメージがあるんでしょうね。敷居も高いし。
友人の美容師が、時々お店をマジックショーの会場にしていたりしますが、うちの事務所も夜はマジックバーにでもしようかな(笑)。