社会福祉法人の評議員5人に現金20万円ずつを渡して,その見返りに理事の選任手続を操作したとの容疑で,山梨県警が甲府市内の社会福祉法人理事長ら3人を社会福祉法違反(贈賄)容疑で逮捕したとの報道が本日ありました。同時に評議員5人も同法違反(収賄)容疑で逮捕されています。

 

社会福祉法人役員らの贈収賄を禁じる規定は,平成28年(2016年)の社会福祉法改正で新設されていますが,山梨県警によると改正法の適用は全国初とのことです。

 

そもそも社会福祉法人は,特別養護老人ホームや障害者施設,保育園など,幅広く福祉事業を担っています。統計的には全国に2万近い社会福祉法人があって,16万個所ある福祉施設の約半数が社会福祉法人によって運営されているそうです。公共性・公益性が高いため,税制などで優遇があるほか,行政からの補助金もあります。

 

社会福祉法人の「私物化」については,一方で社会福祉法による規制が強化されつつありますが,現実問題として,理事長一族による運営費の不正流用が散見されるほか,親族による「世襲」が行われたり,運営権が億単位で売買(闇取引)されたりするなど,「私物化」はけっして珍しいことではありません。

 

少子高齢化が進む我が国において,福祉事業を幅広く担う社会福祉法人は無くてはならない大切な存在です。社会福祉法人を「食いもの」にしようとする輩にはとっとと「退場」して戴かねばなりません。

〇うちのオカンがね,JOCの評議員会で失言した人の名前を忘れてしもた…って言うんよ。
◆失言…言うたら「アノ人」しかおらんやろ。
〇僕も絶対「アノ人」やと思うねんけどな。
◆「アノ人」は「失言大魔王」とも呼ばれる,ホンマに日本でも一番の人なんやから。
〇そんで「アノ人」は,元総理大臣やったと思うねんな。
◆総理大臣どころか,自民党の最大派閥の領袖までしてはった「キングメーカー」なんやから。
〇ところがオカンは,アノ人は「ソウリ」とは違うって言うねんな。
◆いやいや間違いなく総理大臣してはった人やがな。
〇オカンが言うには「アイムソーリ」なんて絶対に言うたことない人や…って。
◆たしかにヒトに謝ることなんか絶対にせーへん「上から目線」の人やからね。
〇謝罪会見で「逆ギレ」する謎の生物…って「残念な生き物事典」にも載ってるって。
◆それはないと思うわ。
〇「How are you?」と聞くところを「Who are you?」て言うてしまう人やって「ワケあって絶滅しました図鑑」にも載ってるって。
◆オチが「me,too」の話やね(笑)。それはアカンやつよ。天下の「大誤報」やねんから。
〇え~? 誤報って,あれ間違いなん?
◆毎日新聞の記者が作ったジョークやねんけど,その出来が余りにも良すぎて,各メディアがこぞって配信してしもうたと言う,いわくつきのフェイクニュースなんやから。
〇そら知らんかったわ。
◆爆笑問題の太田光さんが「アノ人」に「“Who are you?”の話,大好きなんですよ」と話しかけたら,怒って帰ってしもうたと言うてはったんやから。
〇「アノ人」なら,絶対にやってしまいそうな話やねんけどな。
◆そやから,いまだにホンマの話やと信じてる国民も多いみたいなんよ。
〇ほな「冤罪」というか,「アノ人」こそ「被害者」なんやね。
◆けど,そもそもが失言大魔王やから,「身から出たサビ」やと言う人もおるから世の中はキビシイのよ。
〇そんでな。あんなに偉そうで,上から目線の人を「シュショウや」なんて絶対おかしい…って,オカンが言うねんな。
◆ちょっと,今のところ分かりにくいんで,もっぺん言うてくれる?
〇せやから「殊勝やない」…って,意味わからん?
◆文字にしたら分かるんやろけど,ちょっと聞いただけでは分からんわ。これは君のオカンが言うてるんやのうて,なにかカラクリがあるとワシは睨んでるんやけど。
〇正解。いまのは俺の作ったネタやねん。
◆そんなん,いらんから。オカン,もっと何か言うてへんかった?
〇オカンが言うには,「女性蔑視」なんかする人やない…って言うねんな。
◆オカンは「アノ人」のいったい何を知ってるのよ?
〇オカンが言うには,ちょっとしたユーモアのつもりで言うただけで,別に何も深くは考えてないはずや…って。
◆何も考えないままの女性蔑視発言やったら,なおさら悪いのとちゃう?
〇いや「女性蔑視」という四字熟語すら知らんねんから,しゃーないのとちゃうか…って。
◆なんの話やねん。
〇熟語は二字か三字までで,四字はもうアカンねんな。ほら「四字もあったら耐え難い」ってみんな言うてはるやん。
◆そら「余人を以ては代え難い」やろ!
〇何でもエエねんけどな。「アノ人」は,不適切やった言うて発言を撤回して謝罪もしてはるねんな。
◆いったい何がどう不適切で,何を撤回して,何を謝罪したんやろか。ここが分からんのやけど。
〇それは俺もよう分からんねんけどな。オカンが言うには,形式さえ整っておれば中身は何も無くても,どうにかなるのが日本式やねんて。
◆それでは国際社会には通用せんやろ。
〇通用せんから「残念な生き物事典」に載ってるって。
◆もうええわ。

 あやうく見逃してしまうところでした。先週4月13日(土)の神戸新聞朝刊に「住民票,11月から旧姓併記可能 女性活躍推進の一環,就職時など便利」と題する共同通信の配信が掲載されていました。全文をそのまま以下に引用します。
 
 「総務省は12日,住民票やマイナンバーカードの運用を見直し,11月5日から旧姓を併記できるようにすると発表した。政府が進める女性活躍推進の一環。公的に証明されることで,就職や銀行口座の開設などの際に旧姓を使用しやすくなるという。希望者は11月5日以降,居住する市区町村に届け出る。旧姓を確認できる戸籍謄本などの提出が必要。氏名とは別の欄に旧姓が表示された住民票の交付が受けられるようになる。マイナンバーカードでは,姓と名の間にかっこ書きで記載。政府は2016年に決定した「女性活躍加速のための重点方針」で,働きたい女性が不便さを感じないよう,旧姓の使用を拡大すると明記。具体策として住民票などでの旧姓併記を挙げていた。(共同)」
 
 いや~。ようやくですね。私がブログでこの問題を取り上げたのが,4月11日(木)でしたから,グッドタイミングではありますが,たったこれだけのことを実行するのに,政府が約3年間を費やしたことにはちょっと呆れてしまいます。
 
 しかも,神戸新聞は共同通信の配信をそのまま掲載しただけで,特に独自取材はしていないようです。他紙においても,特に大きく取り上げた報道には接していません。マスコミにはあまり興味のあるニュースではないのでしょうかね。
 
 外国人の住民票等で通称使用を認めてきた経緯から,住民票への旧姓登録の実施は技術的・手続的に極めて簡便です。政府が本気になれば,1か月で実施可能なレベルのことに,これだけの歳月が掛かったということは,「選択的夫婦別姓制度」の導入は,もう何十年も先のことになるのではないか…と気が遠くなってしまいます。もともと「選択的夫婦別姓制度」には根強い反対があります。嫌な人は別姓を選択せず,これまでどおりで良いのだから,所詮は「他人の人生における選択」に横から介入しているに過ぎないのですが…。また,その導入のためには,婚姻による改姓を前提に維持されてきた「戸籍制度」に大きな改変を加えなければいけないという手続的・技術的なネックがあります。
 
 ただ,婚姻により改姓を余儀なくされたパートナー(その96%は女性)も,今回の改革で旧姓使用が公的に認められ,それを証するID(身分証明書)となるマイナンバーカードやパスポートに,戸籍姓と旧姓が併記されるようになれば,社会的活躍の場(勤務先など)での自己同一性(アイデンティティ)の確保に支障が生じなくなります。
 
 そして,このような戸籍姓と旧姓の連続性を公的に証明し,担保する制度ができることで,通称としての旧姓使用の拡大がさらに促進されることになるものと予測されます。そうすると,将来,旧姓使用の場面が今まで以上に拡大し,戸籍姓の果たす役割が減少することになって行けば,そもそも「婚姻改姓」とは何だったのか…などと,改めて問われる契機になるのではないかと思われます。
 
兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ,弁護士藤本尚道です!
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 以下に引用する記事は,約3年前,2016年5月13日の日本経済新聞のニュースです。
 
 「政府は13日の男女共同参画会議(議長・菅義偉官房長官)で,旧姓を通称として社会の様々な場面で使えるようにする方針をまとめた。身分証明書となる住民票やマイナンバーカード,パスポートで本名との併記を幅広く認め,結婚後も使い慣れた旧姓で生活できるようにする。今年度に制度改正の詳細を詰め,早期実現を目指す。5月下旬にとりまとめる政府の「女性活躍加速のための重点方針2016」に盛り込む。菅官房長官は同会議で「マイナンバーカードへの旧姓の併記など,旧姓を通称として使いやすくする取り組みの具体化を積極的に進めていきたい」と述べた。住民票やマイナンバーカードには本名に加え,かっこ書きなどで旧姓を併記する。総務省が住民基本台帳法施行令などを改正するほか,カードの仕様や印字のシステム変更に必要な経費を17年度政府予算の概算要求に盛り込む。」
 
 この記事の掲載からもうすぐ3年が経過しようとしていますが,この制度が具体的に動き出したというニュースにはまだ接していません。外国人は以前から住民票に通称を併記することが出来るのに,日本人には許されない状況が続いていることは本当におかしいと感じています。やるやると言いながら,3年かかっても一向に話が前に進んでいないのは何故なのでしょうか。
 
 旧姓を通称として使用することを認めて住民票などに併記することくらい,単なる手続的・技術的な問題ですから,すぐにでも実施可能なはずです。しかしながら,政府がこれに3年もの「無駄な歳月」を費やしているということは,これに反対する「勢力」が存在するものと考えざるを得ません。そもそも旧姓の通称使用は,選択的夫婦別姓制度がないため,その代替策として使われている手段です。旧姓を証明する方法としては戸籍謄本を示すしかなく,利便性に欠けるため,住民票やマイナンバーカード,パスポートで本名との併記を幅広く認めようというのが,3年前に公表された「政府方針」のはずでした。
 
 ここで気になるのは,安部政権の「忖度体質」です。今回の天皇陛下ご退位にともなう改元をめぐっても,新天皇が即位される5月1日に発表すべきと主張する「右派」に「忖度」した結果,4月1日まで新元号の発表を遅らせた経緯があります。これと同様に,選択的夫婦別姓制度に根強く反対する「勢力」が存在しますので,安部政権がこれに「忖度」した結果,住民票などへの通称併記についても「二の足」を踏んでいるのかも知れません。
 
 今後も,この「政府方針」が,いったい何時になったら「実現」されるのかをウォッチし続けたいと思います。
 
兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
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神戸市職員の労働組合における「ヤミ専従」にかかわる問題につき,弁護士6名の委員によって構成される第三者委員会が,調査の結果及び提言を記した「最終報告書」を本年1月31日付にて神戸市に提出したことは,多数の報道機関によって報道されました。その中にたいへん気になる記事がありますので,第三者委員会に関わった一人として,あえて書かせて戴きます。

まずは,本日(2月5日)付の神戸新聞・朝刊一面の「神戸市議会が組合費を給与から天引きすることを廃止する条例案を可決見込み」との記事です。そもそも組合費を給与から天引きする制度自体は,組合に対する「便宜供与」ではありますが,けっして違法なものでも不当なものでもありません。全国に20ある政令指定都市のうち,給与天引きをしていないのは大阪市と北九州市だけであり,残りの18市では実施されている合法的な制度です。

昨年10月に提案された神戸市議会の条例改正案は,「自由意思に基づく組合加入が阻害されている可能性が高い」として自民,維新両会派によって提案されたものです。たしかに,神戸市の場合,新規採用時には殆ど全員が組合に加入させられるのに対し,組合からの脱退手続が必ずしも容易ではないため,組合の組織率が他の自治体に比べ極めて高いという事実は間違いありません。

しかしながら,組合費の給与天引きを一切許さないこととするのは,あまりにも飛躍した考え方です。組合費の徴収方法から最も有効な選択肢を奪うことは,組合に対する極めて大きな打撃となるからです。この点,神戸市の人事委員会が「神戸市職員労働組合が各組合員に加入継続や天引きの意向確認を進めている」として慎重な対応を求めてきたことには理由があると思われます。

第三者委員会は,最終報告書において,「この調査結果を理由として正当な組合活動までが不当に制約されることは当委員会の意とするところではない。」「労働組合活動の意義は当然認められるべきである。」と明記しており,これまでに提出した中間報告書をはじめ,さまざまな場面でもその姿勢を貫いてきました。しかし,この点は,マスコミ報道ではまったく取り上げられていません。第三者委員会の調査によって明らかとなった事実関係を「奇貨」として,「組合つぶし」を進めようという動きがあるとするならば,それは私ども第三者委員会の思いとは大きくかけ離れたものです。

他方で,「(神戸)市は近く,退職者を含む歴代組合役員や市行財政局幹部職員ら計180人以上の処分を発表する。」と報じられています(2月5日配信:神戸新聞NEXTより)。私ども第三者委員会は,課長級以上を念頭に当局側の責任に言及していますが,「偶々その部署に配属された担当者レベル」の職員までが責任追及の対象となることがないよう,強く願っているところです。このことについても報告書には明記していますが,神戸市においてどの程度配慮されるのか,たいへん心配している次第です。

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