調停手続において、当事者間に合意が成立しない場合、当該調停は不成立となり終了します。
その後、通常は、審判手続に移行したり、または当事者が訴訟を提起したりして、問題の解決を図ることになります。
もっとも、裁判所は、調停が成立しない場合であっても、相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、事件の解決のために必要な審判をすることができます。
これを調停に代わる審判といいます(家事事件手続法284条1項)。
当事者間に合意が成立しない場合であっても、調停手続の範囲内において事件の解決を図ろうというものです。
過去には、調停手続において話し合いが継続されていたが、途中から相手方が欠席を繰り返しなかなか話が前に進まなくなった事案において、調停に代わる審判をされたことがありました。
調停に代わる審判が確定したときは、当該審判は、確定審判や確定判決と同一の効力を有することになります(家事事件手続法287条)。
他方、調停に代わる審判に対しては、当事者は、異議申立てをすることができます(家事事件手続法286条1項)。
そして、異議申立てがあった場合、当該調停に代わる審判は、効力を失います(家事事件手続法286条5項)。
この場合、結局、事件が審判手続に移行したり、または当事者が訴訟を提起したりして、問題の解決を図ることになります。
調停に代わる審判の概要は以上のとおりです。
ちなみに、過去には、調停に代わる審判をされたが相手方が異議申立てをし、審判移行した後、審問期日において再度調停手続に付され、その後調停が成立したということがありました。