本日,民法の改正法が成立し,共同親権が導入されることになりました。

ここのところ,共同親権について相談を受けることが多いので,Q&Aをまとめておきたいと思います。

(※答えは私の個人的な見解を含んでおり,実務がそのとおりの運用にならない可能性はあることを先にお断りしております。)

 

Q 共同親権はすぐ開始しますか。

A 公布から2年以内に開始されます。まだもう少し先です。

 

Q 共同親権が開始するまで離婚は待った方がいいですか。

A 後から親権者変更で共同親権にすることもできるので,必ずしも待つ必要はありません。

  単独親権にするか共同親権にするかの判断基準は,離婚時と親権者変更時で同じ条文が使われます(民819Ⅶ)。

 

Q 非監護親ですが,共同親権を得ることはできますか。

A 裁判所が判断する場合は,「子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情」を考慮することとされており,親が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあったり,親間でDVがあったりする場合等は,単独親権にしなければならない,と定められました。

  これら例外的な事情がない場合は,共同親権は比較的広く認められるのではないかと考えます。

 

Q 共同親権を得ると何ができますか。

A 親権は子の利益のために行使されることを前提として(民818),子の監護・教育を行ったり,子の財産を管理したりする権限・義務とされています。具体的な場面としては,日常行為のほか,進学、就職、医療、宗教等が想定されます。これらを共同親権者間で協議することになります。

 

Q 共同親権になったら,常に共同でしなければなりませんか。

A 法律上は,「子の利益のため急迫の事情があるとき」「監護及び教育に関する日常行為」「特定事項について協議が調わない場合に家裁が単独でできると定めたとき」等は,単独で親権を行使することができます。

 

Q 監護親ですが,非監護親が共同親権を持つことが不安です。

A 監護者指定を求めると良いと考えます。監護者に指定されると単独で子の監護及び教育、居所の指定及び変更等を行うことができます。

 

Q 共同親権制度で実務は大きく変わるでしょうか。

A 多くの事案で共同親権の主張が出ると思われますが,これに対しては,主位的には単独親権とすべき,予備的に監護者指定との反論が出ると考えます。

  共同親権は比較的広く認められるものの,実際の監護親が監護権を取得して,少なくとも日常生活レベルではこれまでと大きくは変わらないのではないかと思います。