(一)没収の定義と手続き
没収とは、犯罪者の特定の財産または利益を国が法律に基づいて国有化する処罰措置のことです。目的は、犯罪者が違法行為によって利益を得ることを防ぎ、犯罪活動を打撃し防止することです。刑法と刑事訴訟法における「没収」は同じ意味ですが、刑事訴訟法では裁判所の審理手続きに重点を置いています。

没収の手続きは以下のステップで進められます:

  • 裁判所の裁定:没収は裁判所の判決または裁定を経なければなりません。裁判所は判決文に没収すべき財産や利益を明確に記載します。
  • 没収の実施:判決が確定後、関連する執行機関(検察庁や裁判所など)が法的手続きに従って没収を行います。
  • 財産の処分:没収された財産は法律に基づいて売却されたり、その他の方法で処理され、得られた金額は国庫に入ります。

(二)どのような物品が没収されるのか?
没収の対象となる範囲は、台湾刑法第38条から第40条の規定に基づいており、以下のようなものが含まれます:

  • 犯罪収益:犯罪行為によって直接または間接に得られた財産や利益。例えば、詐欺によって得た金銭、麻薬取引による収益などです。
  • 犯罪に使用された道具:犯罪の実行に使用された道具、設備、その他の関連物品。使用されたかどうかにかかわらず、犯罪に使用する予定の物品も没収の対象となります。例えば、強盗に使用された武器や非法的な製造設備などがあります。
  • 違法物品:法律によって所持が禁止されている物品。例えば、麻薬や銃砲弾薬刃物管制法に違反する武器などです。
  • その他法律で定められたケース:法律に明確に規定されたその他の没収すべき財産や利益。

法律が没収の対象となる財産の取扱いについて具体的な規定を設けており、犯罪収益が原物で没収されることが難しい場合は、他の資産を追徴することが可能です。2016年の法改正以降、没収は被告名義の犯罪収益に限らず、特定条件を満たす第三者名義の資産も対象となるよう拡大されました。