台湾のインサイダー取引法規について:

(一)インサイダー取引の定義
インサイダー取引とは、証券市場において、未公開の企業内部の重要な情報を利用して取引を行う行為を指します。このような行為は、特別な地位や人間関係を通じて得られた機密情報を用いて、証券取引において不正な利益を得ることが目的です。

証券取引法第157条の1に基づき、以下の5種類の人物が企業の重要な情報を知った後、情報が公開される前や公開後18時間以内に、その企業の有価証券を取引してはならず、違反した場合には損失を賠償する必要があります:

  • 企業の取締役、監査役、経営者など。
  • 株式を10%以上保有する株主。
  • 職業上または支配関係により情報を知った者。
  • 上記の身分を失ってから6ヶ月未満の者。
  • 上記4つのカテゴリーの人から情報を得た者。

(二)インサイダー取引の構成要件
インサイダー取引には以下の5つの主要な構成要件が含まれます:

  • 特定の身分の人:会社内部の人間、大株主、職務や支配関係を通じて内部情報を得た者、これらの身分を失ってから6ヶ月以内の者、および上記の人から内部情報を得た者(証券取引法第157条の1第1項に基づく)。
  • 行為者が実際に情報を知っていること:行為者は得た企業内部の情報を明確に理解している必要があります。
  • 重要かつ具体的な情報:情報は証券価格に顕著な影響を及ぼすものでなければならず、その情報は明確な事実発生の時点を持っている必要があります。
  • 取引のタイミング:情報が公開される前または公開後18時間以内に行われた取引は違法とされます(「情報沈殿期」とも呼ばれます)。
  • 取引対象が有価証券であること:株式や株式性資産の有価証券、非株式性質の社債などが含まれます。

なお、利益を得たかどうかはインサイダー取引が成立するかの判断要件ではありません!


台湾の司法実務によると、行為者がインサイダー取引を通じて実際に利益を得たか、損失を避けたかにかかわらず、インサイダー取引の罪が成立することに影響はありません。つまり、インサイダー取引の核心は、未公開の情報の濫用の有無にあり、取引の結果如何ではないのです。