「大平の眠りを覚ますジョーキセン、たった4杯で夜も寝られず」と庶民がうたったのは、嘉永6(1853)年6月にアメリカ東インド艦隊司令長官ペリーが黒船(軍監)4隻をひきいて、浦賀沖にあらわれ、日本に開国を求めた時だ。

その時以来、日本は国策を改め開国にはしったことは、我々の知るところである。

その後、紆余曲折を経て、昭和20(1945)年8月の敗戦に至るのである。

 

そこからまた、日本の「鎖国」が始まったのであると考え、平成28(2016)年11月のトランプ候補の大統領選挙当選が「黒船」であり「開国」である、と考えればものごとの辻褄が合う。

 

江戸時代の鎖国は、西洋の文物の輸入は長崎・出島から、それも時の覇権国家オランダのみに許した。

昭和20(1945)年の敗戦は、日本に事実上の「鎖国」を迫り、今回のトランプ大統領の出現は、あたかも「開国」を迫ったに等しい。

日本及び日本人は、昭和20年の敗戦により、「アメリカの文化は偉大である」と意識するとしないとにかかわらず、海外の文物の多くをアメリカから輸入した。アメリカは、日本の若者達にフルブライト留学生として奨学金まで出してくれた。英語のできない平凡な一般学生まで、アメリカは憧れの対象だった。

 

敗戦後は、東西冷戦が始まったこともあり、アメリカ一辺倒といっていいほど、海外の文物はアメリカから入って来た。

日本の政治エリートは、アメリカで学んだ人達が占めた。それは、あたかも、蘭学を学んだ江戸幕府の先進官僚であるかのようだった。

 

時代は移り、アメリカの力の衰えも見えて来たが、行き着いたのは、日本はアメリカの属国ではないかという世論だった。

日本はアメリカによって、鎖国を強いられたわけではないが、アメリカの尻馬にさえ乗っていれば外交も安全保障も心配することはなかったのである。

今、トランプ大統領の出現で、皆あたふたしているように見えるが、それは日本及び日本国民にとってのチャンスである。

江戸時代の出島で西洋との輸出入を一手に握っていた当時の覇権国家オランダもその地位を去った。いずれアメリカも覇権国家の地位を去るに違いない。満つれば欠ける月、と同様、それは世のならいである。

 

我々に要求されるのは、鎖国が終わり、開国となったのであるから自分は将来何をするかである。

すでに新しい世の中がやって来たのであるから。

私には、そのように思えてならない。

きっと今後日本は、一層良くなるであろう。