防衛大学を今春卒業する日本人学生419人のうち、47人が自衛官への任官を辞退する意向をしめしており、辞退者の割合は全体の1割を超え、昨年の25人の2倍近くとなったようだ。今回の47人の辞退者は1992年以降で最多の様である(平成28年3月21日付日経新聞記事)。
防衛大学生は、知っている人は知っているように、特別職の国家公務員で入学金と4年間の授業料が免除されるほか、手当も支給されており、任官辞退しても返還義務はない。
任官辞退するなら、授業料等を返還させろ、という声が出て来るかも知れないが、そう短絡的に考えることはおかしいのである。

日本人は、アメリカを中心とする連合国に、先の大戦に負けてしまって以降、軍事学を疎かにして来た。
しかし、その割に、「戦略学」というのは好きなようだ。
戦略とは、「戦争」に勝つようにするための学問であるのにもかかわらず。
就活生が活躍するのは、21世紀である。この世紀は、アメリカをはじめとする西欧先進諸国の力が衰え、ロシアも中国もアメリカがこれまで果たしてきた、世界の警察官役をつとめることは出来ないだろう。従って、日本が軍事体制をアメリカの言うとおりにしていればよい時代は去ったのである。安保法制も自分達で考えて行かねばならない。

すなわち、就活生が、活躍するだろう21世紀の日本では、軍事学を学ばなければならい。一般大学の卒業生も軍事の知識無くして世界で活躍できない時代がやって来たのである。
防衛大学生は、日本で唯一の軍事学を学べる大学であった。そのために、授業料免除で、手当も付いたのであると考えなければならない。つまり、防衛大学卒業の任官辞退者は、今後は、防衛大学時代に習得した軍事の知識を、自衛隊の外部で活かす使命が与えられているのだろう。