石田衣良さんの小説「シューカツ!」が面白い。
文春文庫から出ており、定価(本体630円+税)である。
大学3年生の7人が就活プロジェクトチームを結成し、就活に挑戦する話と思いきや、そうではない。

「そもそも就活では受験のように一所懸命勉強したからと言って、意中の会社に入れるわけではない。採用選考では、これまでの人生で積み重ねてきた経験や考え、物腰、胆力などさまざまな尺度で計られるーといえば聞こえはいいが、最後や運や縁だったりするものだ。

だからこそ、レールからはずれてしまった人物を登場させることで、おそらく著者はそんな人生の不条理さを示したかったのではないか。

そんな風に思えたのは読後しばらく経ってからのことだ」とジャーナリストの森健さんが、解説に書いている。

筆者は就職活動をせずに、社会に出てしまったが、森さんと同様、「シューカツ」を読みながら、何人もの友人の顔と行動を思い出した。
シューカツは、恋愛や結婚に似ている。
一読を薦めたい小説である。