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[被]小説で考える~晩鐘(上・下)

著者: 乃南 アサ
タイトル: 晩鐘 (上)

「風紋」(まだ読んでいない)の後日談。

7年前に起こった主婦の殺害事件の被害者遺族と加害者家族のその後の人生を描いたもの。



犯罪被害の受け止め方は家族それぞれにより違い、時には傷つけ合ってしまうこと、

加害者の家族もまたある面被害者であり、人生が全く違ってしまうこと、

マスコミが年月たって被害者・加害者を扱うことの難しさとその波紋


などが織り交ぜられ、最後まで一気に読ませます。


主人公は事件当時高校生だった被害者の次女と加害者の長男(小学生)。


結末については意見は分かれるでしょう。

私は、救いが欲しかった、と思いました。


↓「風紋」はこちら

著者: 乃南 アサ
タイトル: 風紋〈上〉



[T]心的外傷と回復

著者: ジュディス・L. ハーマン, Judith Lewis Herman, 中井 久夫
タイトル: 心的外傷と回復

犯罪被害者、DV、児童虐待に関わる際の必読書。

ボリュームがあります。

心的外傷を受けた人の症状についての記述はとても詳しく解説されています。

また、継続的(反復的)PTSDについての記述も豊富です。

[T]犯罪被害者の心の傷

著者: 小西 聖子
タイトル: 犯罪被害者の心の傷
1996年刊 260ページ

[T]インパクト・オブ・トラウマ

著者: 小西 聖子
タイトル: インパクト・オブ・トラウマ―被害者相談の現場から
1999年刊 202ページ  

易しく読めるトラウマの入門書。
筆者は、PTSDや犯罪被害者支援の分野の第一人者である精神科医。
他にもいろいろと著書がありますが、トラウマやPTSDについて初めて読んでみたいという人には、この本がコンパクトで読みやすいと思います。

202ページ(厚さ1センチほど)の中に、
 ・ トラウマとは何かを具体的ケースを示して説明、
 ・ PTSD(外傷後ストレス障害)の診断基準や症状の分かりやすい解説
 ・ PTSDの発症率が高いとされる
性暴力、DV、子どもの性的虐待について
   統計的実態や、具体的ケース、考え方を解説
 ・ 被害者への援助、対処、治療の考え方
が盛り込まれており、おおよそのところを手っ取り早く掴むことができます。

また、最終章「心理学を学びたい人へ」では、著者が心理学科を卒業して就職した後、医学部に入り直して精神科医になるまでのいきさつや、犯罪被害者相談に関わるようになったきっかけ、犯罪被害者相談で大事なこと、カウンセラーの役割と責任が、語られており、これから、犯罪被害者支援に関わろうと考える人に、その役割についての具体的示唆を与えてくれます。