3月5日(月)
国際刑法

刑法は国内法で対処する。しかし、国内で外国人が行った犯罪、外国でその国の人が行った犯罪、2か国間、他国間で行われたことなどには国際法が関わっているものがある。
○国際犯罪
 国際犯罪とは、第二次世界大戦から戦後にかけて発展した概念で、特に戦争に関連して人道に対する大量虐殺というようなものをいう。さらにそういう犯罪には、世界が一致してそのような行為を見つけて罰するべきだといえるようなものに種別に分けて国際犯罪と呼んでいる。特に多くの場合、このような犯罪というのは国家もしくは、国家の指導者が国家の運営に大きく携わっている人によって行われることがある。他の犯罪類型から括り出して国際社会でどう見るかが問われている。国際犯罪は大きく4つに分かれる。戦争犯罪、人道犯罪、侵略犯罪、集団犯罪である。国際犯罪には様々なものがあるが、「拷問」にいて取り上げる。水攻めの拷問がある。それは顔に布をかけて水をかけるというものだ。アメリカではこれをやっても拷問には当たらない。ブッシュ政権時代にあったことで、水攻めは拷問に当たらず、強度の行為ではあるが拷問ではないとアメリカ政府は言っていた。ブッシュ政権時代の国防長官がサインした署名の内容は次のようなものだった。アフガニスタンになどに対して極めて強度の攻撃的な取り調べをしても良いかという書面に対して、書面では3~4時間を想定していたが、最終的に国防長官がサインするに至っては「なんで短いんだ、8~10時間くらいやってもいいじゃないか」と下に書いてそれにサインをしている。これはアメリカの歴史の中で極めて暗い部分である。
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(国際刑法を担当したペク教授)

 犯罪を裁く上で難しいのは、犯罪があったことを証明することである。日本人の拉致の問題は北朝鮮がそれを認めているので、犯罪があったということは証明済みである。また、国際犯罪の場合、誰がその責任を負うのかということが難しい問題だ。例えば日本人の拉致問題の場合、国家元首が直接的に日本人を連れ帰ったわけではない。実際には別の人が連れ帰った。この場合、国家元首が責任を取るべきだが、実際に行為をしたわけではない。そういう時にその責任を誰がとるべきか考えることが難しい。
○国際刑事裁判所
 ローマ規約が元となり、2002年に国際刑事裁判所、International Criminal Court(ICC)がつくられた。この裁判所は、国内裁判所が戦争、国際裁判ができない場合に裁く役割を担っている。つまり、国内裁判所の補完的な役割をもつ。3つの部門として事実審、事前審査、上訴がある。ICC協定を123の国が結ぶ大きな組織で、日本も批准している。問題点は、国際刑事裁判所は発展途上であるということだ。すべての国が批准しておらず、アメリカ、北朝鮮は批准していない。批准していない国を裁くことができない。
 実際に起きた事例を混ぜて説明していたので興味を持ちやすかった。拷問についても国内で規制することは難しいので、国際刑事裁判所の役割は大きいと思うし、もっと拘束力を持つためにどうしたら良いのか考える必要があると考えた。
(文責:法学専攻2年次・喜瀬有香)