3月1日(木)
州巡回裁判所

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(州巡回裁判所の建物内部。4フロアーあり、吹き抜けの構造になっている。1階には受付や売店などがあり、2階に家事法廷、3階に刑事法廷、4階に民事法廷があり、それぞれ分かれている。(撮影:春山))

(1)チャン判事について
ハワイ州オアフ島出身。地元のマッケンジー高校を卒業後、1976年にハワイ大学で文学士を取得。1979年にゴンザガ・ロースクール(ワシントン州)を卒業。判事に任命される前は、マツイ・チャン・スミダ&チェン法律事務所においてパートナーの職に就いていた。
ハワイ州司法省において司法副長官を務めた後、1999年6月1日に第一巡回裁判所に任命され、2009年6月1日に再任された。判事は民事訴訟の案件を主に取り扱っている。

(2)質疑
  Q. 弁護士の友人はいるか?もしいる場合、訴訟について話をされることはあるか。
  A. 裁判官という職業の公平さを保つために、特に弁護士との交友関係には気を付けている。もしなじみの弁護士が代理人を務める案件があれば、担当することはせずに他の裁判官へ引き継ぐ。
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(家族とハワイ島を訪れた際の写真を見せながら、自身について紹介するチャン判事。(撮影:ハワイ大学スペンサー氏))

(3)その他
 チャン判事は、裁判官という職業にとてもやりがいを感じているが、時には非常にシリアスになる必要があることについて、自信の経験談に基づき紹介された。
 過去に自分が訴訟指揮を執った金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟において、立場の弱い被告(債務者)を騙そうとする詐欺師の存在を知る。チェン判事は、この詐欺師により、度々訴訟の進行を妨害される。「裁判官、私はこの被告を助けてあげることができます。被告と少しお話しをさせてもらえませんか。」と進行中の公判廷を中断させた詐欺師に対して、チャン判事は、「あなたはこの訴訟の当事者ではありません。したがってこの法廷でそのような権利はあなたにございません」と丁寧に応じる。チャン判事は、この詐欺師が、被告所有の物件を担保にして返済財源のための融資を行うことを被告に持ちかけ、実際には土地の権利を奪おうとしていることを知っていた。しかしながら、この詐欺師は別の日にも同様の発言をして裁判を中断させる。そして、また別に日、詐欺師が三度同様の発言を行った際、チェン判事は、「法廷から今すぐ出ていけ!」と怒号し、この詐欺師を追い出した。結果として、被告は詐欺師に騙されることを回避できたのである。
(文責:法科大学院2年次・春山桂亮)