3月1日(木)
連邦裁判所

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(法廷内部。傍聴席から向かって正面に大きな絵画が飾られている。(撮影:春山))

(1)質疑応答
学生①:絵画を飾っている理由について
コバヤシ判事:絵は連邦裁判所の委員会が選んだもの。絵画は、1787年9月17日、アメリカ独立宣言をしたのちに開催した憲法制定会議において、合衆国憲法へ署名する一幕を描写したもの。
この法廷が最後に築造されたことから、壁の材料となる木材(コア)が足りなくなった。そこで、不足した部分を覆い隠す為に絵画が飾られることになった。美術品が法廷にあるのはとても珍しいことで、通常であれば連邦裁判所の標章(seal)が掲げられている。
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(学生の質問に対して分かりやすい英語で丁寧に答えるコバヤシ判事(撮影:ハワイ大学キムラ氏))

学生②:最も多い訴訟の種類について
コバヤシ判事:刑事裁判では薬物犯罪が最も多く、その他に脱税や不法移民関連の訴訟も多い。民事裁判は多種多様であるが、環境問題や、州籍相違事件((diversity of citizenship case)を主に扱っている。

(2)コバヤシ判事について
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(レスリー E.コバヤシ判事(連邦裁判所HPより引用))

判事は日系3世(父方の祖父が広島出身で父はホノルル出身、母方の曽祖父が福岡出身で母はマウイ島出身)。ハワイ出身者同士であった両親はオハイオ州立大学で出会った。その後、父が陸軍に徴兵されてニュージャージー州で訓練を受けている間にコバヤシ判事は出生したため、自信はハワイ生まれではない。しかし1歳の時にハワイに移住した。 
ボストンカレッジロースクールを1983年に卒業し、ホノルル州の検察官を1年間務める。その後、1999年までの16年間は弁護士として活動する。そして、1999年からは合衆国ハワイ地方裁判所において治安判事を2期(10年)務めた。
2010年4月21日、当時のオバマ大統領により現職に任命され、同年12月22日に合衆国上院議会により承認された。任期に制限はなく、終身である。
着任当時、アジア系女性である連邦裁判所地裁判事としては、コバヤシ判事は史上3人目であった。オバマ大統領退任時における女性判事の数は、就任前と比較して2名から20名まで増えていたとのこと。
(3)その他
コバヤシ判事の法廷は、全米でも初めて陪審員がタブレット端末機器を使用可能となったとのこと。
(文責:法科大学院2年次・春山桂亮)