2月27日(火)
Lecture,Constitutional Law
研修3日目の最初の講義は、Charles Lawrence教授によるアメリカ合衆国憲法についてであった。本来、ハワイ大学の講義は1回90分で、ハワイ大学の学生たちはアメリカ合衆国憲法を30回に分けて受講する。しかし、私達、ハワイ研修生はその30回分の講義を、たった90分で受講することになった。アメリカ合衆国憲法は、1787年9月17日に作成され、1788年に発効し、わずか27回の修正条項を付け加えただけで今も現行法として生きている世界最古の成文憲法である。
アメリカ合衆国憲法の第1編から第3編には連邦政府の構造や、立法部、執行部、司法部のそれぞれの権限などが定められている。
立法部である連邦議会は上院と下院からなる二院制で、上院は各州から2名ずつ選出し、定員は100名、任期は6年である。一方、下院は、議席は人口に応じて配分されており、定員は435名、任期は2年である。日本の衆議院と参議院の関係とは違い、アメリカの両議院の関係は対等であり、大統領が指名した各省長官などの官吏の承認、条約の批准承認は上院の3分の2以上の賛成だけで採択される。一方、下院は予算案など歳入に関する法案を先に審議する権利を有している。

(本講義を担当してくださったCharles Lawrence教授)
司法部である裁判所は、日本と同じ三審制(州によっては二審制)である。しかし、各州が独立して法律を制定するため、各州の法律に基づく事件について裁く「州裁判所」と、連邦法に基づく事件を裁く「連邦裁判所」の2つが存在する。連邦最高裁判所は8名の裁判官で構成されており、裁判官は上院の承認と大統領の任命により決まる。また、任期はなく、終身となっている。そして、アメリカ合衆国憲法に規定はされてはいないが、裁判所には法律が憲法に違反していないか調べる違憲立法審査権が慣習としてある。

(講義の内容に入る前に、談笑するCharles Lawrence教授とSpencer Kimura氏)
アメリカ合衆国憲法立法後も継続していた奴隷制を公式に廃止した修正第13条や、元奴隷の権利を確保、法の下の平等を目的とした修正第14条などがアメリカ合衆国憲法修正条項の中心である。
そして、有名判例としては、黒人奴隷制について争われた「ドレッド・スコット対サンフォード事件」や、第二次世界大戦中の日系人の強制収容について争われた「コレマツ対アメリカ合衆国事件」などが紹介された。
(文責:法学専攻2年次・上原万生)