2月27日(火)
講義「日米の比較法」

 日本とアメリカの法律を比較する上で、三つのポイントがあるという。
 まずは、一つ目のポイントとして、連邦制(Federalism)と統一制(Unified national system)である。現在、アメリカは連邦制、日本は統一制をとっている。世界でみると、人口でいう大きい国のほとんどは、連邦制をとっており、日本のように統一制をとっている国は少ないという。そのため、日本国民全員に適用する日本の法律は、世界からみても、かなり多くの人に適用する法律であると言える。一方で、アメリカをはじめとする、多くの国がとっている連邦制について、アメリカでは、州だけで判断する、連邦だけで判断する、州と連邦の両方で判断するというように判断の選択肢が多い。その中での判断は、州が中心となることが基本であるが、州と州の多様性があるときは、連邦裁判所による判断となる。この連邦制は、その国の中央政府の力が強くなりすぎないようにすることが、効果的に働く制度であるという。
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(日米比較法の講義の様子)

 次に二つ目のポイントとして、大陸法制(Civil Law)と英米法(Common Law)の違いである。この二つの違いについて、西ヨーロッパ大陸で発達してきた大陸法は、成文法を中心として成り立つのに対し、イギリスが中心となって発達してきた英米法は、成文化された制定法はなく、今まで判断してきた判例から法をつくる。日本では、成文化された制定法の解釈によって判断していく。アメリカにも制定法、州ごとの法は存在するが、その一方で、Common Lawも判断に効力を及ぼすこともあるそうだ。
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(日米比較法の講義の様子2)

 最後に三つ目のポイントとして、法教育(Legal education)と法知識(Legal knowledge)である。日本では、法律の知識は専門家のものであると思われており、法雑誌は教授が作るのが一般的で、法律はあまり身近なものと考えられていない。それに対して、アメリカは、法律は身近なものとして考えられていて、法雑誌なども生徒が作成したり、法律系のクラブがあり、そこではお菓子などを販売し、臨床教育チームの貢献のためのお金を貯めたりしているそうだ。また、ロースクールは三年間で、そこに進む学生の9割は将来、法曹を目指しているという。
 このように、日本とアメリカでは、法律と一言で言っても様々な面において違いがあるということをこの講義の中で学ぶことができた。
(文責:法学専攻2年次・桃原舞佳)