2月27日(火)
Lecture,intro to American Law, Liam Skilling (アメリカ法入門)


1 概要

(1)今回の intro to American Law では、アメリカの特色のある司法制度を中心に講義を行ってもらった。
 また、アメリカの法教育やコモン・ローの重要性を教えてもらった。

2 アメリカの司法制度について

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(1)アメリカは英米法という法体系をしているが、Common Lawだけで形成されている英国等と異なり成文憲法典をもっており、連邦制を採用しているため、この点において特徴ある制度に発展している。
(2)アメリカは連邦制を採っているので、各州の裁判所は、州内で起きた事案に応じて異なる判断をすることになる。
 ここで問題となるのが、州で起きた事案が州でまたがったり連邦法に抵触している場合はどのように解決していくのかということである。
 そのような法の適用がまたがる場合は、連邦裁判所が優先されることになる。しかし、連邦裁判所はすべての時に動いて判断をするというわけではなく、当該事案が起きた州の属する連邦裁判所が動くこととなる。例をあげると、ハワイは第9巡回区にあたり、その第9巡回区内で問題が起こった時に連邦裁判所が動き判断を下すことになる。このような制度をFederalismといい、日本で昔行われていた封建制度に似通っている部分がある。というのも、各州でそれぞれ異なった裁判所の仕組みや判例があり、それをまとめるのが連邦裁判所となっているからである。
 このような仕組みにすると、判例や裁判所の運営に支障をきたすということがないかという疑問が浮かぶ。だが、今回の講義をしてくださったLiam Skilling 先生によると州裁判所ごとに違った判断がなされるので、州裁判所が実験場のような働きをしているようにみえ全体的にみるとシステム的にうまくいっているということであった。

3 アメリカの裁判

(1)アメリカの裁判の行い方は、忠誠のシステムを承継しており、当事者同士を戦わせる方式を採っている(当事者主義)。弁護人は、クライアントの最大限の保障になるように行動する義務を負う。この義務は、日本で言う、忠実義務や善管注意義務と同じようなものである。
(2)裁判所は、当事者を争わせた後に判決を出すが、その際にコモン・ローが判断の指針になっている。コモン・ローとは最高裁判所が出す判決のことである。このコモン・ローは後の裁判に影響を与えるものであるが、最近では、実定法を中心に裁判がなされることも多くなっている。しかし、実定法を中心に裁判を行うことが多くなっていても、言葉の意味・内容が不明確であり明らかでない所はコモン・ローによることが多いため、コモン・ローが重要な役割を担っていることに変わりない。

4 ハワイ大学ロースクールでの法律教育

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(1)ハワイ大学のロースクールには、未修コースしかなく、入学してくる人のほとんどが、大学の学部時代に法律と関係ない分野を学んでいたり、社会人としての経験を積んでからロースクールに進学する人が多いらしい。なので、日本の未修入学のロースクール教育と同じように基礎から教育をしていき、最終的には、新たな事案に対してその事案をどのように解決していくのか。という能力を身につけることが目標となっているらしい。
 そして、アメリカの法律学習のベースとなるものは判例であり、そこから具体的事案におけるコモン・ローを言葉の解釈の指針として知ることが重要なものであることがわかった。
(2) 講義の最後で、Liam Skilling先生は私たちに、ハワイ大学ロースクールの実際の刑法の期末テストの問題を解決するように考えさせてくれた。
 その問題は、私たちが日本で学習している刑法の条文の構成要件のあてはめと言う作業において明記されているようなものでなく、まさに具体的事実に即してコモン・ローを知っていれば解答を導けるというものであり、この問題を考えさせられたという経験で私は改めてコモン・ローの影響の大きさ、学ぶことの重要性を身を以て実感しました。
(文責:法科大学院1年次・知念本気)