用語の定義~条文中で定義する場合~ | 法令・文書担当のブログ

法令・文書担当のブログ

これまで国や地方公共団体で、法令の審査・立案を担当した経験を基に、地方公共団体における条例審査・立案担当者の参考となる情報を掲載していきます。
このブログ読者の方からの質問も受け付け、より内容を深めていきたいです。
よろしくお願いします。

法令全体にわたり出てくる用語ではないものについては、条文中で個別に定義することがあります。
定義の仕方は、おおむね「○○(△△いう。以下同じ。)」と「△△(以下「○○」いう。)」という二通りのやり方があります。前者が説明的に用語を定義するのに対し、後者は略称的に用語を定義するものです。△△の部分が長い場合に後者の方法を用いると、どこまでが定義される用語なのか不明確になることから、前者の方法が望ましいと言えます(例えば「A、B及びC(以下「D」という。)」というような規定の場合、DがA~Cまでを定義しているのか、Cだけを定義しているのか不明確になる可能性があります。)。
いずれも「以下」という用語があることから分かるとおり、定義規定に関する条文を総則部分に別途設ける場合と異なり、その定義規定の後にしか効力は及びません。
なお、他の定義規定の例としては、他にも、「(○○を除く。以下同じ。)」、「(○○を除く。以下「△△」という。)」、「(○○を含む。以下同じ。)」、「(○○を含む。以下「△△」という。)」、「(○○に限る。以下同じ。)」、「(○○に限る。以下「△△」という。)」、「(○○のときは、△△。以下同じ。)」などの派生形や、略称規定と呼ばれるような「(以下「○○」という。)」、「(以下単に「○○」という。)」、「(以下「○○」と総称する。)」などがあります。
※略称規定は、法令で用いられる長い用語を端的に表現するために用いられるものであり、定義規定とは若干ニュアンスが異なる面がありますが、法的な効果は定義規定と同じであり、かつ、そもそも略称規定か定義規定か明確に分けることができないものがあるなど、その区別を明確にする実益はありません。


例 特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号)
(行政機関の長による適性評価の実施)
第12条 (略)
2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
(以下略)