訴訟参加全般 | 弁護士への道

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前に補助参加についてまとめましたが、もう一度訴訟参加全般について条文を前提として整理します。

 

 

【補助参加】

 

 

42条(補助参加)

 訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

 

利害関係」とは、法律上の利害関係を指します。そして、法律上の利害関係を有する場合とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいいます(h13・1・30)。

この法律上の利害関係は、被参加人が敗訴した場合、参加人が損害賠償、求償、その他一定の訴えを提起される関係にある場合にも認められます。たとえば、建物転貸借において、賃貸人が転借人に対して解除に基づく建物明渡請求した場合、賃借人は、転借人側に補助参加することが出来ます。この場合、賃借人は、転借人に対して履行不能に基づく損害賠償請求をされるおそれがあるからです。

 

 

43条(補助参加の申出) 

1 補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。

2 補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。

 

 

補助参加は、書面又は口頭でなすことができます(規則1条1項)。

2項の規定する「補助参加人としてすることができる訴訟行為」は、45条1項に規定されています。

 

 

44条(補助参加についての異議等)

1 当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は参加の理由を疎明しなければならない。

2 前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない。

3 第1項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

 

この規定から、補助参加の裁判については、異議があるときにのみなされることになります。異議がなければ、法律上の利益がなくとも、補助参加することが出来ます。

 

45条(補助参加人の訴訟行為)

1 補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟行為の程度に従いすることができないものは、この限りでない。

2 補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。

3 補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。

4 補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。

 

1項について、参加人は、当然には被参加人の民法上の権利を代位行使する権能を有していないので、被参加人の取消権・解除権などを参加人が訴訟上直接請求できるかについては争いがありますが、既に行使されたこれらの権利について、参加人が訴訟上の事実を主張できる点については争いがありません。

 

 

また、判例(s37・1・19)によれば、補助参加人がする上告の提起は、被参加人が上告を提起することができる期間内にしなければなりません。補助参加の性質上、当該訴訟状態に照らし被参加人のなしえないような行為はもはやできないからです。

 

2項の例としては、主債務者Yが自白していた場合、参加人Zはその自白に係る事実を争うことができません。「抵触」とは、双方の訴訟行為が明白かつ積極的に衝突することをいい、被参加人がじはくをした後に参加人がその事実を否認することはこれにあたります。

 

3項について、当事者が補助参加について異議を述べた場合でも、補助参加を許されない裁判が確定するまでは、参加人はそしょうこういをすることができます。これは、補助参加に対して当事者が異議を述べた場合でも、参加の許否の裁判が確定するまで本案訴訟の進行を停止するわけにはいかず、その間も暫定的に参加人に訴訟行為をすることを認める必要があるからです。

 

 

 

46条(補助参加人に対する裁判の効力)

 補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。

一 前条第1項但書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき

二 前条第2項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき

三 被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき

四 被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき

 

1号の例としては、参加人が補助参加した場合に、すでに被参加人の主張が時機に後れた攻撃防御方法として却下されていた場合等が考えられます。この場合に参加的効力が認められないのは、補助参加が他人間の訴訟を前提とする以上やむをえず、また、審理の混乱を回避する趣旨です。したがって、参加人としては、後訴で被参加人に対して参加的効力が及ばない旨を主張することができます。

 

 

2号の例としては、補助参加人が参加したときに被参加人がすでに自白していた場合等が考えられます。参加的効力は、参加人が十分に訴訟行為をなし、手続保障が与えられたことを前提とするため、そのような前提が欠ける場合には参加的効力は生じません。

 

 

 

 

 

なお、補助参加の申出の取下げについては、特別の規定はありません。しかし、訴え取下げに関する261条を類推し、補助参加人は、いつでも、被参加人や相手方の同意がなくともその申出を取り下げることができると考えられています。参加申出取下げ後も参加人は訴訟告知を受けた場合は、参加的効力を受けると解されるので、被参加人の利益を害することはないからです。

 

 

 

 

 

 

 

【独立当事者参加】

 

 

 

47条(独立当事者参加)

1 訴訟の結果によって害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部もしくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加んすることができる。

2 前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。

3 前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。

4 40条1項から3項までの規定[必要的共同訴訟]は第1項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、43条[補助参加]の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

 

1項について、片面的独立当事者参加が認められました。

 

1項から、詐害防止参加、権利主張参加の2類型があることがわかります。

 

権利主張参加の「訴訟の目的の全部もしくは一部が事故の権利であることを主張する第三者」とは、参加人の請求が原告の請求と論理的に両立しない関係にある場合をいいます。たとえば、Aが建物所有権確認をBにした場合に、建物賃借人Cは賃借権確認を理由とする権利主張参加はすることができません。AはCの賃借権を認めても自分の請求を維持できるため、Cの賃借権確認は、Aの所有権確認と論理的に両立するからです。

 

 

独立当事者参加は、補助参加と異なり、相手方は参加について異議を申し立てることはできません。独立当事者参加の申出は、同時に当事者の双方又は一方に対する請求の定立を含み、訴え提起としての性質を有するからです。

 

 

独立当事者参加の申出は、事実審の口頭弁論終結時までになす必要があり、上告審ではなすことができません。

 

 

また、独立当事者参加の申出は、本案の申立てとしての性質を有することから、時機に後れた攻撃防御方法として却下されることはありません。

 

 

 

4項について、申出の方式については補助参加の規定が準用され、参加の趣旨及び理由を明らかにしなければなりません。

 

 

他方、審理の方式については、必要的共同訴訟の規定が準用されます。たとえば、被告が自白をしても参加人が争う限りは、原告と被告の間にも自白の効力は生じません。

また、原告、被告又は参加人の一人について中断の事由が生ずると、すべての者との関係において訴訟手続は中断します。(40条3項

 

 

48条(訴訟脱退)

 

 

 前条第1項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。

 

独立当事者参加がなされた後でも、原告は訴えを取り下げることはできますが、合一確定の要請を無視できず、被告の同意のみならず、参加人の同意も必要となります(261条2項、s60・3・15)。

 

他方で、訴訟脱退については、参加的効力が及ぶことから、相手方の承諾のみで可能です(48条)。この場合、将来に向かって訴訟関係から離脱することに注意が必要で、脱退当事者が脱退前になした主張立証も、残存当事者についての裁判資料となります。

 

さらに、独立当事者参加は、三当事者間の紛争を矛盾なく一挙に解決するための制度であるため、全請求につき一個の判決で同時に裁判をしなければならず、一部判決をすることは許されません。この場合には上告理由となります。

 

 

上訴との関係については、参加後は、一人の上訴で全当事者につき移審します。一当事者が一当事者のみを相手として上訴すれば40条2項の準用で残る一当事者にも効力を生じ、この者は被上訴人としての地位に立ちます(s50・3・13)。また、参加後の訴訟は三当事者間で合一確定が要請されるので、原告の被告・参加人に対する控訴のみによって第一審判決中参加人の被告に対する請求を認容した部分も確定を遮断され、かつ、被告の控訴・付帯控訴の有無を問わず、裁判所は合一確定に必要な限度でその部分を参加人に不利益に変更することができます(s48・7・20)。

 

 

 

【訴訟承継(特定承継)】

 

 

参加承継とは、承継人となるべき者が訴訟参加を申し出ることにより生ずる承継をいい、

引受承継とは、承継人となるべき者に対する訴訟の引受けの申立てがなされることにより生ずる承継を言います。

 

参加承継には、権利承継の参加承継と、義務承継の参加承継、

 

引受承継には、権利承継人に対する引受承継、義務承継人に対する引受承継があります。

 

条文の体裁は、以下の通りです。

 

 

          権利承継    義務承継

 

参加承継    47~49条    51条前段

引受承継    51条後段     50条

 

49条(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の中断等)

 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部または一部を譲り受けたことを主張して、47条1項の規定により訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる。

 

本条により、参加承継については、独立当事者参加の方式によります。

 

 

50条(義務承継人の訴訟引受け)

1 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部または一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。

2 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。

3 41条1項及び3項[同時審判申出共同訴訟]並びに前2条の規定は、第1項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

 

本条により、引受承継については、当事者が引き受けを申立て、裁判所が必要的審尋の上決定によって決します。却下決定については抗告が可能です(328条1項)。

 

被承継人の相手方は、承継人に対し、承継したものが義務であっても権利であっても訴訟引受の申立てをすることができますが、申立ての時期は事実審の口頭弁論終結時までで、上告審においては許されません(s37・10・12)

 

51条(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)

 47条から49条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部または一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部または一部を譲り受けた場合について準用する。

 

承継後の手続については、

 

 参加承継については、51条により独立当事者参加に関する47条が準用され、審理は必要的共同訴訟手続で行われます。これは、参加承継の場合は矛盾なき紛争解決の必要性が高く、また、自らの意思で参加する以上合一確定のための制約に服させても不当ではないからである。

 引受承継については、50条3項により41条が準用され、通常共同訴訟として同時審判訴訟手続で行われます。これは、引受承継の場合も矛盾なき紛争解決の必要性があるものの、承継人は自らの意思によらずに訴訟状態を承継させることになることkら、必要的共同訴訟の準則によって規律することは相当でないからです。

 

 

なお、参加承継・引受承継のいずれにおいても、48条が準用され、訴訟脱退には相手方の承諾が必要です。

 

 

 

※訴訟承継については、民事訴訟法講義案が最も優れた解説のように思われます。消極的確認なのか積極的確認なのかの点について参照した方がいいです。

 

 

 

【共同訴訟参加】

 

 

52条(共同訴訟参加)

1 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。

2 43条[補助参加の申出]並びに47条2項及び3項[独立当事者参加の申出の方式、書面の送達]の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

 

共同訴訟参加は、別訴の提起に代わるものですから、参加人となる第三者は、他人間の訴訟の判決が拡張される地位にあり、かつ、その請求につき自ら当事者適格を有するものでなければなりません(s36・11・24)

 

たとえば、株主が提起した総会決議無効の訴えに、他の株主は原告側に共同訴訟人として参加することはできますが、被告側に参加することはできません。被告適格がないからです。

 

判例は、固有必要的共同訴訟で共同訴訟人となるべき者の一部が欠落している場合に、当事者適格をめぐる歌詞を治癒するための方法として、共同訴訟参加を認めています(s9・7・31)。

 

 

【訴訟告知】

 

53条(訴訟告知)

1 当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。

2 訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。

3 訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。

4 訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、46条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。

 

1項の参加することができる第三者には、補助参加の利益が必要です。

 

2項は「訴訟告知を受けた者」と規定していることから、訴訟告知ができるのは当事者に限られず、訴訟告知を受けて補助参加した参加人なども含まれます。

 

 

3項について、「訴訟告知」という言葉から、直接第三者に対してなすものと思われがちですが、訴訟告知は裁判所に書面を提出してなします。そして、裁判所が被告知者に対して書面を送達します。

 

 

4項について、訴訟告知がなされ、被告知者が訴訟に参加せずとも、参加的効力は生じます。告知により、被告知者は訴訟係属の事実を知り、これに参加して事故の利益を擁護する機会が与えられている以上、告知者が敗訴した場合にその訴訟の参加的効力を及ぼされても不都合はないからです。