とても具合の悪い私の周りにたくさんの医療従事者の方達が集合して下さった。
いまや機嫌が直ったばかりか、私の状況をたいそう心配してくれている様子の当直医がたまに私の名を呼んで意識をつなぎ止めようとしてくれているようだ。私はとても寒かったので「寒い…」とつぶやいたが、スタッフの誰かから「そうですよね。」とコメントが返ってきた割に何もかけてもらえなかったので具合が悪いなりに不満を感じたりもした。
何度も名前を聞かれたりするのだが、声を出すのも非常にしんどく、私は消え入りそうな声で自分の名を名乗ったりするのであった。今思えば縁起でもない話ではあるが、正直そのまま死ぬことを覚悟した。親より先に旅立つことは本意ではないが、こんなに具合が悪いのだからどうすることもできない。血圧は相変わらず低下の一途をたどっているらしい。
そんな折、あれよあれよというまに両腕に点滴の針が刺され何やら薬剤が投与された様子。するとあら不思議。さっきまで死の一歩手前を自認していた私なのに、「これなら生きていけるかもしれない」という程度に状態が改善したのだ。
やがて当直医から連絡を受けた我が主治医チームの一人が駆けつけて下さり、出血の出所を探ったり、止血の措置をしてくれた模様。当直医と主治医チーム・ドクターの原因を究明しようとする会話を聞き、「1週間ほど前に大変ひどい下痢をした」という情報を伝えたかった私はそう発言したが、声が小さかったらしくドクターズには無視された。しかし、心優しい看護師さんが近くに来てくれて、「え、なんですか?」と聞いてくれてとても嬉しかった。私の片手がストレッチャーから落ちそうなのに気づいて拾い上げてくれたのもその看護師さんだった。優しさってそういうふとした時に伝わってくる。とはいえ、私を無視した主治医チームドクターもその後そっと私の手に触れてくれたことも知っている。
医療従事者の皆様の会話の中に「COVIDの検査をやる」というフレーズが聞こえ、やがてフェイスシールド+防護服の方に鼻の中をぐりぐりやられた。とりあえず入院するということのようだ。
いろいろ落ち着いてきてからあちこち拭いてもらい、病衣に着替えた。導尿もされた。付き添ってくれた家族が病室に入ってきた。後で聞いた目撃情報によるとこの時だいぶ楽になっていたのだが、血圧はまだ60代で相当低かったようだ。具合が悪かったときは一体どれくらいまで下がっていたのだろう。
