こんにちは。
Lavieパートナーズの水口です。

将来の生活設計を立てる上で大きな位置を占めてくる年金。そんな年金に関して、将来的にはかなり減ることになる、という話を聞いたことはないでしょうか。

厚生労働省が公表している財政検証から、将来の年金がどう変わるかを見ていきましょう。

2割減になる厚生年金?

厚生労働省は5年に1回年金の財政検証を行い、将来の厚生年金の水準がどのように変化するかを試算しています。最新の財政検証は2019年に行われたものですので、こちらが最も信頼性の高い財政検証ということになるでしょう。

財政検証では『所得代替率』という言葉が良く使われます。こちらは現役世代の男性の給料の何%を、モデル世帯の年金合計額でもらえるか、という指標です。例えば2019年度の現役世代の平均手取り収入月額は35.7万円でした。これに対して夫・厚生年金、妻・国民年金のモデル世帯の年金月額は22.0万円でしたので、

22.0万円÷35.7万円×100%≒61.7%

となります。年金の水準はインフレ率なども加味すると金額だけで比較しても実態を把握するのは難しいので、このように現役世代の収入に対して何%を年金でカバーできるかという所得代替率が使われるということですね。

所得代替率はどう変化する?

そして財政検証では現在の制度を継続した場合、経済成長や労働参加がどのくらい進むかによって①~⑥段階の将来的な所得代替率が示されています。最も良い想定がされている①と最も悪い想定がされている⑥の場合とを見てみると、

ケース①
所得代替率:51.9%
年金水準引き下げの終了時期:2046年度

ケース⑥
所得代替率:36~38%
年金水準引き下げの終了時期:なし

となっています。2019年の財政検証時の所得代替率が61.7%となっていますから、

ケース①
51.9%÷61.7%×100%=84.1%
(所得代替率は15.9%減)

ケース⑥
37%(36~38%の間をとっています)÷61.7%×100%=60.0%
(所得代替率は40.0%減)

と所得代替率は将来的に15.9~40.0%減ることが見込まれているということになります。これが年金は将来的に20~30%程度は目減りする、と言われる所以です。

年金は減ることを前提にプランニング

こうした財政検証の結果を踏まえた上で年金制度は変更が加えられていくと考えられますので、財政検証結果がそのまま将来の姿になる、というわけではありません。しかし、現在の年金制度を維持しようとした場合、年金の水準は確実に減ることは知っておきましょう。

年金制度をあてにし過ぎる将来設計はかなり危険が伴うと言えるでしょう。人生100年時代ともいわれる今だからこそ、早めに将来のための準備は初めておきたいですよね。