普段は障害未勝利に出走する初障害馬を取り上げるこちらのBlogですが
夏の2週間は、障害戦が行われません。
何も更新はせず、勝手に夏休みとしていましたが……。
パリで行われているオリンピックの馬術で、日本チームは団体で銅メダルを獲得。
もちろん、普段取り上げている競馬の障害戦と、障害馬術は似て非なるもの。
求められる要素が、そもそも違いますが、歴史的快挙となったので
何か書いておきたい……と思い、キーボードを叩いています。
少しだけ、お付き合いください。
言わずもがな、競馬の障害戦は「1着を目指す」もの。
飛越力だけでなく、平地力、つまり走力も求められます。
かたや、馬術はクロスカントリー競技では走力も必要となりますが
飛越という面では、水の中での着地をしたり。
障害馬術では制限時間もあるので早さも求められますが
重きが置かれるのは、1つ1つの障害を落下させず丁寧に飛ぶこと。
そして障害戦は最大14頭が一斉に走って障害を飛びますが
馬術は自分との戦い。
より「人と馬」の絆が求められる気がします。
今回、団体で銅メダルを獲得した際に嬉しかったことが2つ、個人的にあります。
1つは「92年ぶり」ということで、前回のメダル獲得者の西竹一さんにも
スポットが当たったことです。
歴史的な偉業が達成されると
「~~~年の、○○○○さん以来■■年ぶり」
という言われ方をします。
何もなければ(活躍することがなければ)注目もされませんが
この「■■年ぶり」という数字が大きければ大きいほど
偉業と呼ばれるのかもしれません。
かつて大リーグでイチロー選手が年間最多安打の記録に挑戦した際に
ジョージ・シスラーとう選手が歴史から《掘り起こされ》ました。
現代を生きる私たちに、偉大なジョージ・シスラーという素晴らしい選手が
かつて居たことをイチロー選手は教えてくれました。
今回の馬術団体でメダルを獲得したことで西竹一さんの名前も
脚光を浴びています。
「バロン西」という異名を持ち、海外でも大変知名度の高い方でした。
横浜・根岸にある馬の博物館で、西さんの資料を拝見したことがあります。
今とは違い、当時は海外に行くことも大変な時代でした。
インターネットも無いので、海外の情報を手にするのも一苦労という時代に
生涯の友と呼べる「ウラヌス」との出会いもありました。
詳しくは私なんかが書かなくとも、Wikipediaなどで調べて頂ければと思いますが
人と馬の絆を感じずにはいられないエピソードがたくさん、あります。
あの当時はどうしても「戦争」が、多くの人の人生に影響を与えています。
【たら・れば】を言ってはいけないのかもしれませんが
戦況が悪化せず、もし西さんが硫黄島に行かずに生き延びておられたら……。
そんなことも考えてしまいますが、でも、きっとこの団体での銅メダルは
西さんだけでなく、愛馬のウラヌスも一緒に喜んでくれているはずです。
ちなみに92年前、1932年は昭和7年。
ワカタカが第1回の東京優駿大競走を制した年。
さらには犬養毅首相が暗殺された「五・一五事件」など
もはや歴史の教科書に並ぶ出来事ばかり。
そう考えれば考えるほど……やはり歴史的な偉業だと感じます。
嬉しかったことの2つめは、多くの人がSNSでこの快挙を祝っていたことです。
私はX(旧Twitter)を軸足にしていますが、そのフォロワーさんの多くは
競馬が好きで繋がった方々。土日になれば馬券の的中不的中の一喜一憂を
ポストされる方が多いです。平日はその週の穴馬候補や馬場状態について。
一口馬主に出資している方はその愛馬の情報を更新される方もおられます。
みんな競馬が好き、ということは理解していましたが、今回の快挙によせて
多くの方が祝福のポストをされていたことが嬉しかったです。
競馬には<ギャンブル>という側面があるのは間違いありません。
手元のお金が増える、というのは快感でもあります。
でもそれだけでなく、馬が走る、馬が障害物を超えていくという姿に
感動されている方が多かった、ということを知ることが出来ました。
冒頭でも書きましたが、競馬の障害レースと、馬術競技は別物です。
けれど、最近は小牧加矢太騎手が馬術競技から競馬の騎手に転身したり
引退競走馬の受け入れ先として「乗馬」そのものが注目されていたりと
密接な関係になりつつあります。似て非なるものではありますが
脚を高く上げて、障害物を飛んでいく。
というのは共通していることだと思っています。
このメダル獲得を機に、もっともっと馬術に興味を持つ人が増えて
ひいては障害レース、競馬にも関心を持ってもらえたら……。
そんなことを考えています。
なので、これからも馬券をたくさん買いたいと。
もちろん馬券が当たれば嬉しいですが、ハズレても馬術の振興に一役買えれば(笑)
そんなことを考えたオッサンの独り言にお付き合い、ありがとうございました。