🌿医学も薬もなかった──それでも助かった命の秘密

 

1945年、長崎。
原爆の爆心地からわずか1.4kmの「浦上第一病院」。
そこにいた秋月辰一郎医師とスタッフたちは、
全身に放射線を浴びながらも、誰一人として急性放射線障害で命を落とさなかった。

それはなぜか?

秋月医師は、戦後こう語っている。

「私たちは白砂糖も牛乳も取らず、
玄米ご飯と味噌汁、そして塩をたっぷり使っていた。」

被曝医療もワクチンもなかった時代に、
“日々の食事”だけで命を守ったという事実。

それは偶然ではなく、
日本に受け継がれてきた「食と命の知恵」があったからこそ。

この章では、味噌という日常の食べ物が
放射線という見えない凶器から体を守った理由と、現代の私たちへの警鐘をひもといていきます。

  

 

 

🟠第1章|秋月辰一郎医師の「食による被曝防御」記録

 

1945年8月9日。
長崎に原子爆弾が投下された日、爆心地からわずか1.4kmにある「浦上第一病院」では、
強烈な放射線と爆風、熱線が建物ごと人々を襲いました。

にもかかわらず──

その病院に勤務していた秋月辰一郎医師とスタッフ、入院患者たちは、
急性放射線障害による死者が1人も出なかったと記録されています。

被爆者の多くが、皮膚のただれ、脱毛、下血、吐血などの症状で次々と命を落としていくなか、
彼らが“なぜ生き延びることができたのか”──

その理由として、秋月医師が一貫して語っていたのは「日々の食事」でした。

 

🟧白砂糖・牛乳は禁止──“軍命令”より食養を優先

秋月医師は、戦時中からすでに東洋医学や西洋栄養学の限界に気づいており、
森下敬一医師らの影響も受けながら、自然治癒力を活かす「食」の力を信じていました。

彼がスタッフや患者に出していたのは、以下のような内容:

  • 玄米ご飯
  • 味噌汁(根菜や海藻入り)
  • 塩をしっかり使った料理
  • 梅干し
  • 畑の野菜や芋類中心の食事
  • 白砂糖・甘味・肉・牛乳はすべて禁止

原爆投下後、配給された「白砂糖・缶詰・牛乳粉」などを**“軍命令を無視してまで”配らなかった**というエピソードも残っています。

 

🟧命を守ったのは「一杯の味噌汁」だった

秋月医師は著書の中でこう語っています:

「私たちは、味噌汁と玄米と塩、そして海藻を摂っていた。
その代わり、白砂糖は一切摂らせなかった。
これが私たちの命を守ったと確信している。」

当時、原爆の爆心地からわずか1.4kmという距離にいた秋月医師と病院スタッフ、患者たちは、
致死量を超える放射線を浴びながらも、誰一人として急性放射線障害で命を落としませんでした。

一方、同様の距離にいた他の住民や病院では、次々と放射線障害による下痢、出血、脱毛、死が発生。

なぜ、浦上第一病院だけが「例外」となったのか──
その答えが「一杯の味噌汁」にあったのです。

 

秋月医師は、放射線治療やワクチンもなかった時代に、
“日々の食事”の力だけで命を守ることができたと確信していました。

この食事法の特徴は、次の3点に集約されます:

  1. 発酵食品(味噌)による抗酸化・解毒作用
  2. 精製糖や乳製品を避け、腸を守る自然食
  3. 塩・海藻・玄米による電解質とミネラルの補給

これらの組み合わせが、
「体の内側から防御力を高める」という食によるシェルターを築いていたのです。

 

戦後、彼の食事法は「迷信」と切り捨てられ、
医療界から正式に評価されることはありませんでした。

「味噌汁で放射線を防げるわけがない」
「食べ物とDNA損傷に関係があるはずがない」
当時はそう考えられていたのです。

しかし──

その後の研究で、味噌に含まれる**褐色色素(メラノイジン)**が
強力な抗酸化作用を持ち、放射線によって生じる活性酸素を除去する働きがあることが判明。

また、味噌や玄米、海藻などが腸内細菌叢を守り、
免疫力や排毒機能を維持するうえで極めて重要であることもわかってきました。

 

実際に命を救った“事実”は、今なお語り継がれ、
チェルノブイリ事故の際にも日本の赤味噌がソ連に輸入されたという記録が残っています。

秋月医師が直感と臨床経験で導き出した“味噌汁の力”は、
後に科学がその意味を少しずつ証明しはじめたのです。

 

🟧「奇跡」ではなく「必然」だった

のちに、味噌に含まれるメラノイジン(褐色色素)や乳酸菌
さらに発酵によって生じるアミノ酸やミネラルのキレート作用が、
放射線によるDNA損傷や腸内環境の破壊を抑える働きがあることが、海外の研究でも報告され始めました。

メラノイジンは、味噌を長期熟成させる過程で自然に生まれる褐色の成分で、
体内で発生するフリーラジカル(活性酸素)を除去し、細胞を酸化から守る抗酸化物質です。
特に赤味噌にはこのメラノイジンが豊富に含まれています。

また、味噌の乳酸菌は腸内フローラを整え、被曝によって壊れた腸の免疫バリアを修復する力があるとされています。
腸は全免疫細胞の約7割が集まる場所であり、腸を守ること=命を守ることに直結します。

さらに、味噌や海藻、梅干しに含まれるマグネシウム・カリウム・カルシウムなどの天然ミネラルは、
放射性ストロンチウムやセシウムといった放射性物質や重金属と結合(キレート)して体外に排出する作用があります。

とくに玄米は、食物繊維とフィチン酸によって、腸内の毒素を抱きかかえたまま排泄させる“ほうき”のような役割を果たすことが知られています。

こうした複数の自然成分の相乗効果が、
秋月医師の食事法を単なる「民間療法」ではなく、
極めて理にかなった“統合的な医療的アプローチ”として裏付ける結果となったのです。

 

秋月医師が実践した食養生は、
当時の科学ではまだ解明されていなかったが、
生命の本質に根ざした「自然の医療」だったと言えるでしょう。

 

 

 

🟠第2章|味噌の力──放射線から身体を守る理由

 

「味噌汁で放射線を防げるなんて、信じられますか?」

当時そう思われても無理はありません。
薬も治療法もなかった時代に、
たった一杯の味噌汁で命を守ったと語る秋月医師の証言は、
現代人の感覚からすれば“にわかに信じがたい話”だったでしょう。

けれど今では、味噌の持つ複合的な機能性が
科学的に解明されつつあります。

 

🟧なぜ味噌が「放射線」に効くのか?

放射線は、体内で次のような**“連鎖的な破壊”**を引き起こします:

  1. 細胞に**活性酸素(フリーラジカル)**を発生させ、DNAを損傷
  2. 腸の粘膜細胞が破壊され、腸内細菌叢(フローラ)が崩壊
  3. ミネラルや酵素の欠乏で、免疫・解毒・代謝が低下

この「内側から崩れる仕組み」に対し、味噌は3つの側面から作用します👇

 

🟠1. 味噌は“活性酸素”の暴走を防ぐ

味噌を長期熟成すると生まれる褐色色素=メラノイジンは、
強力な抗酸化物質として知られています。

活性酸素は「錆び」を起こす原因物質であり、
DNAや細胞膜を切断し、発がんや老化の引き金にもなります。

放射線はこの活性酸素を大量に発生させるため、
体の内側から静かに細胞を破壊していきます。

メラノイジンは、そうした活性酸素を中和し、
酸化ストレスから細胞を守る“体内の盾”のような役割を果たしていたのです。

特に、赤味噌のように熟成期間が長く、温度が安定している味噌ほど、
このメラノイジンの含有量が多いとされています。

 

🟠2. 味噌の“菌の力”が腸を再生させる

放射線障害で真っ先にダメージを受けるのが腸の粘膜細胞です。
腸は、栄養吸収だけでなく、全身の免疫細胞の7割が集まる重要な防衛拠点でもあります。

放射線により腸内細菌が壊れ、粘膜が剥がれると、
毒素や未消化物が体内に漏れ、免疫の暴走や炎症が起きやすくなります。

味噌に含まれる乳酸菌や麹菌、酵母菌は、
腸内フローラを整え、粘膜の再生とバリア機能の回復を助ける働きがあります。

なぜ発酵食品がよいのか?
それは「生きた菌だけでなく、菌の代謝産物(ポストバイオティクス)」が、
腸の免疫細胞に直接働きかけて修復スイッチを入れるからです。

 

🟠3. 味噌は“ミネラルの宝庫”──キレートで毒を排出する

放射線や重金属(セシウム・ストロンチウム・鉛など)は、
細胞内に入り込んで組織を破壊し、蓄積して長期障害を起こします。

ここで鍵となるのが、味噌に含まれる**天然のミネラル(Na, K, Ca, Mgなど)**です。

これらのミネラルは、有害な金属と結合(=キレート)し、
尿や便から排出されやすい形に変えてくれる働きを持っています。

特に、味噌の発酵過程で生じるアミノ酸や短鎖ペプチドが、
キレート作用を高め、肝臓や腎臓に負担をかけずに**“静かに解毒”**してくれます。

 

🟧味噌は、単なる調味料ではない

こうした働きをひとつひとつ見ていくと、
味噌はただの「塩味の発酵食品」ではなく、
**腸・免疫・ミネラル代謝という3つの根本機能を支える“機能性医療食”**だったことがわかります。

「なぜ、秋月医師は味噌汁にこだわったのか?」

それは彼が、“医学では救えないもの”を、
身体の声と食の力で守ろうとしていたからかもしれません。

 

 

 

🟠第3章|玄米・塩・海藻・梅干し──“味噌だけじゃない”命のセット

 

秋月医師が守ったのは、単なる「味噌汁の習慣」ではありませんでした。

彼が意識していたのは、
**“体を総合的に守る食のチーム”**としての役割──
つまり、**味噌に加えて玄米・塩・海藻・梅干しという“命のセット”**を、
一貫して食事の中心に据えていたのです。

 

🟠なぜ“玄米”なのか?

玄米は、白米とはまったく異なる食べ物です。

胚芽とぬか層を残した玄米には、
ビタミンB群、マグネシウム、亜鉛、フィチン酸、食物繊維などが豊富に含まれており、
**体内の毒素を排出し、代謝酵素を活性化する「デトックス食材」**として働きます。

とくに注目すべきは、「フィチン酸」という天然成分。

フィチン酸は、腸内で有害な金属(鉛、カドミウム、放射性物質など)と結合し、
そのまま便として排出させる“キレート作用”を持つとされています。

加えて、玄米に含まれる豊富な食物繊維は、
腸内の老廃物や毒素を“絡めとって掃き出す”ほうきのような存在

つまり玄米は、体に入り込んだ毒を外へ出すための主役だったのです。

 

🟠なぜ“塩”をたっぷり使ったのか?

当時、秋月医師は「味噌汁には塩をしっかり使え」と明言しています。

ここでの「塩」は単なる調味料ではなく、
細胞を生かす“電気の媒体”としての塩=ナトリウムでした。

放射線を受けた体内では、細胞膜の電位バランスが崩れ、
ナトリウム・カリウム・カルシウムなどの電解質が漏れ出してしまいます。

塩は、これらの浸透圧・神経伝達・細胞代謝を回復させるために不可欠
体液(血液・リンパ)の電解質バランスを整えることは、
**自然治癒力を支える“土台づくり”**といえるのです。

しかも、味噌のように発酵と組み合わされた“天然の塩”には、
ただの食塩にはないミネラルバランスと酵素活性力
があります。

 

🟠なぜ“海藻”が毎日登場したのか?

海藻は、放射性物質や重金属の排出において、
“結合して外に出す”働きが強い食材のひとつです。

昆布・わかめ・ひじき・あらめ・もずくなどに含まれる「アルギン酸」や「フコイダン」は、
腸内で毒素とくっつき、便として排出するキレート食物繊維として作用します。

また、海藻はヨウ素・マグネシウム・鉄・カルシウムなどの天然ミネラルが非常に豊富
とくにヨウ素は、甲状腺に放射性ヨウ素が吸収されるのを防ぐ競合阻害作用があるため、
「放射線対策」として理にかなった食品です。

 

🟠なぜ“梅干し”がセットだったのか?

梅干しは、日本古来の“酸の力”と“殺菌力”を兼ね備えた万能保存食です。

梅に含まれるクエン酸は、体内の乳酸や毒素を分解し、
肝臓の解毒力を高め、腸内環境を整える酸性代謝サポーターとして働きます。

また、梅の抗菌力と防腐作用は、被曝後に免疫が低下した身体にとって、
感染症を防ぐ自然の抗生物質のような役割も果たしていたと考えられます。

「玄米+味噌汁+梅干し」という組み合わせは、
現代でも「完全食」として見直されており、
エネルギー・ミネラル・抗酸化物質がすべて揃った命の配膳なのです。

 

🟧味噌は“要(かなめ)”だった──でも、支えたのは“仲間たち”

味噌の力は確かにすごい。
けれど秋月医師が私たちに残してくれた教訓はこうです:

単体の食品ではなく、組み合わせが命を守る。
体に届く順序と、消化・吸収のリズムを揃えることが重要だ。」

それはまさに、栄養素を“単体”で考える現代栄養学とは違う発想

食材たちは、互いの力を引き出し合う“チーム”であり“オーケストラ”

秋月医師の食養は、「味噌だけで助かった」わけではなく、
玄米・塩・海藻・梅干しという“命を守るセット”があったからこそ
その力が最大限に発揮されたのです。

 

🟠フィチン酸とは?──誤解されやすい“天然のデトックス成分”

「玄米にはフィチン酸があるから体に悪い」
そんな言葉をどこかで見聞きしたことがあるかもしれません。

実際、フィチン酸は“ミネラルの吸収を妨げる”として
一部の栄養学では「アンチ・ニュートリエント(抗栄養素)」と呼ばれることがあります。

でも、それは一側面に過ぎません。

 

フィチン酸は、玄米、大豆、ごま、ナッツ類など
自然界の種子に広く含まれる天然成分で、
本来は芽が出るまで“ミネラルを守り蓄える”ための仕組みとして存在しています。

そして人体においても、実は重要な役割を持っているのです。

 

🟧フィチン酸の“もう一つの顔”

  1. 重金属・放射性物質の排出(キレート作用)
     → フィチン酸は体内の鉛・水銀・カドミウム・放射性物質と結合し、
      **そのまま便として排出させる“自然の解毒剤”**のように働きます。
  2. 抗酸化作用・がん細胞の抑制
     → フリーラジカルを除去し、細胞の酸化ストレスを軽減する効果があり、
      一部の研究では**抗がん作用(特に肝臓・大腸)**も示唆されています。
  3. 腸内環境の改善と免疫サポート
     → フィチン酸は腸の粘膜を保護し、有害物質の再吸収を防ぐ働きも報告されています。

 

🟧じゃあ、なぜ“悪者扱い”されたの?

多くは、動物実験や特定の加工食品において
ミネラル不足になるリスクがあるという報告から来ています。

でも、それは:

  • 食事全体が偏っていたり、
  • 加工されたサプリや抽出成分だけで摂取した場合

など、“自然の状態”とは異なる状況での話です。

 

🟧秋月医師の玄米食では“武器”だった

秋月医師は、玄米に含まれるフィチン酸の“排毒力”を、
理屈よりも体験として知っていたのかもしれません。

玄米を主食としながら、
塩・味噌・海藻・梅干しといったミネラル豊富な副菜とセットで出すことで、
ミネラル不足を防ぎつつ、毒を出す力を最大限に活かす食卓をつくっていたのです。

 

🟧フィチン酸は、誰にでも合うわけではないけれど──

たしかに、胃腸が極端に弱い人や、栄養失調状態の人にとっては
フィチン酸の“作用の強さ”が負担になることもあります。

でも、それはどんな食品も同じ。

大切なのは、「毒か薬か」ではなく、
どんな人に、どんな状態で、どんな組み合わせで取り入れるか。

それこそが、秋月医師の食養の本質──
“食べ物そのものを責めない”という姿勢だったのではないでしょうか。

 

🌾“玄米=体に悪い”と切り捨ててしまうのは簡単ですが、
それでは本当に必要な知恵まで、手放してしまうことになるかもしれません。

 

  

 

🟠第4章|現代の“被ばく”とその見えない正体

 

原爆による被ばくは、
爆風と熱線、そして放射線という「目に見える災厄」でした。

けれど、私たちが今さらされている“被ばく”は──
目には見えず、音もなく、日常の中に静かに忍び込んでいます。

 

🟧現代の“放射線”は、食卓や空気に潜んでいる

かつては特定の戦場や事故現場でしか起こらなかった放射能汚染。
しかし今では、原発事故の土壌残留物や海洋汚染、食品の広域流通により、
**低レベルの放射性物質が“日常化”**している現実があります。

さらに、私たちは毎日次のような“見えない有害因子”にもさらされています:

  • 加工食品・保存料・着色料・香料などの食品添加物
  • プラスチック容器や農薬由来の内分泌攪乱物質(環境ホルモン)
  • スマートフォン・Wi-Fi・5G・Bluetoothからの電磁波ストレス
  • 水道水に含まれる残留塩素や重金属
  • 都市の大気中のPM2.5・排気ガス・粉塵

こうした物質は、放射線と同じように
細胞を酸化させ、DNAを傷つけ、慢性的な炎症を引き起こすことがわかってきています。

 

🟧「現代の病」は“見えない被ばく”から始まっているかもしれない

疲れやすい、眠れない、アレルギーが増えた、子どもの発達が気になる…
現代にあふれる“なんとなく不調”の多くは、
こうした複合的な微量毒素への慢性的な暴露=見えない被ばくが関係しているとも言われています。

しかも、これらは1回の大量被ばくではなく、
「気づかないほどの量」が「毎日」積み重なっていくという特徴があります。

だからこそ、秋月医師が残したような、
**毎日の食事で体を守る“生活の食養”**が、いま改めて必要とされているのです。

 

🟧なぜ“味噌汁”が現代にも必要なのか?

発酵食品(味噌)に含まれるメラノイジンや乳酸菌は、
活性酸素を除去し、腸内を守り、解毒を助けます。

海藻や玄米、梅干しに含まれるミネラル・食物繊維・クエン酸は、
現代の微量毒素を腸内で“抱えて”排出してくれます。

塩は細胞の電位を整え、
味噌汁の“湯気”は副交感神経を優位にし、自律神経の回復と修復モードを助けます。

つまり、「味噌汁を飲む」という行為は、
単なる食事ではなく、
“見えない毒に負けない体”をつくる日常の儀式になりうるのです。

 

🟧秋月医師の言葉が、“今”を生きる私たちに届くとき

「私たちは、味噌汁と玄米と塩、そして海藻を摂っていた。
その代わり、白砂糖は一切摂らせなかった。」

この言葉は、決して「戦時中の知恵」ではなく、
**“今の日本人が知っておくべき健康の基礎”**でもあります。

特に、添加物や加工食品、ストレス、情報過多にさらされる子どもたちにこそ、
この“食の防御力”が必要とされているのではないでしょうか。

 

 

 

🟠第5章|医療が救えなかった命を救った“食”

 

秋月辰一郎医師の記録は、
被爆医療のなかで語られる“奇跡”のように扱われてきました。

けれど、それは本当に奇跡だったのでしょうか?

 

🟧治療も薬もなかった──それでも生き延びた人々

当時、浦上第一病院では
・防護服もなければ
・除染もなければ
・被曝治療薬も存在していませんでした。

あったのは、ただ毎日の食事──
玄米、味噌汁、塩、海藻、梅干し。
そして、白砂糖と乳製品を排除するという方針。

この“何の変哲もないように見える献立”で、
病院スタッフも入院患者も、誰一人として放射線障害で亡くなることはなかった。

それは、偶然ではなく「意図的な予防策」だったのです。

 

🟧なぜ、秋月医師の実践は受け入れられなかったのか?

戦後、医学界はこの事例をほとんど検証せず、
「迷信」「たまたま体力があっただけ」として片付けました。

なぜなら、秋月医師の食事法には
論文も、エビデンスも、学会の承認もなかったからです。

けれど、命を救ったという“結果”だけは確かにそこにあった。

 

科学や西洋医学の世界では、
「数字にならないもの」や「再現性のない現象」は評価されません。

しかし私たちは、日々の食事、体調、心の変化、肌の感覚といった、
“数値では測れない命の手ざわり”を知っています。

そして秋月医師は、まさにその“命の感覚”を信じ、
医療とは別の形で「食の力」を見抜いていたのかもしれません。

 

🟧食は治療ではない──でも、治癒の土台になる

秋月医師は、「食で治す」ではなく、
**「食で崩れた体を戻す」**という考え方を貫いていました。

被曝後に崩壊した細胞や腸内環境、免疫や神経系を
薬ではなく、日々の食事で支える──
それは、今でいう「機能性医学」や「ホリスティック栄養学」に近い視点だったともいえます。

味噌や玄米、梅干しは、単なる“健康食”ではありません。

それは、**身体の自己修復力に寄り添う“治癒の土壌”**を整えるものだったのです。

 

🟧いま求められているのは、“自然と共に生きる知恵”

現代は、医学も薬も発達し、
AIやテクノロジーが命を管理する時代に近づいています。

でも──
それでも不調が増え、
子どもたちのアレルギーや発達の悩みが尽きないのはなぜでしょうか?

私たちが見落としているのは、
“人間も自然の一部である”という基本的な感覚かもしれません。

そして、味噌汁や玄米が生きる力になるという話は、
それを思い出すきっかけなのです。

 

 

 

🟠第6章|“癒しの文化”は日本の宝だった

 

味噌汁、梅干し、玄米、塩、海藻──
どれも、特別なものではありません。

むしろ、どの家にもあって、
かつては誰もが“当たり前に食べていたもの”。

けれど今、その“当たり前”が、
いつの間にかどこかへ追いやられ、
代わりに便利で効率的な加工食品や“買える健康”が中心になりました。

 

🟧癒しとは、自然に還る力

秋月医師が実践したことは、
医学的に見れば「シンプルすぎる」対応だったかもしれません。

でも──
その「自然に寄り添う知恵」が、
放射線という極限の環境で人の命を守る“癒し”の力になったことは、
私たちにとって、決して無視できる話ではないはずです。

“癒し”とは、治療でもなく、奇跡でもなく、
人間が本来もっている再生力を支える環境そのもの。

そしてそれは、自然と繋がる食文化や暮らし方の中に生きているのです。

 

🟧日々の食卓が、命のシェルターになる

どんなに不安なニュースが流れても、
外の空気が濁っていても、
子どもたちを守る一番身近な手段は──

「お味噌汁をつくって、一緒に食べること」かもしれません。

味噌や梅干しを漬けること、糠床をかき混ぜること、
畑や土に触れること。
それらはすべて、**体を守り、心を癒す“文化の継承”**です。

それは単なる健康法ではなく、
いのちを次の世代に渡すための“暮らしそのもの”

 

🟧この文化を、絶やさないという選択

私たちが今、手にしている“癒しの文化”は、
決して過去の遺物でも、郷愁でもありません。

それは、医学や制度に頼りすぎない“暮らしの防衛術”
そして、“生きる力を信じる姿勢”でもあります。

子どもたちに何を残すのか?
未来の社会にどんな命の形を渡せるのか?

その問いに対して、
味噌汁や玄米という「地味で、けれど強い選択」が
ひとつの答えになり得るのではないでしょうか。

 

秋月医師の実践は、決して特別なことではなかった。
誰にでもできる、でも**やるかどうかが問われる「日常の選択」**でした。

そしてそれは、
いま私たちが取り戻せる “希望” でもあるのです。

 

 

🌿この連載を通じて、
「癒す力は自分たちの手の中にある」
という静かな確信が、あなたの中に灯れば嬉しく思います。

次はあなたの台所から。
未来へ続く、“一杯の味噌汁”を。