──ヒポクラテスの叡智と現代医学が示す“腸の真実”
口から腸へ、腸から全身へ。いま見直される“命の軸”とは?
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🔶はじめに:ヒポクラテスの言葉が、いま蘇る
「すべての病気は腸から始まる」
これは、医学の父と呼ばれるヒポクラテスの有名な言葉です。紀元前の時代から、私たち人間は“腸”の重要性に気づいていたのかもしれません。
そして現代。がん、うつ、アレルギー、自己免疫疾患、不妊、発達障害…。
こうした現代病の多くが、実は“腸から始まっている”可能性があることが、世界中の研究で明らかになりつつあります。
🔶腸は“ただの消化器官”ではない
「腸は免疫の7割を担う」とよく言われます。
もちろんそれも事実ですが、それは腸の働きのほんの一部に過ぎません。
機能性医学(IFM:Institute for Functional Medicine)では、腸を**“根本原因の集積地”**と捉えています。実際、症状の9割は腸と関係しているというデータや臨床実感もあり、予防先進国アメリカでは医師たちがまず「腸から診る」時代に入り始めています。
🔶腸の6大役割とは?
腸がこれほどまでに注目される理由。
それは、腸が以下のような6つの決定的な機能を担っているからです:
1. 免疫の司令塔
→ アレルギー、感染症、自己免疫疾患などに深く関与。
2. 脳と心の起点
→ 腸脳相関。うつ、パニック、発達障害、自律神経にも影響。
3. 代謝と血糖のコントロール
→ 糖尿病、脂肪肝、メタボの根本にある“腸フローラ”の乱れ。
4. 炎症の沈静化
→ リーキーガットや慢性炎症が、がんや認知症の土台に。
5. ホルモンの調律
→ PMS、更年期障害、乳がんなどホルモン依存性疾患との関係。
6. 排泄とデトックス
→ 便秘は「出せない体」の象徴。化学物質や老廃物の出口が詰まると、全身に影響が及ぶ。
🔶歯科衛生士として、私が見てきた「腸の鏡」としての口腔
私はこれまで歯科の現場で、日々たくさんの“お口のサイン”に出会ってきました。
唾液、歯肉、舌、口臭…。
それらは、単なる局所の問題ではなく、腸からのSOSであることも少なくありません。
たとえば──
• いつまでも治らない歯肉炎
• 白っぽく乾燥した舌
• 便秘とリンクする口臭や歯垢の変化
こうした症状は、「腸内環境の乱れ」や「排泄の滞り」と深くつながっていることがあります。
歯科の仕事を通して見えてきたのは、口腔と腸の密接な連動関係。口はまさに、腸の鏡であり、未病のサインを映し出す場所なのです。
🔶これから綴っていくシリーズについて
この記事は、そんな“腸のちから”を多角的に掘り下げていく、シリーズの第一歩です。
機能性医学、ホリスティックな視点、
そして歯科衛生士としての現場経験を交えて──
「腸を中心に見ると、すべてがつながってくる」
そんな感覚を、必要としている方に少しでも届けられたらと思っています。