🌾小麦はなぜ「腸の細胞」と間違われて攻撃されるのか?
― グルテンによる免疫誤作動と腸の炎症メカニズム ―
私たちが普段何気なく食べているパンやパスタ、うどん。
その主原料である小麦に含まれる「グルテン」が、実は私たちの腸の細胞と“間違われる”ことで、体内で自己免疫反応が起こることがあるのをご存じでしょうか?
今回は、そのメカニズムについて、できるだけわかりやすく5つのステップで解説します🌿
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①グルテンとは?主に問題なのは「グリアジン」
小麦のたんぱく質の主成分は、「グルテン」と呼ばれる物質。
これは、グリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質が、水を加えてこねられることで形成されます。
特に問題とされるのはこの グリアジン。
この物質は、非常に分解されにくく、消化が不完全なまま腸に留まりやすい性質があります。
そして…グリアジンの“ある特徴”が、腸のトラブルへとつながっていきます。
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②グリアジンが腸の「壁」をこじ開ける
本来、腸の内壁(腸管上皮)は、不要なものを通さない関所のような働きをしています。
でも、グリアジンには、「ゾヌリン(Zonulin)」というたんぱく質を分泌させる作用があるのです。
ゾヌリンは腸の細胞同士の結び目(タイトジャンクション)を緩めてしまい、
本来は入ってこないはずの未消化のたんぱく質や毒素まで体内に漏れ出してしまう──
これが「リーキーガット(腸漏れ)」と呼ばれる状態です。
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③「敵」と認識されたグリアジン。だけど…構造が似すぎていた!
漏れ出したグリアジンに対して、体の免疫は「異物だ!」と反応し、抗体を作ります。
しかしここで問題なのは、
グリアジンと、腸の自分自身の細胞(小腸上皮細胞)の構造が非常に似ていること。
この“似ている”ことが、まさに誤作動を引き起こすカギ。
本来の敵(グリアジン)を攻撃するつもりが、
「自分の腸の細胞」まで間違って攻撃してしまうのです。
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④この“誤作動”が、自己免疫疾患へとつながっていく
このようにして起きる免疫の誤作動は、専門用語で**「分子相同性(モレキュラーミミクリ)」**と呼ばれます。
この現象が引き金となり、
✅ セリアック病
✅ 1型糖尿病
✅ 橋本病(甲状腺炎)
✅ 関節リウマチ、自己免疫性皮膚疾患 など…
腸から始まる“自己攻撃”が全身に波及するのです。
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⑤だからグルテンは「完全除去」が基本。でも、“代わり”の落とし穴にも注意
グルテンは少量でも抗体反応を引き起こすことがあり、セリアック病と診断されていなくても「非セリアック・グルテン過敏症」と呼ばれる症状が存在します。
ただし、「グルテンフリー」や「米粉」に飛びつけば安心かというと、それもまた注意が必要。
• グルテンの代替加工食品には添加物や糖質過多のものが多く、
• 本来のお米とは異なる“酸化しやすい粉”の状態であることがほとんど。
お米は、お米のままで。
自然な形で食べることが、腸を守るいちばんの近道です🌿
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🔶まとめ:
グルテンは、消化しにくいだけでなく、
**「腸の細胞と似ているために免疫に攻撃されてしまう」**という厄介な存在。
見えないところで、
じわじわと腸を傷つけ、炎症や免疫の不調を起こす可能性があるのです。
だからこそ──
ただ「除去する」よりも、「なぜ除去するか?」の理解が、
体質改善のスタートになるのです。