■若者のトレンドは自然の中で野菜作り…就職より就農
「前職に比べて収入は半減したが、自然の中で農業をする喜びは何ものにも替え難い」
長野県佐久市。2年前から無農薬野菜などを生産・販売する「藤井農園」の藤井志郎さん(32)は、充実感に満ちた生活を送る。
東大卒業後、IT系企業やコンサルティング会社などに勤務していた藤井さんは、約3年半前に脱サラし、全く縁のなかった農業の世界へ飛び込んだ。転職の理由についてはこう話す。
「国内の食料自給率の低さが問題となる中、日本の農業を衰退させないために何ができるかと考えた結果、自分で農業を営むことが一番だと気付いた」
別の農園で1年半ほど修業した後、妻と2人で借りた畑に野菜を作り、首都圏の約120軒の“お得意さん”に販売している。
農業に対して地味なイメージは全くなかったという藤井さんは、「サラリーマンにとって農業は今後の有望な転職先になるかもしれない」と予測する。
若い世代に“農業熱”が確実に浸透している兆しがある。
「学生や社会人の参加希望者が急増して、受け入れ先の農業法人を確保するのが難しくなっている」
こう話すのは日本農業法人協会(東京)の名取芙海さん(29)だ。
農業情報などを発信する全国農業会議所(東京)から委託されて平成11年度にスタートした農業体験事業は、毎年150~200人の参加者数で推移していたが、20年度には約350人に急増。内訳は学生約270人、社会人約80人だ。大学生は3年生がほとんどで、社会人は20~30代のアルバイトやフリーターが多く、参加者のうち約4割は就農を考えているという。
名取さんは「これまでも景気が悪ければ参加者は増える傾向にあったが、今回のような深刻な不況が続けば、就農のきっかけとして農業体験事業への参加希望者は今後もさらに増えるのではないか」と語る。
農林水産省の統計によると、19年の新規就農者(39歳以下)は1万200人で、2年の4300人に比べ倍以上の伸びをみせている。「特にここ数カ月の不況の深刻化の影響もあるのか、就農支援説明会を開けば参加者は通常の倍以上が集まる」(同省人材育成課)という盛況ぶりだが、農業に引き寄せられる理由は何なのか。
「若い世代は、食の安全問題や環境問題がクローズアップされてきた時代を生きており、農業の重要性をよく認識している」
大学生と農業界の橋渡し役を担っているイベント会社「NOPPO」(東京)社長の脇坂真吏さん(25)はこう話した。
農業情報を求める学生のうち7割は非農学部系で、社会人も大半が正社員という。
脇坂さんは「農業である程度の稼ぎができるかを見極めながら、自然の中で暮らしたいという人が増えているのだろう」と、農業人気の広がりに期待を寄せている。
出典:産経新聞
一時期は、後継者不足で
深刻な状況であった農業・・・
食の安全性・環境問題・・・
ブーム到来の真意はどこにあるのでしょう
