七夕の後で | 魔法の秘密基地。

七夕の後で

今日、街の喫茶店まで行こうと思った。
なんせ夏は急いでいるみたいだ。
あったか~い珈琲が美味しく飲める限界の季節なのだ、きっと。

見慣れているような、いないような風景の中を歩いた。
小さい頃から知ってる筈なのに何故かぎこちない。

風向きに素直なねこじゃらし。
寂れた公園の誰も乗る事のない木馬。
アスファルトの照り返しと混じる土と草のぬくみ。


ふと、通りがかりの家の軒先にしまい忘れの笹の葉があった。
田代まさし根性で短冊を盗み見しようとほくそ笑んだ。ミニにタコ。

“東日本の人たちが早く元の生活に戻れますように”

元になんか戻れない。3.11前には。東京でさえ戻れないのだ。東北はもっと戻れない。そして私も戻れない。過ぎた時間への愛しさは柔らかいソフトクリームみたいに溶け落ちる。
ただ、新しく作る事は幾らでも出来るだろう。システムも、生活も。

だけど、単純に嬉しかった。
誰も忘れてはいないのだ。届かないとしても祈り、願う気持ちは持っているんだと。
叶う叶わないじゃない。
私自身こういう所が甘いし、馬鹿だと思う。

うん、悪くない。
帰り道は微妙なズレもなくなった。