実習2日目。
安定剤を飲んで出発した。
しっぽ『今日は何をするんだろうね』
まさお『そうだね』
しっぽ『この前の子とまた会えるかな』
まさお『お気に入りだもんね』
楽しみで車中の会話が弾んだ。
到着したら荷物を置いて、すぐに実習が始まった。
今回は人数が多かった。
10人。
この前の子が覚えてくれていた。
うれしかった。
外で一緒に遊んだ。
ダンスを披露してくれた。
歌を歌ってくれた。
お昼寝している間に休憩を取った。
午後からも、子ども達とまた一緒に遊んだ。
おままごとをした。
ブロックで遊んだ。
おやつを一緒に食べた。
先生の絵本の読み聞かせを一緒に聞いた。
何人も私達夫婦の膝の上に座ってきた。
抱っこしてほしいと次々にお願いされた。
背中にピタッとくっついてくる子がいた。
顔をすりすりしてくる子がいた。
匂いを嗅いでくる子がいた。
私達の取り合いになった。
胸が苦しくなった。
実習は終わった。
『またあそびにきてね』
『またいっしょにあそぼうね』
子ども達みんなに見送られて、別の棟へ移動した。
もう会えないって知っているのかもしれない。
さみしかった。
座学を受け、レポートを書いた。
埃っぽい部屋で、すぐにアレルギー症状が出た。
2日間、あっという間だった。
最初は不安で行きたくないと思ったが、本当に行って良かったと思う。
貴重な経験ができた。
子ども達の状況や環境、職員との関係を目の当たりにして、改めて家庭での養育が必要だと強く感じた。
実親が里親の養育を反対し、施設から出られない子どもがたくさんいる。
大人の都合で施設に入り、大人の都合で施設から出ることができない。
本当に勝手な大人ばかりだ。
子ども達が、1日も早く里親の元へ行けるといいな。
里親登録まで、やる事はこの実習で全て終わり。
年内には審査を経て登録の合否が決定する。
まだ不安や迷いはある。
でも実際に子ども達と触れ合ってみて、少し前向きになれた。
大丈夫かもしれない。
車を運転しているまさおの横顔が明るかった。