精神科の通院。

『次の通院はいつですか?』

養子斡旋団体の担当から聞かれたので、病院名・診察日時・担当医を伝えていた。

『では、その日に誰か一緒に行きますね』

約束したのは1ヶ月前。


精神疾患がある場合は、医師への聞き取りが行われる。

そして、医師の意見が里親登録の審査に反映される。

私の精神疾患が一番の懸念材料なので、精神科の同行は不安だった。


診察日の前日まで、何も連絡がなかった。

しっぽ『明日、一緒に行くって言ってたけど、何も連絡ないね。
病院で待ってるのかな』
まさお『確認しないんだね』
しっぽ『約束したのが1ヶ月前だから、逆の立場なら心配で確認すると思うけど』

基本的に職員はルーズだ。
関わっている職員がたまたまなのか。

私たち夫婦の考える一般常識とは違う世界。
自分たちが絶対に正しいとは思わないが、職員の言動にはいつも驚かされる。


しっぽ『先生がダメって言ったら、審査落ちちゃうよね。
大丈夫って言ってくれるかな』
まさお『どっちでもいいよ。
先生がダメって言ったら、今じゃないってだけだから』


朝起きて支度をした。

結局、斡旋団体からも児相からも電話はかかってこなかった。

誰が来るのか聞いていない。


予約時間が近付いてきたので、病院へ向かった。

病院の入り口付近でキョロキョロしたが、それらしい人は見当たらなかった。

いつもより少し早く到着して、待合室で待っていた。

予約の時間を過ぎてもなかなか呼ばれない。

いつもより長く待った。

もしかして、私より先に来て、先生に話を聞いているのかもしれない。

ドキドキしてきた。

どんな話をしているのだろう。

不安なまましばらく待った。


部屋から人が出てきたが、違った。

患者さんだった。


なんだ。

里親登録の聞き取りかと思ってたのに。


いつも通り診察が始まった。

最近の不安や薬の副作用の話をして、少し世間話をした。

しっぽ『里親登録の件で、先生に連絡がありましたか?』
先生『まだないけど、あったら対応しておくね』
しっぽ『はい。ありがとうございます。
よろしくお願いします』

薬局に寄って帰宅した。


一緒に病院へ行くって約束したと思うけど。

気のせいだったかな。


審査は秋。

忘れられているのなら、それでもいい。

こちらから催促することでもない。