私は椎名林檎に再会する | ラフラフ日記

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主に音楽について書いてます。

昨日(11/24)、さいたまスーパーアリーナで行われた椎名林檎のライブに宮本浩次(エレファントカシマシ)が出演した。

まあ、まずは、話を聞いてください。

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椎名林檎と宮本浩次のコラボが発表される前のこと。

椎名林檎がツアー、(生)林檎博'18 -不惑の余裕- を開催するという。

最近の椎名林檎にはめっきり疎くなった私だが、浜崎あゆみと同じ 1998年デビューということはもちろん知っているわけだし、これがデビュー20周年記念のツアーであろうこと、そしてもちろん椎名林檎が浜崎あゆみと同い年であることも知っているわけだから、「不惑」というのは「40歳」を指すこともタイトルを見た瞬間にわかっていた。

“今一度、椎名林檎を観てみようか”

自分でも信じられないことを私は思っていた。

会場はさいたまスーパーアリーナ。家からすぐ近く。それもあった。

“でもまぁ、今さら、な”

とやり過ごしているうちに、椎名林檎と宮本浩次のコラボがやって来たのである。

椎名林檎と宮本浩次『獣ゆく細道』(2018年10月2日)

期待していなかったわけではない。どこかの日では「目抜き通り」でコラボしたトータス松本が出たという話も聞いている。

しかしそれでも私はチケットを買ったりはしていなかった。

そして 11月9日、『ミュージックステーション』を見た。

椎名林檎と宮本浩次が「獣ゆく細道」を歌った。

凄かった。

何がどう凄かったのか。

バンドを引っ張ることから解放された宮本浩次の表現の自由、爆発。ソロでもなく客演だからこそ、どう見せるかという自意識や自己プロデュースから解放されて、だからこそ解き放たれて出来る表現があること。

それももちろんそうなのだが、

何が凄いって、宮本浩次が椎名林檎の “自意識” さえ一瞬であっても解放していたんだ。

今の椎名林檎なんて、あの鉄壁の自己プロデュース!自意識!その塊!鬼!みたいなものでしょう。
宮本浩次はそれを己の力で、まさしく身一つで、それを破壊し、突破していた。
椎名林檎の自己プロデュースが崩れるところなんて私ははじめて見たよ。

そして最後のシーンを見て私は信じられないことを思った。

“あ、これ、私が大好きな林檎ちゃんじゃん?”

約15年だよ? それくらいずーーーっと解かれなかった謎であり封印が解かれようとしてしまった!
これ、私がずーーーっとずーーーっと見たかった林檎ちゃんの “笑顔” なんじゃない?って。
私はこれが見たかったのかって。。。

そして今回の曲のタイトルは何だ! 「獣ゆく細道」だよ?
本性の獣を解放せよ! 宮本浩次はその曲のテーマであり本質を椎名林檎に突き返した! 作者である椎名林檎に本質を突き返したんだ! わかりますかこの凄さが!

私は決意した。

“椎名林檎に再会する”

宮本浩次が勇気をくれた。

しかしそれでもなお、「獣ゆく細道」という曲が好きかどうかと聞かれたら、好きとは言えないかも知れない。


そもそも私はなぜ、昔は椎名林檎が大大大好きだったのに、離れていったのか。

そして、今回椎名林檎を観るとしたら、一体私はいつぶりに観ることになるのだろうか。

ということを、自分の過去の日記などで調べてみた。

そしたらそこには、自分がなぜ椎名林檎から離れたのか、痛いくらいに鮮明に、鋭く、青く、まっすぐに書かれていた。正直、私はその、自分の若かりし頃の、青くて、純粋で、怖いもの知らずのまっすぐな気持ちに胸を刺されてしまって、今、呆然としている。

椎名林檎のライブを観る日は 11月25日、そう、今日だ!

そんな日記を、再会を目前にして今読んでいる。

そこには、椎名林檎だけでなく、自分がなぜ、椎名林檎から浜崎あゆみへと心が動いたのかも書いてある。痛いくらいに鮮明に。そう、まっすぐに。

この気持ちに恥ずかしいことはできない。

私ははっきりと書いていた。
椎名林檎に「なくても困らない音楽」なんてやって欲しくないと――。

椎名林檎はビクビクしているのか? 「できることをやっている」。
浜崎あゆみは「できなくても良いからやってやる」、「なかったら困る音楽」だ。

“借り物のアイデンティティーで
その可愛い顔を僕から隠さないでおくれ”
(クーラ・シェイカー「ミスティカル・マシン・ガン」)


椎名林檎に “借り物のアイデンティティー” だと突きつけている。

“悲しき事は自分の為に
自分の姿見失うこと”
(浜崎あゆみ「Will」)


自分の為に自分を見失うことがあるのか。音楽の為に音楽を見失うことがあるのか。

それでも私は、林檎ちゃん、私は何度だって、きっとあなたを見つけてみせるよ!

と書いている。私ってば恐ろしい。

でも、それくらいのものだったわけだ。何もかもが。


椎名林檎が凄いのは分かっている。それを評価する世間らしきものも。

けど、媚びるわけにはいかない。

あの頃の自分に恥じるわけにはいかない。

椎名林檎に恥じるわけにはいかない。

再会の時が近づいている。

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昨日のライブで椎名林檎は宮本浩次に「仕事は選んで下さいね」というようなことを言ったらしい。本当か?

どの口がそれを言うのだ? 自分は選ばれた立場からそれを言うのか?

なんてね、林檎ちゃんが誤解されやすいこと、実は発言で損してるところがあるということ私は知っているよ!

いや、答えなんて知らない。正解も不正解もない。

「贅を尽くされたステージ」
「完璧な演出」
「徹底した自己コントロール」


椎名林檎の凄さはいろいろなところで語られている。
けれど、そんなところじゃないんだよ、椎名林檎の凄さは!

そう思う私が間違っているのかも知れない。けれど、正しいも間違っているもない。

そこから目を背けるな!この目で目撃せよ!


昨日、宮本浩次が出たと聞いて、昨日の今日で、同じ会場で、今日私はどんな気持ちで、特に「獣ゆく細道」を、聴けば観れば良いのだろうって気持ちは、あるに決まってるだろうバカヤロウ!

調べたら、私が椎名林檎を最後に観たのは、2006年5月の東京事変のライブ@NHKホール。たぶん、たぶんね。

12年ぶりだよ!

しかも、実は、一昨日(11/23)、NHKホールに私行ってたんです。チャラン・ポ・ランタンのライブを観に。そしたらそこにね、椎名林檎が観に来てたっていう話を耳にしたんですよ!(確かではないですし間違いだったらすみません) 私が最後に椎名林檎を観た場所でね~。へぇ~。

でも本当は、2008年8月に JCBホールで東京事変を観る予定だったんですよ。だから本当はそれが最後の予定でした。『SOCIETY OF THE CITIZENS vol.2』ね。東京事変/エレファントカシマシ/SCOOBIE DO が出るイベントよ。チケット取ってたんだから私。でもね、仕事で行けなくなっちゃったんだよ!

東京事変にエレファントカシマシ…。
椎名林檎に宮本浩次…。

そして来たる今日、だよ。

今日は椎名林檎の誕生日ですよ。私、誕生日がめっちゃ近いから覚えてるんだよ。つまり、私も誕生日が近いんです。

林檎ちゃん、会いに行くよ!

(不惑の余裕? 余裕なんてそこには、ないかも知れない)