エクスペクティング・トゥ・フライ/ブルートーンズ
前にも書いたかも知れないけど、私が初めて夢中になったアーティストは「L⇔R」だろうな。その前にも好きなアーティストはいたけど、「夢中になった」と言えるのはL⇔Rが最初だと思う。
そのL⇔Rの影響で、ビートルズとかバーズとかビーチ・ボーイズとか聴くようになった。魅力的な音楽がたくさんあったけど、今まであまり聴いたことなかった「洋楽」の世界にもっと踏み込むには、一つだけ足りないものがあった。それは、「リアルタイムの血」だ。
ビートルズもホリーズも素晴らしい音楽ではあったけど、自分からしたら、やっぱり、どうしても「過去の音楽」だった。音楽自体が古いとかそういうことではなくて、それがどんなに素晴らしい音楽であっても、それを作った人は今はいないという淋しさというか。その人が現在も活動していたとしても、その作品を作った時の彼や彼女ではないという温度差というか。歴史の教科書を読んでいるような感じとでも言えば良いのか。
まだ洋楽をほとんど聴いたことがない自分にとって、扉を開けるためには、「リアルタイムの血」が必要だったんだと思う。
L⇔Rのラジオで紹介されたこの曲。ブルートーンズの「スライト・リターン」。
この一曲が私の扉を開いた。(マークの動き!)
録音したテープを何度も聴き、そのまったく知らなかったバンド名と曲名をメモし、なんとか CD をゲットしようとした。それが、ブルートーンズのファースト・アルバム『エクスペクティング・トゥ・フライ』だ。1996年発売。
イギリスの新人バンドだという。
ブリットポップ大好きのきーちゃん(木下裕晴)が、「俺が書きそうな曲だ」と言っていた。
ここから、「ブリットポップ」にハマっていったんだよなぁ。
オアシスでもブラーでもなく、パルプでもスウェードでもなく、シャーラタンズでもスーパーグラスでもなく、ブルートーンズが入口。
ノエルでもリアムでもなく、デーモンでもトムでもなく、ジャーヴィスでもブレットでもなく、マーク・モーリス。
地味だよねぇ(笑)。
渋いのかも知れない。
それでも、本国イギリスでは大人気だったみたいなんだよ! オアシスの『モーニング・グローリー』をチャートから引きずり降ろしたってことだったんだから!
何がそんなに良かったんだろう。
わからないけど、でも、やっぱり、今聴いても、良い!
このギターの瑞々しい感じ!
マークの歌声!(郷ひろみに似てるって言ってた人いたなぁ)
ほんと、バンド名の「青=ブルー」がとてもよく似合う。
ストーン・ローゼズにかなり影響受けてるということで、そこらへんは、「ブリットポップ」と称されてた他の多くのバンドと共通してるんだろうけど、他に、バーズとか CSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)とか、その影響の受けどころや受け方も、他のバンドより渋いような気がする。
でも、「通好み」と言ってしまうには「青い」し、よう知らんが「ネオアコ」とするには「ケモノっぽい」気がする!
今思った!
andymori に近い気がする!
今聴いても、何がそんなに良かったのか、わからないんだよ。「普通じゃん」って言われてしまえば、本当その通りなんだよ。ハイそれまでヨ、なんだよ。
だけど、良い。
このギターのたどたどしい感じ!
そこにはいまだ、解明できないものがある!
これで「リアルタイムの血」が通った私は、「過去の音楽」も「現在の音楽」として聴こえてくるようになったのさ。
セカンド・アルバムの『リターン・トゥ・ザ・ラスト・チャンス・サルーン』(1998年)も良いんだよね。