お盆8月14日
本家に親戚一同が集まり
お寺のご住職を招き
お経をあげてもらう
大切なフェスの日
静寂の中にある
凛としたコンサート会場(和室
もう既に外から聞こえる
SE(サウンドエフェクト
大音量のセミの詩声が流れ(煩い、
部屋の中は
蚊取り線香の白い煙が
スモークのように
和室の空間を漂い(煙臭い、
光の差し込み方によって
神秘的で幻想的な世界(本当に和室です、
そんな変な世界から
厳かな衣をまとった
ご住職が静かに
スター気取りで姿を現し
オーディエンス達(親戚一同)を
見渡し煽り(挨拶)
ご仏壇の前に鎮座
コンサート会場(和室)の
オーディエンス達(親戚一同)は
いつ始まってもイイように
スタンディングならぬ
ジャパニーズ・シッティング・ポスチャー!
いわゆる正座なw
さぁ始まるぞ!
さあ!まもなく始まるぞ!
オーディエンス達(親戚一同)は
固唾をのみ目を輝かせ
一斉に数珠を手に持ちスタンバイ
一瞬の間を置き
オープニングから
ご住職のお経の詩声が響き渡り
心地よい木魚のリズム
外から聞こえる
セミの詩声と一緒に
コンサート会場(和室)が
一体になり
高まるフェス感
静まり返った和室に響く
リードボーカルの木魚と
セミの声のセッション
オーディエンス(親戚一同)が
心地よいトランス状態に入りかけた
その瞬間!
なんとご住職が
突如として動き出す
おもむろに取り出したのは
適当に大っきい本ww
「あっ!あれは!!!
キター--!」
オーディエンス達(親戚一同)は
目を見開き
ご住職は
その大っきい本を
両手で持ち上げ
バサァ~!!!
おぉー!
なんとっ!
アコーディオンの如く
上から下へ
上から下へを繰り返し
ダイナミックに
パラパラし始めたww
もぅパラパラ、
パラパラ、パラパラ、、、
学校の授業で
本をパラパラしたら絶対に
怒られるパラパラww
集まった
オーディエンス達(親戚一同)の
心はトキメキ
ご先祖様との
つながりを強く感じさせる
日本ならではの夏のひととき!
究極の
パラパラ・スター
そのダイナミックな
パフォーマンスに
オーディエンス達は
拳を振り上げず
胸の前で両親から教えて頂いた
そう!それ!!!
食事前の「いただきます」のポーズ!
いただきますの手に
数珠!数珠!!!
数珠-----!!!!!
最前列の
S席に陣取る常連(長老)が
目を輝かせ
リードボーカル(ご住職)を凝視、
外では
大合唱を繰り広げる
セミたちも思わず
「……(シーン)」と
一時停止するほどの
圧倒的パラパラ・パフォーマンス
ご住職のテンションは
最高潮(ピーク)に達し
大っきい本から巻き起こる風圧が
蚊取り線香の白いスモークを
芸術的なまでに波立たせる
これぞ日本のお盆ツアー
お盆ファイナルステージ――!!
心の中で
そう叫んだ親戚一同は
言葉を発することすら忘れ
ただその壮観な
アコーディオン・パラパラを
眩い眼差しで見つめ
アコーディオン・パラパラを
乱れ打ちで
コンサート会場(和室)の
ボルテージが最高潮に達した
その瞬間!
ステージの中心に鎮座する
ご住職(リードボーカル)が
ギアをもう一段階上げる!
ここからが
このお盆フェスの真骨頂!
リードボーカル(ご住職)の
ボリュームがグッと上がる!!!
低音から高音まで
伸びやかに響き渡る
お経のボーカルライン
心地よいビブラートが
和室の障子を震わせ
木魚(リズム隊)の
ビートが加速!!!
「ポクっポクっポクポク!
トコトコっトコトコ!……ジャッ!」
絶妙なタメと
疾走感を兼ね備えた
ドラミング(木魚さばき)
オーディエンス達(親戚一同)の
心拍数も完全にシンクロしていく!
ご住職(リードボーカル)の
ロングトーンが美しく決まり
そのコンマ数秒後
「……ん?
まだあるんか……?」
オーディエンス達(親戚一同)の脳裏に
ざわめきが走る、、、
ご住職の手が
左に見えるように置いていた
秘密道具、
それは
鈍い色でいて輝きを放つ・・・
変な形のシンバルちゃん!
ここで
変なシンバルちゃん出して来たー!!
ご住職は左右の手には
しっかりと変なシンバルを握りしめ
まるで学園祭の
大トリを自ら手をアゲ立候補した
変なシンバル担当
一瞬のタメ(溜め)を作る
外のセミたちも
あまりの不穏な気配に
完全に沈黙した、、、
そして・・・。
バ~~~ンッ!!!
やっぱりっw
変な金属の音、
コンサート会場(和室)を
変な空気にし(略、、、
最前列のS席常連(長老)は
一段と背筋が伸び
変な金属の音のせいで
持病の腰の痛みを忘れたのか
後ろに控えていたA席の
一部のオーディエンス(親戚一同)は
手にしていた数珠を
ジャラリと鳴らし
ダイナミックな
アコーディオンからの
まさかのハードロック、
残響音が
和室の隅々まで消え去ったあと
ご住職は
汗をぬぐうこともなく
変なシンバルの余韻が
まだ和室の空気を震わせている中
ご住職(リードボーカル)は
涼しい顔で
次のステップへと移行する
「え?……
まだ終われへんの!?」
オーディエンス達が息を呑む中
木魚のポクポク音は
心地よいリズムを叩き
ご住職も
自分に酔い知れ
完全にトランス状態
木魚のリズムが
徐々に変則的に
木魚ビートが
和室の空気を最高潮に
温め上げたその瞬間
ご住職(リードボーカル)のスイッチが!
完全に
別次元への禁断の扉が開いたw
「……ま、、、
まさか……!?」
S席A席の
オーディエンス達は
数珠を正しい位置に戻し
木魚の変則乱れ打ち
普段であれば
ポク……ポク……と
一定のテンポ刻むはずの木魚を
ご住職は突如として――
ガガ。ガガガ!ガ!ガガガ!ガ!ガッッッ!!!
と、
まさかの木魚の超高速
適当に乱打ww
「ポクポク」どころか
もはや下手な人が撃つ
機関銃の様なリズム、
「ドコ!ドコドコ!ドコ…ド…、」と
畳と仏壇の反響板効果で
和室全体が震度1クラスの
バイブレーションに包まれる、、、
外で鳴いていたセミたちも
この人間離れした
ビートの圧力に完全に沈黙
オーディエンス(親戚一同)もパニック
蚊取り線香の白煙は
良い具合にスモーク演出と化し
真夏の和室は世界で最もアツい
コンサート会場と化した!!!
ダイナミックな
アコーディオンからの
木魚エンディング。。。
ご住職の詩声も
徐々にトーンを押さえていき・・・
残響音が消え去ったあと
ご住職・・・
これにて
お盆の棚経を終了いたします。。。
トランス状態から
現実へと引き戻された
オーディエンス達・・・
ご住職は
ふう~っっと大きく息をつき
汗を拭いながら合掌し
その言葉を合図に
お布施という名のフィナーレ
先ほどまでの
狂騒が嘘のように穏やかで
いつもの丁寧な
ご住職に戻っていた
オーディエンス達も
普通の親戚一同に戻り
「ありがとうございます」と
頭を下げ
そして
全てやり切った静寂の中
いよいよ迎えるのは・・・
そう!
「お布施」タイム!
お布施を載せた切手盆を
田中家代表が贈呈し
ご住職は
両手で丁寧にお布施を受け取り
ふっと優しい笑みを浮かべて一礼
「お盆の暑い中
ご先祖様も大変喜んで
おられることと思います」
親戚一同
心の中の安堵をよそに
静まり返った空間に
何もなかったかのように
再びセミの詩声が
ミ~ン。ミ~ン。と
鳴くのであった、、、
こうして
夏の一大スペクタクル法要は
無事に幕を閉じました、