「膵臓がん患者の約10%に先天的遺伝子多型」

  • 発信元:ダナファーバーがん研究所
※以下の元記事は、
海外がん医療情報リファレンス

(なお、本文中の太字及び赤字は私が変更しました)




 ダナファーバーがん研究所の研究者らによると、膵臓がん患者を対象にした大規模研究において、10%近くが膵臓がんに罹りやすくさせている可能性のある先天的な遺伝子多型または変異を持つことがわかった。また、一部の遺伝子変異が一定の化学療法剤の良好な奏効と関連していたこともわかった。

 7月2日にGenetics in Medicine誌電子版に掲載されたこの知見は、ダナファーバーの内科医が、年齢や家族がん歴に関係なくすべての膵臓がん患者に診断時遺伝子検査を推奨するきっかけとなった。

 潜在的利点は複数あると研究者らは言う。もし特定の先天的遺伝子変異が、実際にプラチナ製剤化学療法などのDNA損傷剤やPARP阻害剤への感受性を高めているとしたら、遺伝子検査の結果が治療の指標となりうる。さらに、先天的な膵臓がん感受性遺伝子変異があるということは近親者が家族性がん症候群の遺伝子変異を持っている可能性が高くなるため、(これを知ることで)近親者が家族性がん症候群の遺伝子検査を受けることができ、場合によってはリスクを下げるための経過観察や積極的治療といった利益を受けることができる。

 「この研究や他の研究から得られたデータに基づき、いまは、年齢や家族歴に関係なくすべての膵臓がん患者に遺伝子検査を実施しています」とこの論文の筆頭著者3人のうちの1人であるMatthew Yurgelum医師は述べた。Matthew医師によると、最近まで、両親から受け継いだいわゆる「生殖細胞系」遺伝子変異が膵臓がんから見つかる率は低く見積もられることが多かった。また、これまでは、若いうちに膵臓がんと診断されるか家族歴があることが生殖細胞系遺伝子変異の存在を示唆すると考えられてきたが、現在では、これらの因子は先天的遺伝子変異が作用していることの指標として信頼できないと認識されている。

 この新しい報告は、生殖細胞系がん感受性遺伝子変異の膵臓がんにおける蔓延率を確認することを目的とした研究に関するものである。当該研究では、患者289人の生殖細胞系DNAに対して次世代シークエンシングを行い、遺伝的がんリスクに関係する24の遺伝子に変異がないかを調べた。これらの遺伝子のうち特定の遺伝子(BRCA1, BRCA2, ATMなど)がDNA分子における両方の鎖の切断を修復する細胞の能力に関与している(二本鎖DNA損傷修復遺伝子または、dsDDR遺伝子とよばれる)。そのほかの遺伝子は、膵臓がんを含む複数のがんに遺伝的にかかりやすくなるリンチ症候群や、その他のがんにかかりやすくなる症候群(家族性大腸腺腫症、家族性異型多発母斑黒色腫症候群、ポイツ・ジェガース症候群、リ・フラウメニ症候群を含む)に関連したものだった。

 シークエンシングの対象になったのは、腫瘍を外科的に切除した289人の膵臓がん患者だった。シークエンシングによって、289人のうち28人(9.7%)が、がんにかかりやすくなる遺伝子に変異(突然変異またはDNA多型)を有することがわかった。この28人のうち6人(21.4%)が膵臓がんの家族歴を持っていた。 また、289人の参加者のうち21人(7.3%)にBRCA1、BRCA2、ATMなどの二本鎖DNA損傷修復遺伝子(dsDDR遺伝子)の突然変異または多型が認められた。これら遺伝子変異を持つ患者は、そうでない患者にくらべて有意に全生存期間が長かった(中央値で34.4カ月に対し、19.1カ月)再発後にオキサリプラチンを用いた化学療法を受けたdsDDR多型を持つ患者の全生存期間が、有意ではないながらも優勢であったという傾向もみられた。

患者の生殖細胞系DNAをシークエンシングしたことに加え、先天的ながん感受性遺伝子変異または多型の複写を確認するために研究者らは患者の膵臓がん細胞から採取したDNAのシークエンシングも行った。研究者らは、この「体細胞」DNAが「第2のヒット」、つまり、生殖細胞系がん感受性遺伝子のもう一方の複写における変異を明らかにするであろうと予想していた。「第1のヒット」は家族性膵臓がんのリスクを上げ、患者が後天的に得た「第2のヒット」が膵臓がんの増殖を開始すると予想していた。しかし、「第2のヒット」がみつかったのは生殖細胞系遺伝子多型をもつ患者の44.4%のみに過ぎず、研究者らはこの知見を「幾分か意外」と表現した。

 以上の元記事は、海外がん医療情報リファレンス  https://www.cancerit.jp/60176.html 



上記、引用文の赤字部分に「長かった」と記載がありますが、その後の()内の中央値生存率の比較をみると、逆に「短かった」のではないかと疑問が。。大事な部分なので元記事の英文より、英語に堪能などなたか、もう一度訳していただけると助かります。。m(__)m

【補足】上の疑問点について、コメント欄に記載があるように、こたろうさんが元記事の英文を翻訳してくださいました。

遺伝子変異を持つ患者の中央値が34.4か月で、そのような遺伝子変異を持たない患者の中央値が19.1か月という意味です。

との事です。こたろうさん、わかりやすくご説明くださり、ありがとうございましたm(__)m



さて、私が注目したのは、その続きにある次の文、、

再発後にオキサリプラチンを用いた化学療法を受けたdsDDR多型を持つ患者の全生存期間が、有意ではないながらも優勢であったという傾向」

という部分です。

副作用のシビレで悪名高いオキサリプラチンですが、遺伝子レベルからみると効果がある人がいるならば、シビレの副作用をギリギリまで我慢して頑張ってみるべきなのかなぁ。。。と、ふと思いました。

(…っていうか、私も遺伝子調べて欲しい❗️

将来的に、遺伝子を調べると、その抗がん剤が効くのか効かないのかが事前に分かるようになれば、

無駄に身体を傷めなくていいのですよね。。


どうか、医療の進歩と発展を。。


寝てる場合じゃない。。





2016 膵癌ガイドライン



「神よ、願わくばわたくしに

変えることのできない物事を

受け入れる落ち着きと

変えることのできる物事を

変える勇気と

その違いを常に見分ける知恵とを

さずけたまえ」

by ニーバの祈り


今に生きる❣️
Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces, I would still plant my apple tree.