私は腹膜播種を対象とした臨床試験に参加していたこともあり、臨床試験のご質問をいただくことが多いのですが、


腹膜播種を伴う膵癌の臨床試験
「パクリタキセルの腹腔内投与、及びアブラキサン&ゲムシタビン静脈投与」(←正式名称ではありません)に関しては、

既にアブラキサン&ゲムシタビンの抗がん剤をスタートされている方は対象外になってしまうので、
残念ながら、現在治療中の方で該当する方は少ないのが現状です。。

ほとんどの方々は再発転移が見つかった時点で、早めの対応で抗がん剤を再スタートさせていますよね。。この臨床試験は、存在を事前に知っていないと、タイミングを逃してしまいます




ご質問を受けて、対象から外れることを伝えるのは本当に心苦しいです。。



でも、臨床試験に参加できなかったからと言って、意気消沈する必要は全くないと思います

なぜなら、臨床試験でうまく奏効した方もいる中で、私のように全く効果が出なかった人間もいるから。

臨床試験に参加することには、ベネフィットだけでなくリスクもあるのです。



私は、半年間もの貴重な命の時間を無駄にしました。(少なからずお金もね…)


それだけではなく、度重なる皮下漏出で精神的なダメージもいっぱいあったし、腹腔ポートのせいで生活の質も落ちました。


わたしは、これから、それらをリカバリしていかなければなりません。
(がんばるけどね!




たしかに腹膜播種は抗がん剤が効きにくく、治療が難しいと言われています。だから、臨床試験で腹腔内投与の効果などを研究しているのですよね。。


これが参考になるのかどうか分からないけど、先月、5月10日に、胃がんの腹膜播種の方を対象にした東大病院の研究結果が出ました。


「腹膜播種を伴う胃がん患者に対するティーエスワン+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法、ティーエスワン+シスプラチン併用療法に対する全生存期間(OS)の優越性を示せず

というものです。



「優越性を示せず」。。
やはり、なかなか難しいのですね。。

これはあくまでも胃がんの方のデータで、膵臓がんのデータではないのですが。





一方で、すい臓がんの腹膜播種に標準治療が効かないかと言えば、決してそういう訳ではないようです。


ある一例では、

「膵尾部癌,腹膜播種の診断でFOLFIRINOX療法を10コース施行し,腹水消失し主腫瘍も縮小したため,膵体尾部切除,脾臓摘出,大網切除,術中腹腔内温熱化学療法を施行した.術後S-1を内服しており,術後5か月目の現在再発所見を認めていない.」

という事例もあって、

(出典

FOLFIRINOXは、腹膜播種にもそれなりの効果はあるみたいです。


尤も、これはFOLFIRINOXを術前投与で使った事例ですが。。(^_^;) 




とにかく、わたしは、標準治療はトライしてみる価値はあると思っています。



臨床試験に参加したときもそうでしたが、なにごとも「やらない後悔より、やった経験」というチャレンジ精神です。





しかし、ここで疑問がひとつ。
抗がん剤をファーストラインで使うのと、セカンドライン、サードラインで使うのとでは、効果が違うのではないのかな。。??ということ。
それと、エビデンス至上主義の腫瘍内科医は、標準治療を勧めますが、結局のところ、ファーストライン以外のエビデンスは無いのでしょ??エビデンスがあると言っても、その奏効率も確か3割程度のはずです。医師はなぜその事実は、声をあげて言わないのかな。。…今度、これらについて主治医に確かめてみようっと。。確かめたら、またブログに書くね)




そして、厳しい現実だけれど、敢えて書きます。



今の医学では、(すい臓がんが)再発転移した場合、完治は望めません。


再発転移のすい臓がんは、標準治療の抗がん剤では治らないのです。


キセキが起こらない限り。
(しかし稀にキセキは起こります)



でも、すい臓がんの患者は、治らないと知っていても抗がん剤を使うしかない。


それは「症状の緩和」のためであり、
それがしいては余命延長につながると言われているから、
副作用に耐えながら頑張っているのです。


でもいつかはその終了期限がやってくることを
私達は知っています。



抗がん剤に耐性ができるか、

もしくは、自分の身体が骨髄抑制などで悲鳴をあげてギブアップするか、


。。。



すこしでも長く、引き分けに持ち込んで、
そのうちに新しい治療法が見つかる事を願っている。。

みんな同じ思いでがんばっている‼️



そんな中で、標準治療プラスαの治療を選択するひとが居たって、良いと思いませんか。。

患者がバカだから騙されるんだと思っていたら、大間違いですよ。。
患者だって、そんなにバカじゃない。。

いろんな背景を分かっていて「プラスα」の選択をしている人も多いはず。








次の治療法が無いというときに、

「緩和も治療のひとつです」

「自分らしく生きることを考えましょう」

そんなことをいわれても、ちっとも嬉しくない。。





なぜなら、わたしたちは、
これまでも、じゅうぶんに
「自分らしく生きる」ことを
がんばって来たのですから。



だからせめて、医療の場は、患者が選んだ治療法の選択肢を肯定して、サポートしてくれる場所であって欲しいです。。











補足します。
私は免疫療法などの代替医療を肯定も否定もしません。
患者本人の意思を尊重する立場です。















「神よ、願わくばわたくしに

変えることのできない物事を

受け入れる落ち着きと

変えることのできる物事を

変える勇気と

その違いを常に見分ける知恵とを

さずけたまえ」

by ニーバの祈り


今に生きる❣️
Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces, I would still plant my apple tree.