何を見つけるのだろう。
だーさく。
人は(というか自分は)なぜこの関係性に惹かれるのか。
わたくしは、いわゆる“カップリングヲタク”のようなタイプではないと思っている。
もちろん誰々と誰々のコンビ好き~といった気持ちにはなるけれど、そこに格別の情を入れて推すというほどではない。
そんな自分がずっと惹かれてきたのがだーさくだった。
普段、どちらかというとスパイシーな魅力のある石田亜佑美と、どちらかといえばスイートな魅力のある小田さくら。
この相反するふたりが掛け合ったとき、「合わない」ではなく、新たな何かが生まれた。
その何かにずっと惹かれてきた。
そしてそれが、もうすぐひとつの終わりを迎えようとしている。
ふたりが出会って約12年。
12年もの長い時間を共に過ごして、いろんな変化を経てきたふたりの関係性を、たった一回のブログで書き切れるわけもないので、これはただわたくしの「だーさくが好き」という想いを改めて吐露するだけの更新である。
だーさくとは、ふたりの人間によるひとつの関係性の旅路だった。
はじまりはどこだったろう。
最近ふたりで雑誌のインタビューに答えていることが何度かあったけど、そこでは大体2013~2014年あたりに、道重さんや他のメンバーたちにふたりの歪な関係性をイジられて、それが表に出ておもしろがられるようになった、といった旨の話があった。
もちろんその萌芽はもっと前からあり、なにしろふたりが“不仲”になったのは、加入早々に小田ちゃんがあゆみんにバックハグをかましたことが原因なのだ。
すっかり語り草になっているこのエピソードも、いま思えばひたすら微笑ましいだけだが、当時のふたりには大きな出来事だったのだろう。
そこからはじまった“不仲”が、いつしかエンターテインメントとして昇華していった。……と言ったら失礼だろうか。
しかしふたりのそんな関係をおもしろおかしく楽しめる度量がヲタクの側にもあったことは幸いだと思っている。そこでマジになってあゆみんを(あるいは小田ちゃんを)批判するような流れになってしまっていたら、こんにちのだーさくという関係性は生まれていなかったのだから。
そうして徐々に浸透していっただーさくの“ビジネス不仲”が決定的にエンタメたらしめるものとなったのは、やはり2016年の『Girls Night Out』に於けるだーさく京都ラブラブ旅行の企画ではないだろうか。
いまでも語り継がれるこのラブラブ京都旅行。
GNO史上最高の再生数を誇り(ちゃんと調べてないけどたぶんそう)、唯一この部分だけDVD化までされた映像記録である。
この映像が出た頃にはもう、自分はだーさくの魅力に取りつかれていたような気はする。
はっきりとは覚えていない。
だけど、この企画がわたくしに決定的な楔を打ち込んだのは間違いない。
おもしろかった。
このふたりの関係性が。
そこでしか感じられない何かがあった。
こんなにも、相手との相性が良くないと口に出す関係性があっただろうか。
基本的にはみんな仲良くやってますの感じでいってるのに、このふたりだけはデフォが“不仲”なのだ。
いや、“不仲”というと正確ではないかもしれない。
どちらかというとあゆみんのほうが小田ちゃんに苦手意識を持っていて、小田ちゃんのほうもそんなあゆみんに(まぁ先輩だし)気を遣ってあまり積極的には関わらないようにしている、と言うのが正しいか。
これだけ聞くと実に気まずい関係のように思えるが、それがなぜこんなにも見てておもしろいものになっているのか。
だーさくの魅力はそこにある。それを“ビジネス不仲”だとおもしろがれる魅力が、ふたりのやりとりにはあったわけだ。
こんな関係性は、モーニング娘。に於いてあとにも先にもこのふたりだけだろう――と言いたいところではあるが、ちょっと似てるなと個人的に感じるのが、かつてのやぐっちゃんと石川さんの関係性だ。
現役時代のこのふたりも、表では主にやぐっちゃんが石川さんをイジることがちょくちょくあった。
まぁ石川さん自体みんなからイジられがちなキャラクターではあったわけだが、一番遠慮なくイジっていたのは(現役では)やぐっちゃんだったように思う。
しかしそんなふたりが、裏では一番「価値観が合う」といったことを、ある時期から公言するようになったのだ。
特にそれは、モーニング娘。のことを話すとき。
モーニング娘。をどうしていきたいか、どうすればもっと良いグループにできるか、そういった話をするとき、ふたりはとても馬が合ったという。
考え方が似てる。
モーニング娘。に対する熱量が同じ。
あぁ、それはまさにだーさくが互いについて言ってることそのものじゃないか――
そういった面で、この2組はよく似ているなと思う。
そういえば先日、やぐっちゃんと石川さんで何かのイベントに出てましたね。
いつかだーさくのふたりも、OGとしてそんな風に一緒に仕事をする日が来るのかな……
だーさくについて、ある転機が訪れたと明白に感じたのがいつだったかといえば、2019年ごろではないかと個人的には思う。
それまで、あくまでも“不仲”であることをベースに活動してきた(?)ふたりが、驚くべきことに相手の家にお泊りをするという事件が起こった。
それは2019年7月10日にアップされた『ハロステ#297』でのこと。
この回はだーさくのふたりがMCを務め、そこでの近況報告のようなトークで、あゆみんが小田ちゃんの家にお泊りをしたと告白したのだった。
そのときの歓びの気持ちを、当時のわたくしもブログに散々書き綴っている。
もう有頂天である。(わたくしが)
たしかに、このときは嬉しかった。
嬉しかったというか、「ついにここまできたか!」みたいな気持ちになった。
あのビジネス不仲のだーさくが。
主に“ツン”だったあゆみんが、とうとう小田ちゃんに“デレ”たのだ。
その話以外でも、なにやらイチャイチャしたやりとりを展開しているので、万が一見たことがないという人はぜひこの5年前のハロステを見てほしい。
このあたりから、だーさくのビジネス不仲は、良い意味での崩壊をはじめたのではないだろうか。
もう不仲じゃないやん。
仲良しかよ。むしろ相性めっちゃ良くない?
そう囁かれるようになった。
いま、目前に迫ったあゆみんの卒業を、小田ちゃんはどんな気持ちで受け止めているのだろう。
かつての“ビジネス不仲”ではなく、最良の“ビジネスパートナー”になった先輩/相棒の旅立ちを。
ありがたいことに、少し前から雑誌のインタビューなどでこのふたりのことをたくさん取り上げてくれた。
映像でのインタビューでも、あゆみんを語る小田ちゃんや、小田ちゃんを語るあゆみんの話をいろいろ聞けた。
はじまりはたしかに良くなかったであろうふたりの関係性が、時を経て、様々な出来事を経て、こんなにも素敵なものになったことに、だーさくを愛するヲタクは涙を禁じ得ない。
『アップトゥボーイ』でのインタビューや、先日のまりらぶ(まりあちゃんのラジオ)でも言っていたように、あゆみんから卒業の相談を受けていた小田ちゃんは、「じゃあわたしも一緒に卒業しようかな」なんてことを考えていたらしいのである。
!?
もちろんそれは半ば冗談というか、一瞬の気持ちの揺れのようなものだったのだろうけど(すぐ冷静になったと言ってた)、それでもある程度は本気だったのかと思うと、ここにきてまた弩級のだーさくをブチ込まれたことにヲタクはどう息をすればいいかわからなくなってしまった。
なんというか、むしろそんな自然な感じで「じゃあわたしも一緒に」という発想が出てきたことこそが、最大級の(そしてクライマックス的な)“だーさく”であることに、果たして小田ちゃんは気付いているのだろうか。
正直、本当にそんなことをされたらこちらはまじで身が持たない。身も心も持たない。頼むからやめてくれと思うだろうし、そうならなくて本当によかった。
だがしかし、心のどこかでは「そんな未来も見てみたかった……かも」と思う部分がないとは言えない。
ラジオであゆみんもチラッと言っていたように、最初は不仲だったふたりが最後は一緒に仲良く卒業していくなんて、あまりにも最高にだーさくではないか。
そんなおもしろいことがあるか。これ以上ないクライマックスじゃないか。結婚どころの騒ぎじゃないぞ。(2019年に書いた拙ブログのネタね)
だから、そうなってほしかった気持ちも、ゼロではなかった。
そうならなくてよかったと心から思うけど、ほんの少しだけ、残念な気もした。気のせいかもしれないが。
しかしそこで、「まりあちゃんを1人にするわけにはいかない」と思い、冷静になったというエピソードもまた尊い。
このところやけに仲が良いだーさくまりあの3人。
(まりあちゃん曰く「キラキラ3人娘。」というらしい)
というか、あゆみんとまりあちゃんが急接近したと言うのが正しいか。
だーさくは元々仲良しですもんね。(こういう冗談も、最初はイジりみたいな冗談だったのに最近はただの事実になっていることがおもしろい)
まりあちゃんもまた、モーニング娘。に対してだーさくと同じ熱量を持って活動していることを認識し合ってから、この3人が急激に仲良くなった――みたいな認識で間違いないと思う。
もしだーさくが一気にいなくなってしまったら、その熱量をまりあちゃんひとりに担わせてしまうことになる。それはいけない。だから小田ちゃんはまだ残りますと、そういった流れだったようだ。
そういったことがどこまで本気だったのか、それを具体的に掘り下げるのは野暮というものだが、たとえ冗談であっても、そういった気持ちがあってそれを口にしたという事実が、この12年の旅路を歩んできただーさくの帰結として、実に“らしい”なぁと微笑んでしまうのだった。
まるで少年漫画のような、はじまりとおわり。
いや、おわりとは言いたくない。
ひとつの帰結、とでも言っておこう。
なんにせよ、誰もが認めるとても良いコンビになったなぁと、思わず遠くを見つめながら、感慨と寂しさのため息をついてしまう。
だーさく。
何かが少しでも違えば、こうはなっていなかったかもしれないふたり。その関係性。
それがずっと好きだった。
ふたりがやり合うたびにニヤニヤし、ふたりが笑い合うたびにニヤニヤし。
おもしろかった。とても。
ふくちゃんとえりぽんのぽんぽんコンビのような関係とも違う。
同期でもなければ、仲良しでもなかった。
ただただ、モーニング娘。のメンバーとして生きるとき、ふたりは最高の“同志”になる。
そんな風神と雷神の片方が、もう少しでいなくなってしまう。
だーさくという旅路の、果てだ。
あるいはこの旅はまた形を変えて続いていくのだろうか。
どちらかがモーニング娘。ではなくなったとき、あるいは両方がモーニング娘。でなくなったとき、また新しい何かが生まれるのだろうか。
願わくば、いつまでも同じ熱量で、大体でいいから同じ方向を向いて走り続けていてほしい。
いつも一緒にいてくれとは言わない。
でも、ふと自分と同じ熱を感じたくなったとき、思い出すのは互いの顔であってくれたら嬉しい。
共に駆け抜けたモーニング娘。での時間。
共に闘い、共に燃え上がったふたりの熱量を思い出して、また熱く語り合ってくれたなら。
だーさくという旅路の果てに、ふたりの新たな未来があったなら。
そしてそこに、互いの満足気な笑顔があったなら。
だーさくを愛するヲタクにとって、これ以上の歓びはない。