もう何度同じことを言ってきたかわからんけど、『LILIUM』は素晴らしい作品だったよねぇ。
というのをあんまり言い過ぎると「そうですか?僕はそう思いませんね」という反対勢力が出てきてしまうので自重すべきなんですが、ついつい繭期をこじらせて言いたくなってしまう。
昨日、ちょい久しぶりにサントラを聴いて改めて思いました。
シリーズとしてさらに深化した『グランギニョル』を観たあとでは、もしもまたハロプロでこのシリーズの新作を上演できることになればとんでもない傑作が出来上がるんだろうな~なんて夢想したりもして。
でも一方で、『LILIUM』はあの時点で作られたものだからこそ、これほどまでに自分(と他の繭期たち)を魅了したんじゃないだろうか、とも思います。
今回の『グランギニョル』がまさにそうだったんですが、シリーズ作が増えるごとに情報量も増していき、他作品との関わり・リンク・伏線などが盛り込まれるようになります。
それはそれでシリーズファンとしては嬉しいけど、悪い見方をすればひとつの作品として雑多になるということでもあって。
シリーズで言うところの2作目にあたる『LILIUM』では、そういったシリーズとしての(他作品との)関わりがまだ薄く、だからこそシンプルな洗練さを持ち得たのではないかと思うわけですよ。
もしも『LILIUM』がシリーズ4作目とかだったら、他作品への様々なリンクが張られ、情報量も増し、単独作品としてはここまで完成度の高いものにはならなかったかもしれない。
元々『LILIUM』は、シリーズ1作目の『TRUMP』の姉妹編的な位置づけとして作られたもの。(と当時の末満さんは言ってた気がする)
パンフレットにある末満さんの言葉にも、
『LILIUM』は「ヴァンパイアの物語」ではなく、「少女たちの物語」です。年月とともに失われゆく「少女性」を主軸に置いた物語なのです。
とあります。
もし、2017年現在あるいはそれ以降に『LILIUM』が作られていたら、おそらく「ヴァンパイアの物語」に主軸を置いたものが出来上がっていたんじゃないでしょうか。
『LILIUM』は、2014年のあのときだからこそ「少女たちの物語」として類稀なる魅力を持った作品になり得たのだと、個人的には思っている次第です。
他作品とのリンクも、シリーズ中では一番希薄なんですよね『LILIUM』は。
作中の時代的にも他とは切り離されたところにある物語なので、そうなるのでしょう。なにしろ普通に3000年とか経過するシリーズですから。
だから『LILIUM』は、シリーズ作品としてではなく、単独作品としてもたいへん素晴らしい。
もしかして単独作としてのほうが評価は高いかもしれませんね。さっきも言ったように、シリーズとしてはある意味異色作なので。
個人的にも、シリーズ作として、というよりは、まさに「少女たちの物語」として傑作だ、と思います。
あれを演じたのが、その「少女性」を売りにしている(という言い方はアレですが)アイドルたちだった、というのもこの作品の大きな魅力のひとつでしょう。
プロの劇団や女優ではなく、若いアイドルたちが演じたからこそ、『LILIUM』は「少女たちの物語」として昇華されたのです。
末満さんも、演じるのがアイドルである部分は意識して作ったと言ってましたよね。
見た人ならわかるでしょうが、アイドルを愛でる人間にとって、いろんな意味でたまらない内容になってます。
最高に甘美で、最高に残酷な、少女たちの物語。
末満さんの構想によると、続編や関連作(過去編とか)はまだいくつかあるようだし、再演を望む声も多い様子。
自分としても、続編や再演があるならもちろん嬉しい。
万歳三唱して喜ぶでしょう。
でもだけど、『LILIUM』は2014年に上演されたあの作品だけとして終わるのも、それはそれで美しい形なんじゃないだろうかとも思うんですよ最近。
シリーズが増え、謎が解かれ、答えが導き出されていけばいくほど、そこにあった空白は埋まり、幾筋もの選択肢があった道は一本に定められてしまう。
ひとつの見方として言えば、それは幻想の終わりです。
TRUMPシリーズっぽく言うと、永遠の繭期の終わりです。
魅力的な謎に答えが出されてしまうのは、物語としてのカタルシスを感じる一方で、ある種の喪失感をもたらすリスクも備えているということ。
永遠の繭期を終わらせてはならない――そう感じる部分も、自分のなかには確かにあるのです。
だからまぁ、『LILIUM』は『LILIUM』だけで終わるのもアリかなーと思わなくもない、という話。
再演してほしいとも、あまり(そこまで強くは)思いません。
だったらまだ新作をやってほしいかな。
でも昨日のニコ生で末満さんは「ハロプロでやることはもうないんじゃないかなぁ」と言っていたので、可能性は低いでしょう。
残念ではありますが、まぁそうだろうな~と思ってたので驚きはなく。
そもそもハロプロでやるならばアップフロント側からの依頼が必須なわけで、事務所にその気があるならとっくにやってるはず。
いまさら「シリーズの新作をぜひ」なんて依頼するとは思えません。衣装も処分しちゃったみたいですしね。
感謝祭(「二輪咲き」)ができただけまだ良かった。
でも今回のめいめいのように、ハローを卒業してから役者としてキャスティングされることはあるでしょうから、そこを期待したいです。
『LYCORIS(仮)』は無理でも、『雪月花(仮)』ならいけるのでは?と、ほんのり期待しておきます。
どうやら「クラウスとリリーは出会う」らしいのでね。
だから早めに鞘師里保ちゃんにも帰ってきてほしい。
りほりほ以外でのリリーは見たくないです。(わがまま)
前にも言いましたが、『LILIUM』はすべてのタイミングがあのときあの場所に収斂されて出来上がった、奇跡のような作品だと思ってます。
あれより1年早くても、1年遅くても、あそこまでのものは出来上がらなかったでしょう。
勝手な妄想ですが、作者の思惑以上の魅力を、作品自身が備えてしまったのではないかとすら思います。
少なくとも自分にとっては、そのくらいの作品です。
ハロヲタでよかった……と心から思いましたね。はい。
以上。
思いの丈をダラダラと書いてみました。