恩田陸 『消滅 -VANISHING POINT』
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消滅 - VANISHING POINT
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202X年9月30日の午後。日本の某空港に各国からの便が到着した。超巨大台風の接近のため離着陸は混乱、さらには通信障害が発生。そして入国審査で止められた11人(+1匹)が、「別室」に連行される。この中に、「消滅」というコードネームのテロを起こす人物がいるというのだ。世間から孤絶した空港内で、緊迫の「テロリスト探し」が始まる!(Amazonより)
『蜜蜂と遠雷』が史上初の直木賞&本屋大賞ダブル受賞を果たして話題の著者。
そっちはまだ読んでないのでわかりませんが、こちらの本もたいへん面白い。
なにやらいつもと違う慌ただしい雰囲気の空港。
入管で止められ別室に案内された男女数人と犬一匹。
なんとこのなかに一人、テロリストがいるらしい。
誰がテロリストなのかを探る会話劇は、まさに著者の真骨頂。
こういうのを書かせたら抜群に上手い。
限られた空間での会話劇ということで、舞台化しても面白いかもしれない。
なかなか分厚い本だけど、続きが気になって一気読み必至です。
なにが良いって、状況的にはいわゆるシチュエーションスリラーっぽいにも関わらず、無駄に敵対し合ったり、怒鳴り散らしたり、疑心暗鬼になって派閥ができて最後は暴力沙汰に……みたいなお約束の展開がないこと。
登場人物みんな、知的で冷静でまともな大人たちなので(少年一人と犬一匹もいるけど)、読んでて不快になりません。
結末が多少あっけなく感じるきらいはあるかもしれないけど、個人的には満足でした。