沢村浩輔 『夜の床屋』

 

 

 

 

 

 

慣れない山道に迷い、無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが深夜、高瀬は駅前の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると…。第4回ミステリーズ!新人賞受賞作の「夜の床屋」をはじめ、奇妙な事件に予想外の結末が待ち受ける全7編を収録。新鋭による不可思議でチャーミングな連作短篇集。(Amazonより)

 

 

 

連作短編集。

 

 

収録作は、

 

「夜の床屋」

 

「空飛ぶ絨毯」

 

「ドッペルゲンガーを探しにいこう」

 

「葡萄荘のミラージュⅠ」

 

「葡萄荘のミラージュⅡ」

 

「『眠り姫』を売る男」

 

「エピローグ」

 

 

 

冒頭の表題作「夜の床屋」は、人気のない街に迷い込んでしまった大学生の2人が、深夜に営業を始めた床屋を発見し、なぜそんな時間に店を開けるのか――という謎を解き明かす、いわゆる“日常の謎”系ミステリー。

 

 

続く二作も日常の謎系で、可もなく不可もなく、毒にも薬にもならない本だなーと思っていると、「葡萄荘のミラージュ」から雲行きが変わってくる。

 

 

「葡萄荘のミラージュⅠ」から「エピローグ」までは、分かれてはいるもののひとつの中編として成り立っている上に、最後まで読むと冒頭の三編までもが最初とは違ったものに見えてくる仕掛けが良い。

 

 

キーとなるのは〇〇という、ミステリーとしてはちょっと反則気味なある代物。

 

 

なにせ最初は普通の現実的な日常の謎ミステリーだったので、唐突に出てきた〇〇という要素に面食らったけど、個人的には嫌いじゃない。

あのまま普通のミステリーで終わらせるよりは良かったと思います。

 

 

 

 

それにしても、最初に書いたのが作中作である「『眠り姫』を売る男」で、あとから他の肉付けしたというのがすごい。

 

 

多少強引なのも、まぁしょうがないかなと。